「大人がマイコプラズマ肺炎」にかかったら「出勤停止」になるの?【医師監修】

「マイコプラズマ肺炎にかかったら出勤できないの?」と悩む方は少なくありません。マイコプラズマ肺炎は、これまでに3~7年周期で何度も大流行を起こしていることが知られています。
マイコプラズマ肺炎と診断されたら職場に出勤してよいのか、どのような対策をしたら効果的かなど、知りたい方はいるでしょう。
マイコプラズマ肺炎は呼吸器感染症のため、飛沫感染や接触感染への対策が重要です。本記事では、マイコプラズマ肺炎で出勤停止になるのか、マイコプラズマ肺炎の症状・対処法・予防法についても解説します。
原因や症状に加えて病院を受診する目安もお伝えするので、マイコプラズマ肺炎にかかっても必要以上に悩まなくてよいように、確認しておきましょう。

監修医師:
眞鍋 憲正(医師)
マイコプラズマ肺炎の原因や症状

マイコプラズマ肺炎とはどのような病気ですか?
原因を教えてください。
どのような症状が出ますか?
- 発熱
- 倦怠感
- 頭痛
- 乾いた咳
発症してから3~5日後に咳の症状が出る場合があります。痰は少なく乾いた咳(乾性咳嗽)が特徴で、頑固な咳症状が3~4週間続くため、仕事や日常生活に支障が出る方もいるでしょう。マイコプラズマ肺炎に感染しても、気管支までの炎症(気管支炎)で済む場合があります。しかし、薬を服用してもなかなか症状が改善せず重症化する恐れもあるため、症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。マイコプラズマ肺炎の患者さんの5~10%未満は、呼吸器症状以外の合併症を併発することがあります。併発する恐れのある合併症は、以下のとおりです。
- 中耳炎
- 皮疹
- 胸膜炎
- 心筋炎
- ギランバレー症候群
- 髄膜炎
- 末梢神経障害
肺炎マイコプラズマに対する予防ワクチンはありません。感染した場合は、抗菌薬治療を行い、重症の場合は入院が必要となります。
マイコプラズマ肺炎にかかりやすい年齢層を教えてください。
- 細菌性肺炎:肺炎球菌・インフルエンザ菌など
- ウイルス性肺炎:インフルエンザウイルス・コロナウイルスなど
- 非定型肺炎:マイコプラズマ・クラミジアなど
マイコプラズマ肺炎は、非定型肺炎に含まれます。お子さんや若い方がかかる肺炎は、マイコプラズマ肺炎が原因である場合が少なくありません。ただし、お子さんが感染しても、基本的には軽症で済むと考えられています。大人は、お子さんからの家庭内感染で感染するケースが多く報告されています。
マイコプラズマ肺炎に大人がかかったら出勤停止になる?

マイコプラズマ肺炎は大人でもかかりますか?
お子さんがいる家庭
保育園・幼稚園・小学校などお子さんに関わる職場で働く方
公共交通機関を利用して通勤する方
飛沫は約1~2mまで飛び散るとされています。飛沫感染の対策は以下のとおりです。
- 感染者から2m以上離れる・濃厚接触を控える
- マスクの着用
- 室内の換気
- 石けんによる適切な手洗い
- アルコールによる手指衛生
お子さんに関わる職場や家庭では、お子さんから2m以上離れることは難しいでしょう。そのため、マスク着用や適切な手洗いを心がけることが感染拡大防止に必要です。感染者に接触しても、すぐにマイコプラズマ肺炎に感染するわけではありません。しかし、感染者から肺炎マイコプラズマ細菌が体内に侵入するリスクは考えられます。マイコプラズマ肺炎と診断された家族がいる場合、家庭内でもマスクの着用や手洗いなどの感染対策を徹底しましょう。
大人がマイコプラズマ肺炎にかかったら出勤停止になりますか?
大人がマイコプラズマ肺炎にかかった場合、どのくらい仕事を休めばよいですか?
マイコプラズマ肺炎の対処法や予防法

マイコプラズマ肺炎にかかった場合に自宅でできる対処法を教えてください。
医療機関にかかる目安を教えてください。
- 周囲の流行状況と患者さんの症状
- 胸部レントゲン・CT
- 血液検査
抗原検査は精度が低く適切な判定が出ない可能性があるため、行わない医療機関もあります。医療機関では周囲の流行状況と症状に加えて、画像診断や血液検査で、マイコプラズマ肺炎と判断します。肺炎の原因は、鑑別が難しい場合が少なくありません。大人の場合、マイコプラズマ肺炎かほかの肺炎かを診断するための方法は、以下のとおりです。
- 60歳未満の方
- 基礎疾患がないあるいは軽度
- 頑固な咳症状がある
- 胸部聴診をしても明らかな異常所見がない
- 迅速診断法で原因菌が証明されない
- 血液検査で末梢白血球数が1マイクロリットルあたり10,000個未満
上記6項目のうち5項目以上当てはまるとマイコプラズマ肺炎、2項目以下の場合はほかの肺炎を強く疑います。軽症の場合は治療しなくても自然治癒することがあります。しかし、症状が長引いたり重症化したりする場合は、症状に応じた抗菌薬治療が必要です。抗菌薬が合わない場合、治療途中で抗菌薬を変更するケースもあります。
マイコプラズマ肺炎を予防する方法はありますか?
編集部まとめ

マイコプラズマ肺炎は、6~12歳のお子さんや若い世代に流行しやすく、長引く頑固な咳が特徴の呼吸器感染症です。大人でも感染する可能性があります。
感染症法上で5類感染症に定められ、特に行動制限はありません。マイコプラズマ肺炎に感染した場合は、ご自身の症状や職場の指示に応じて、出勤の判断をしましょう。
飛沫感染や接触感染のリスクがあるため、辛い咳や発熱症状がある場合は、無理な出勤は控えた方がよいでしょう。流行時期にはマスクの着用・うがい・適切な手洗い・手指消毒などの感染対策が重要です。
基本的には軽症で、自然治癒する場合も少なくありません。しかし重症化リスクもあるため、約1週間以上症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
参考文献



