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「インフルエンザの家族感染は何日後」に発症するかご存知ですか?【医師監修】

 更新日:2025/03/05
「インフルエンザの家族感染は何日後」に発症するかご存知ですか?【医師監修】

インフルエンザは家庭内での感染リスクがある病気のひとつです。家族の誰かが発症すると「いつうつるのか?」「どのくらいの確率で感染するのか?」と不安に感じる方もいるでしょう。

本記事ではインフルエンザの家族感染は何日後に発症するのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • インフルエンザの感染経路や感染力とは
  • インフルエンザの家族感染について
  • 家族がインフルエンザに感染した場合の注意点

インフルエンザの家族感染は何日後に発症するのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

インフルエンザの感染経路と感染力

インフルエンザの感染経路と感染力

インフルエンザの感染経路を教えてください

インフルエンザは主に2つの経路で人から人へと広がります。それぞれの感染経路と、その対策について説明します。
●飛沫感染
インフルエンザの感染経路としてよく挙げられるのが、飛沫感染です。感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスを含んだ小さな飛沫が空気中に飛び散り、それを別の方が吸い込むことで感染します。

飛沫は意外に遠くまで飛ぶことがわかっており、通常の会話で約1m、咳で約3m、くしゃみでは最大5mも飛ぶことがあります。また、1回の咳で10万個以上、くしゃみでは約200万個の飛沫が放出されるといわれています。

飛沫の拡散を防ぐためには、不織布マスクの着用がおすすめです。不織布マスクを適切に着用すると、飛沫の放出量を約20%、吸い込む量を約30%に抑えられるようです。インフルエンザの流行時には、人が多い場所でのマスク着用を心がけましょう。

●接触感染
もう一つの感染経路が接触感染です。これは、感染者の唾液や鼻水が手に付着し、その手で触れた物(ドアノブ、つり革、手すりなど)にウイルスが残り、ほかの方がそれに触れることで感染するというものです。

例えば、ウイルスが付着した手で食べ物を触ったり、目・鼻・口をこすったりすると、ウイルスが粘膜から体内に侵入してしまいます。ただし、手にウイルスが付着しただけではすぐに感染するわけではなく、手洗いやうがいを徹底することで感染リスクを減らすことが可能とされているようです。ゆh

インフルエンザの潜伏期間を教えてください

インフルエンザは感染後すぐに症状が出るわけではなく、1〜5日程度の潜伏期間を経て発症します。発症直後から3日間はウイルスの排出量が多く、感染力が強いとされています。この期間は個人差があり、感染してもすぐに症状が現れないことがあります。

インフルエンザの潜伏期間は感染力がありますか?

潜伏期間を経て症状が現れますが、その間にウイルスは体内で増殖を始めています。自覚症状がない状態でも、すでに周囲にウイルスを広げてしまう可能性があるため、流行シーズンは日頃から予防対策を徹底することが大切です。

インフルエンザ発症後のピークはいつですか?

インフルエンザの発症後は症状が急激に悪化し、高熱が続く3日目までがピークとなります。この期間は、38度以上の高熱が続き、強い倦怠感や全身の筋肉痛が現れやすいため、無理をせずしっかりと安静にすることが大切です。

症状の急速な悪化によって、食欲が落ちたり、水分補給が困難になったりすることがあるため、できるだけ体に負担をかけないよう、こまめに水分を摂ることを意識しましょう。

また、体力の消耗が激しくなる時期でもあるため、無理をすると回復が遅れ、日常生活への復帰が難しくなることがあります。

インフルエンザの家族感染について

インフルエンザの家族感染について

家族からインフルエンザがうつる確率はどのくらいですか?

