【この時期注意】「結膜炎の症状」はご存知ですか?感染を防ぐための対処法も解説!
公開日:2025/07/31

結膜炎は、眼の充血や目やに、かゆみなどの症状を引き起こす眼の病気です。 原因はさまざまでウイルスや細菌による感染性結膜炎と、アレルギーや刺激物による非感染性結膜炎に分類されます。 特にウイルス性結膜炎は感染力が強く、学校や職場での拡大を防ぐために注意が必要です。この記事では結膜炎の種類や症状、治療法や感染予防の対策を解説します。 結膜炎に関する正しい知識を身につけ、適切な対応をするための参考にしていただけると幸いです。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。
目次 -INDEX-
結膜炎の種類や症状
結膜炎にはどのような種類がありますか?
結膜炎は原因によって大きく2種類に分けられます。感染性結膜炎と非感染性結膜炎です。感染性結膜炎はウイルス性結膜炎と細菌性結膜炎があり、ウイルス性結膜炎の代表的なものには、流行性角結膜炎、咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎があります。細菌性結膜炎は黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などの細菌が原因で起こる感染性結膜炎です。非感染性結膜炎には、アレルギー性結膜炎と刺激性結膜炎があります。アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダストが原因で、目がかゆくなり、白っぽい目やにが特徴です。刺激性結膜炎は、煙やゴミなどが目に入ることで起こり、原因となるものがなくなると自然に回復します。
ほかの方にうつりやすい結膜炎の種類を教えてください。
結膜炎のなかで特に感染力が強いのは、ウイルス性結膜炎です。なかでも流行性角結膜炎や咽頭結膜熱は人から人へうつりやすく、タオルや手を介して感染が広がります。急性出血性結膜炎も感染力が強く、短期間で流行するのが特徴です。細菌性結膜炎は感染の可能性は低いとされていますが、手で眼を触った後にほかの方に接触するとうつることがあります。細菌性結膜炎でも手洗いやタオルの使い分けを意識すると安心です。アレルギー性結膜炎や刺激性結膜炎は、花粉やハウスダスト、煙などの刺激が原因で発症するため人にうつることはありません。
結膜炎の種類別の症状を教えてください。
結膜炎の症状は、原因によって異なります。ウイルス性結膜炎は、充血や水っぽい目やにが特徴です。特に流行性角結膜炎は感染力が強く、眼のゴロゴロ感やまぶたの腫れを伴います。咽頭結膜熱は発熱やのどの痛みを伴うことがあり、急性出血性結膜炎では眼のゴロゴロ感が強く出ます。細菌性結膜炎では、黄色や緑色の粘り気のある目やにが多く出るのが特徴です。白眼が充血し、まぶたが腫れることもあります。通常は片眼から始まり、もう一方に広がることは少ないです。アレルギー性結膜炎では、かゆみが強く、白っぽい糸を引くような目やにが出ることがあります。涙が増えたり、充血したりすることもありますが、細菌やウイルスによるものとは異なり感染しません。
結膜炎の症状が出るまでの潜伏期間はどのくらいですか?
結膜炎の潜伏期間は、原因となる病原体によって異なります。ウイルス性結膜炎の潜伏期間は下記のとおりです。
- 流行性角結膜炎:7~14日間(アデノウイルス8型・19型・37型など)
- 咽頭結膜熱:5~7日間(アデノウイルス3型・4型・7型など)
- 急性出血性結膜炎:1〜3日程度(エンテロウイルス70型・コクサッキーA24変異株)
結膜炎の治療方法
結膜炎は市販の目薬で対処しても大丈夫ですか?
細菌性結膜炎やアレルギー性結膜炎であれば、市販の目薬で対応できます。細菌性結膜炎の場合、抗生物質が含まれた目薬を使用し、3〜4日経っても改善しない場合は眼科を受診しましょう。アレルギー性結膜炎では、抗アレルギー成分入りの目薬を選び、1週間程度試しても症状が続く場合は受診が必要です。一方、ウイルス性結膜炎には市販薬での対応ができません。 水っぽい目やにや眼に白い膜が張る、のどの痛みやリンパの腫れがある場合はウイルス性の可能性が高く、早めの眼科受診をおすすめします。自己判断が難しい場合は、症状が悪化する前に医師に相談しましょう。
眼科ではどのような治療を行いますか?
