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「自律神経失調症は何科」を受診すればよいかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/20
「自律神経失調症は何科」を受診すればよいかご存知ですか?【医師監修】

自律神経失調症はさまざまな症状があらわれるため、医療機関に行こうとしても何科を受診すればよいか迷うことがあるでしょう。

ストレスなどが原因で自律神経が乱れると、身体や精神に不調を感じることがあります。しかし、深刻に受け止めない方もいるかもしれません。

単なる睡眠不足や疲れと考え放置すると、症状が悪化することもあります。この記事では、早めの受診が大切な理由と、適切な診療科や原因・症状・治療法について解説します。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

自律神経失調症の原因や症状

自律神経失調症の原因や症状

自律神経失調症とはどのような病気ですか?

身体に不調が起こり、検査を受けてもほかに特定の病気として異常が認められない場合に診断されるのが、自律神経失調症という病気です。自律神経失調症は、体質・ストレス・精神的な症状に大きく分類されますが、曖昧な診断名として使用されることもある病気です。自律神経失調症は医学的には正式な病名ではなく、自律神経の乱れのため症状が起きているだけで、その症状のみを総称したものになります。また、自律神経失調症は時間の経過や症状の現れ方によって、別の病名と診断されることもあります。

自律神経失調症の原因を教えてください。

自律神経失調症の原因は、大きく分類するとストレス・生活習慣の乱れ・ホルモン(甲状腺ホルモン・女性ホルモン)の3つがあります。その影響のため交感神経と副交感神経のコントロールがうまくできなくなり、身体に不調が起きると考えられています。心や身体にかかる自律神経のバランスの乱れが、さまざまな不調としてあらわれるのが自律神経失調症です。また、自律神経は精神的ストレスの影響が大きいため、性格によって自律神経失調症になりやすい方もいます。特に神経質やアレキシサイミアのような性格の方が該当します。アレキシサイミアとは、感情表現が苦手で自分自身の感情をうまく認識できないため、ストレスを抱え込み自律神経症状があらわれてしまう性格傾向のことです。

自律神経失調症の身体的症状を教えてください。

身体的症状は前項でも紹介していますが、自律神経が乱れる原因のストレスチェックとして以下の項目があります。

  • よく頭痛がする・頭が重い
  • 胸が圧迫されるようで苦しい
  • よく肩がこる
  • めまいがする
  • 腰が痛い
  • 全身倦怠感
  • 喉がつまる感じがする
  • 手足がしびれる
  • 手足が震える
  • 下痢や便秘になりやすい

こちらで紹介した身体的症状は代表的なものであり、患者さんによって感じる症状はさまざまです。

自律神経失調症の精神的症状を教えてください。

精神的症状は前項でも紹介していますが、自律神経が乱れる原因のストレスチェックとして以下の項目があります。

  • これから先の自信がない
  • 朝の気分がすっきりしない
  • 朝早く眼が覚める
  • 根気が続かない
  • なんとなく不安でイライラする
  • 仕事にとりかかる気分になれない
  • 物事がなかなか決断できない
  • 人に気軽に会えない
  • 集中力の低下

以上が精神的症状として見られます。また、身体的症状と同様に患者さんによって感じる症状はさまざまです。

自律神経失調症は何科を受診すればよい?

自律神経失調症は何科を受診すればよい?

自律神経失調症で医療機関に相談する目安を教えてください。

自律神経失調症は、初期症状の段階で医療機関に相談する方は少ないでしょう。なぜなら、仕事や勉強などで生活環境が忙しい場合、睡眠不足のせいで倦怠感や頭痛などの不調があらわれていると感じてしまうことがよくあるからです。しかし、今までにない違和感がありなんとなくいつもと違うと感じたら、早めに医療機関を受診することをおすすめします。自分で違和感を覚えても、そのまま放置してしまうと自律神経失調症の症状が悪化してしまい、さらに自律神経失調症に関連した病気になることもあるからです。

自律神経失調症は何科を受診すればよいですか?

自律神経失調症を疑う場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。もし内科などのかかりつけ医があれば、まずは主治医に相談するのもよいでしょう。自律神経失調症の症状はその他の疾患の症状と似ていることもあるため、総合内科または身体にあらわれている症状に合わせた診療科を選択することもおすすめします。参考までに症状があらわれる部位に合わせた、おすすめの診療科を以下にご紹介します。

