「インフルエンザの感染力」はどのくらい?感染力が強い期間も解説!【医師監修】

インフルエンザは、高熱や倦怠感などの症状を引き起こします。感染力が強いため、家族や職場で広がることもあり、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではインフルエンザの感染力について以下の点を中心にご紹介します。
- インフルエンザとは
- インフルエンザの種類と症状
- インフルエンザの治療・予防
インフルエンザの感染力について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
吉川 博昭(医師)
目次 -INDEX-
インフルエンザとは
インフルエンザと風邪の違いは何ですか?
風邪はアデノウイルスやライノウイルスなどが原因となり、のどの痛みや鼻水、くしゃみ、咳などの症状がゆっくりと現れる傾向があります。局所的な症状が中心で、発熱もそれほど高くならないことが多いといわれています。
インフルエンザは、インフルエンザウイルス(A型・B型・C型)によって引き起こされ、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、倦怠感などの全身症状が急激に現れることが特徴です。また、気管支炎や肺炎を併発することがあり、高齢者や持病を持つ方、小児では重症化するリスクが高まります。
風邪とインフルエンザは初期症状が似ていますが、症状の現れ方や重症度に違いがあるため、早めの判断と適切な対処が重要です。
インフルエンザの感染経路について教えてください
飛沫感染は、感染者が咳やくしゃみをする際に飛び散る飛沫に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。
一方、接触感染はウイルスが付着した手で口や鼻に触れることにより、間接的にウイルスが体内へ侵入する経路です。
また、一部では”空気感染”の可能性も指摘されています。飛沫の水分が蒸発し、微細な飛沫核として空気中に長時間漂うことで、遠く離れた場所にいる人にも感染が広がる可能性があると言われていますが、科学的根拠は十分ではありません。
インフルエンザの感染力はどのくらいですか?
また、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることで接触感染も起こります。特に、症状が現れる前日から感染力を持つため、気付かないうちに周囲へ拡散してしまうリスクがあります。
なかでも、感染してから3日目が感染力が強いとされ、この時期に頻繁に咳をすることで飛沫が広範囲に拡散されます。なかでも、免疫力が低い小学生は”スーパー・スプレッダー”として複数人に感染を広げる可能性が指摘されています。学校や保育園など集団生活を送る環境では、さらに感染が拡大しやすくなります。
症状がある場合は無理をせず自宅で療養し、感染拡大を防ぐことが重要です。
インフルエンザの種類と症状
インフルエンザA型について教えてください
主に11月から2月にかけて流行し、高熱(38〜40度)、全身の倦怠感、関節痛や筋肉痛が急激に現れます。また、のどの痛みや咳などの症状も伴います。
A型の特徴のひとつは、ウイルスが頻繁に変異し、新型が次々と出現することです。
そのため、過去に感染したことがあっても再びかかる可能性があり、ワクチンの予測が難しいとされています。感染力が強く、パンデミックを引き起こすこともあります。
なかでも、高齢者や持病を持つ方は重症化しやすいため、ワクチン接種や手洗い・マスクの着用などの予防策が重要です。感染を防ぐためにも、日頃から健康管理を心がけることが大切です。
インフルエンザB型の特徴は何ですか?
症状は、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛み、咳などが見られますが、A型ほど強い全身症状は少なく、37度台の微熱が続くこともあります。
また、B型では消化器症状が現れるケースが多く、下痢や腹痛を伴うこともあります。
なかでも子どもや若年層での感染が目立つ点も特徴の一つです。
B型はA型ほど感染力は強くないものの、免疫のない人が感染すると重症化することもあります。日常生活で予防を心がけましょう。
インフルエンザC型にはどのような特徴がありますか?
また、流行の規模も小さく、公衆衛生上の影響は少ないとされています。
流行時期は1月から6月にかけてと長いですが、症状は軽めの傾向にあり、発熱や咳、鼻水が中心で、高熱が出ることはあまりないとされています。38度程度の発熱が見られる場合もありますが、多くは2日程度で解熱し、風邪と区別がつきにくいこともあります。
C型は検査できる医療機関が限られており、気付かないうちに治るケースも多いようです。
感染が疑われる場合は、無理をせず安静に過ごすことが大切です。
インフルエンザの治療・予防
インフルエンザの疑いがある場合、いつ検査を受ければよいですか?
これは、体内のウイルス量が十分に増え、検査の精度が高まるためです。発熱直後ではウイルス量が少なく、陰性と判定される可能性があります。
逆に、発熱から48時間以上経過するとウイルス量が減少し、検査の精度が低下することもあります。
ただし、症状が強い場合や、高熱が続く場合には、12時間を待たずに医療機関を受診することが推奨されます。
また、最近では初期段階でも検査できるキットを導入している医療機関もあるため、早めに検査を希望する場合は、病院の情報を確認するとよいでしょう。
インフルエンザは流行期でなくても発症する可能性があるため、疑わしい症状が出た場合は、検査のタイミングを考慮しつつ、適切に医療機関を受診することが大切です。
早期診断と治療により、症状の悪化を防ぐことができるとされています。
インフルエンザはどのように治療するのですか?
治療薬としてタミフルやゾフルーザがあり、発症後48時間以内に服用すると効果的とされています。
タミフルは5日間の服用が必要で、ゾフルーザは1回の服用で済むのが特徴です。どちらもウイルスの増殖を抑え、症状の悪化を防ぐため、医師の指示に従い適切に服用することが大切です。
自宅療養中は十分な休養をとり、こまめな水分補給が重要です。部屋を加湿し、適切な室温を保つことで、症状の緩和が期待できます。
また、高熱が続く場合には、医師の指示のもと解熱剤を使用することもあります。
感染拡大を防ぐため、患者さんは外出を控え、家族内での感染を防ぐために手洗いやマスクの着用の徹底が求められます。症状が重い場合や長引く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
インフルエンザの感染力を抑えるためには何をすればよいですか?
まず、手洗いを徹底し、外出先から帰宅した際には石鹸を使って十分に洗うことが推奨されます。ウイルスはドアノブや手すりにも付着するため、定期的な消毒も有効とされています。 また、うがいも併せて行うことで、のどに付着したウイルスの除去が期待できます。
さらに、マスクの正しい装着により飛沫の拡散を防ぎ、周囲への感染リスクを低減できます。特に、人混みに出る際や咳・くしゃみが出る場合には、忘れずにマスクを使用しましょう。さらに、咳エチケットを守り、ティッシュや腕で口元を覆うことも大切です。
感染を広げないためには、発熱や症状がある患者さんは無理をせず自宅で安静にし、学校や職場への外出を控えることが求められます。これらの対策の徹底により、インフルエンザの感染拡大防止が期待できます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また、症状が現れた際には無理をせず、医療機関を受診することが大切です。自宅療養中は十分な休養をとり、水分補給を意識しましょう。
編集部まとめ
ここまでインフルエンザの感染力についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。
- インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされ、急激な高熱や全身の倦怠感を伴い、飛沫感染や接触感染によって広がる強い感染力を持つ疾患
- インフルエンザにはA型、B型、C型があり、A型は特に流行しやすく重症化しやすい一方、B型は消化器症状を伴うことがあり、C型は幼児が主に感染し軽症で済む傾向にある
- インフルエンザの治療には抗ウイルス薬の服用と安静が重要で、予防には手洗いやマスク着用、ワクチン接種が有効とされ、感染拡大を防ぐために適切な対策の徹底が必要
インフルエンザは感染力が強い感染症ですが、日頃からできる対策を実践していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。