結膜炎の治療法は原因によって異なります。ウイルス性結膜炎には特効薬がなく、体内の免疫がウイルスを退治するのを待つしかありません。炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬や、細菌の二次感染を防ぐ抗菌点眼薬を使用します。重症例ではステロイド点眼薬が有効です。細菌性結膜炎には抗菌点眼薬を使用し、通常3日〜1週間程度で症状が改善します。アレルギー性結膜炎には抗アレルギー点眼薬が有効です。重症の場合はステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬を併用することもあります。
結膜炎が治るまでの期間はどのくらいですか?
結膜炎が治るまでの期間は原因によって異なります。ウイルス性結膜炎は特効薬がなく、体内の免疫がウイルスを排除するのを待つしかありません。流行性角結膜炎は約2〜3週間、咽頭結膜熱は1週間程度で回復します。急性出血性結膜炎は1週間ほどで治るのが一般的です。細菌性結膜炎は抗菌点眼薬の使用により、3日〜1週間で症状が軽減します。アレルギー性結膜炎は、原因物質にさらされている間は症状が続くため、抗アレルギー点眼薬を使用しながら適切な管理が大切です。
結膜炎の感染を防ぐための対処法
結膜炎になった場合学校や職場は休まなくてはなりませんか?
学校保健安全法では、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱は治癒するまで出席停止とされています。特に流行性角結膜炎は感染力が強く、完治するまでは登校できません。急性出血性結膜炎も感染のリスクがあるため、学校によっては出席停止の対応が取られます。ウイルス性結膜炎は発症後しばらくは感染力が高く、人にうつさないための配慮が必要です。職場では、医療・飲食・保育などの人と接触しやすい仕事の場合、感染拡大を防ぐため自宅療養が望ましいでしょう。特に症状が強い期間は目やにや涙を介して感染が広がる可能性があるため、無理に出勤せず、医師の指示を仰ぐことが大切です。
結膜炎の感染を防ぐための対処法を教えてください。
結膜炎の感染を防ぐには、こまめな手洗いが重要です。アルコール消毒はウイルスに対して効果が低いため、石けんと流水を使い、しっかり洗い流しましょう。タオルや洗面用具を共有せず、むやみに眼や口を触らないように気をつけます。特にウイルス性結膜炎は感染力が強いため、家族や職場内で広がらないよう対策を徹底しましょう。感染した場合は、目やには使い捨てのティッシュで拭き、密封して処分します。症状が治まった後もウイルスが排出されることがあるため、一定期間は注意が必要です。
家庭内で結膜炎を感染させないための注意点を教えてください。
家庭内での二次感染を防ぐためには、いくつかの対策が必要です。タオルや洗面用具は家族と共有せず、それぞれ専用のものを使いましょう。ウイルスが付着したタオルは、煮沸消毒するか分けて洗濯することが大切です。手洗いの徹底も重要で、特に眼を触った後やおむつ交換後には、石けんと流水でしっかり洗い流しましょう。目やには使い捨てのティッシュで拭き、すぐに専用のビニール袋に捨てることで、ゴミ箱の中身に直接触れるリスクを減らせます。感染力が強い発症初期には、家族への感染を防ぐため、入浴の順番を最後にするのも効果的です。
編集部まとめ
結膜炎は、感染性結膜炎と非感染性結膜炎に分類されます。 特にウイルス性は感染力が強く、学校や職場での拡大を防ぐ対策が必要です。 治療法は原因によって異なり、ウイルス性は対症療法が中心となる一方、細菌性では抗菌点眼薬が有効とされています。 感染を防ぐためには、こまめな手洗いやタオルの共用を避けることが大切です。症状が長引く場合は、早めに眼科を受診しましょう。