  • 循環器内科:動悸・胸痛・胸部圧迫感・立ちくらみ・高血圧・冷えなど(心臓・血管)
  • 呼吸器内科:息苦しい・胸がつまるなど(肺)
  • 消化器内科:吐き気・下痢・便秘・腹痛・胃の不快感・お腹の張り・ガスがたまるなど(胃腸)
  • 脳神経内科・神経内科:頭痛・頭重感・脱毛など(頭)
  • 眼科・内科:疲れ眼・眼の乾燥・眼の違和感・まぶしいなど(眼)
  • 耳鼻咽喉科:耳鳴り・耳の違和感・めまいなど(耳)
  • 内科:お口の渇き・お口の痛み・味覚障害など(口)
  • 耳鼻咽喉科:ヒステリー球(喉の異物感)・飲み込みづらい・話しづらいなど(喉)
  • 内科・整形外科:冷え・しびれ・痛み・ふるえなど(手足)・肩こり・腰痛・関節痛・筋肉痛・脱力感など(筋肉・関節)
  • 皮膚科:多汗・痒み・痛みなど(皮膚)
  • 泌尿器科:排尿困難・残尿感・頻尿など(膀胱)
  • 精神科・心療内科:不眠・イライラ・気分の落ち込み・不安や焦り・気力や集中力低下・情緒不安定など(精神)
  • 内科・総合内科:倦怠感・疲労感・微熱・食欲低下・ほてり・めまいなど(全身)

このほかにストレスなどで悩みがある場合は、精神科や心療内科の受診で症状がよくなることもあります。身体に起きている不調のなかで一番つらい症状に合わせて診療科を選ぶのがよいでしょう。

自律神経失調症の検査や治療法

自律神経失調症の検査や治療法

自律神経失調症が疑われる場合、どのような検査を行いますか?

自律神経失調症が疑われる場合は、まず初めに臓器や器官など身体について異常がないかを検査をします。自律神経機能を調べる検査は以下のようにありますが、検査時間がかかり治療的な意義が少ないため行われるケースは少ないでしょう。

  • ヘッドアップティルト試験
  • シェロング起立試験(体位変換試験)
  • 眼球圧迫試験
  • バルサルバ呼吸試験
  • 頸動脈圧迫試験
  • 寒冷昇圧試験

自律神経失調症は、検査結果だけで確定診断できません。診断には、身体的異常や精神疾患がないことの確認が重要です。そのため、自律神経失調症の確定診断には特別な検査は行われず、主に身体的な異常の有無を確認します。

自律神経失調症の診断基準を教えてください。

自律神経は全身のさまざまな臓器や器官と関係しているため、症状はひとつだけでなくいくつもの症状が重なることがよくあります。また、症状は個人差があり体質などによっても異なるため、その方の弱い部分にあらわれやすい傾向です。例えば、お腹の弱い体質の方なら下痢や腹痛などの症状があったり、肩がこりやすい方にはひどい肩こりの症状があったりします。しかし、自覚症状が辛く検査結果からは症状の重さの説明ができないときもあり、このようなときは自律神経失調症の可能性を考えます。さらに、身体の不調を治療しても症状の改善が見られない場合も、自律神経失調症が疑われるでしょう。

自律神経失調症の治療方法を教えてください。

自律神経失調症の治療は、まず症状に合わせた薬を処方します。これは対処療法という症状を抑えるための方法です。例えば、不眠には睡眠薬を処方し痛みには鎮痛剤などを処方するほか、自律神経調整薬や漢方薬を処方することもよくあります。対処療法で症状が改善できれば、身体的なストレスが軽減することで治療効果が上がると期待されているのです。また、精神療法を行うこともあります。自律神経の乱れの原因となるストレスに対して、抗うつ剤や抗不安薬を処方し精神的な症状の改善を行うためです。

自律神経失調症が治るまでの期間はどのくらいですか?

自律神経失調症が治るまでの治療期間は、患者さんの発症要因によっても異なるため個人差があります。患者さん一人ひとりに合わせた薬の治療方法を行います。即効性のある薬なら治療期間は短くなりますが、依存症や副作用の少ない薬なら治療期間は長くなる傾向です。また、自律神経のバランスが乱れてしまった原因や、環境要因と本人要因にも目を向けて患者さんに合わせたアプローチが重要です。患者さん自身も原因に向き合わなければ、症状を繰り返す可能性があります。

編集部まとめ

部屋で体調不良に悩む日本人

自律神経失調症は、なんとなくいつもと違う症状が続くと感じたら、早めにかかりつけの医師に相談すれば治せる病気です。

ストレスは誰でも感じるものなので、発散させることでうまく付き合うようにしましょう。生活習慣も見直しながら、家族や職場の方に理解してもらうことでストレスを軽減することもできます。

自律神経失調症を疑い何科を受診するか迷ったら、心療内科や精神科で相談しましょう。また、辛い症状に合わせて診療科を選ぶこともおすすめします。

違和感を覚える症状があっても放置して悪化したために、ほかの関連する病気に罹患してしまうことがあるため注意しましょう。

また、症状が軽くなったり悪化したりを繰り返すことがあるため、治療期間は長くなる傾向がありますので定期的に通院することをおすすめします。

この記事の監修医師

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