新型コロナウイルスの流行以後、インフルエンザの家庭内感染の確率に変化がしています。コロナウイルス流行前は家庭内でインフルエンザが感染する確率は約20%とされていましたが、2021年から2022年のシーズンではこの確率が約50%まで上昇しています。これはおよそ2.5倍に増加していることを意味しています。

増加の背景には、新型コロナの影響でインフルエンザワクチンの接種率が下がったこと、人々の免疫力が変化した可能性などが考えられます。しかし、具体的な原因はまだ明確には分かっていません。

インフルエンザが家族にうつらないための予防法を教えてください

以下に、家族にうつさないための具体的な予防策を紹介します。

●こまめな手洗いを徹底
ウイルスは手を介して広がるため、手洗いは感染対策の基本です。外出後、食事の前後、トイレの後、咳やくしゃみをした後などに、石けんと流水でしっかり洗うことを心がけましょう。また、手を拭く際には、共用のタオルではなく、個別のタオルやペーパータオルを使用するのがおすすめです。

●咳エチケットを守る
咳やくしゃみをする際には、マスクを着用する、ティッシュやハンカチで口や鼻を覆う、袖で抑えるなど、飛沫が周囲に広がらないよう配慮しましょう。特に、室内での飛沫感染を防ぐため、感染者はできる限りマスクを着用することが推奨されます。

●できるだけ距離を取る(部屋を分ける)
インフルエンザ患者とは、できる限り別の部屋で過ごすのが理想です。同じ空間で過ごさなければならない場合は、なるべく距離を保ち、直接的な接触を避けることが重要です。また、看病をするのは1人に限定し、家族全員が濃厚接触しないようにするのが望ましいでしょう。

●換気と加湿を行う
インフルエンザウイルスは乾燥した環境で活発になるため、室内の湿度を50〜60%に保つことが推奨されます。加湿器を利用するほか、濡れタオルを部屋にかける、コップに水を入れておくなどの方法でも湿度を調整できます。さらに、2〜3時間に1回、窓を開けて換気を行い、新鮮な空気を取り入れることで、ウイルスの滞留を防ぎましょう。

●共有する物を分ける
家族間での感染を防ぐために、タオル、コップ、食器、歯ブラシなどは別々に使用するようにしましょう。また、ドアノブやスイッチ、リモコンなど、頻繁に触れる場所は消毒を行うと、接触感染のリスクを減らすことができます。

●家族全員が健康管理を徹底する
インフルエンザにかかりにくくするためには、免疫力を維持することが大切です。睡眠をしっかり取り、バランスのよい食事を心がけ、適度な運動をすることで、体の抵抗力を高めましょう。

また、感染予防のために、家族全員がインフルエンザワクチンを接種することも有効な手段です。

インフルエンザに家族感染したら何日後に発症しますか?

インフルエンザが家族内で感染した場合、発症するまでの期間は通常1日~7日ですが、ほとんどの場合は3日〜4日後に発症することが多いようです。
家族の誰かがインフルエンザに罹患した場合、発症後3日〜4日の間は特に体調変化に注意し、予防対策を継続することが大切です。

家族がインフルエンザに感染した場合の注意点

家族がインフルエンザに感染した場合の注意点

家族がインフルエンザに感染したらどうなりますか?

学校保健安全法に基づくと、感染症の拡散を防ぐための措置として、インフルエンザに感染した学生は、発症後5日が経過し、解熱後2日(幼児の場合は3日)が経過するまで学校への出席が停止されます。
職場においても、発症後7日間程度は休業することが望ましいですが、職場の就業規則により異なる場合もあるため、所属する組織の指針を確認しましょう。

なお、家族の誰かがインフルエンザに感染した場合、感染していない家族は自宅待機の必要はなく、職場や学校へ行っても問題はありません。

インフルエンザの家庭内隔離はいつまで必要ですか?

インフルエンザは、発症の1日前から発症後3日頃までが感染力が強いとされています。そのため、この期間は特に注意が必要で、感染者は家族とは別の部屋で過ごすことが推奨されます。

インフルエンザになった家族の看病で気をつけることはありますか?

インフルエンザに感染した家族の看護では、以下の点に注意してください。

●継続的観察:
けいれん症状、呼びかけに答えないなどの意識障害、肩で呼吸をしている、胸の痛み、唇の色や顔色が悪い、水分がとれずおしっこが出ていないなどの症状の悪化や新たな症状があれば迅速に医療機関に連絡する

●インフルエンザ脳症に警戒:
特に小児の場合、けいれんや意識障害などの症状が見られたら速やかに対応する

●家庭内安全対策:
異常行動による事故を防ぐため、玄関や窓の施錠を徹底し、安全な部屋で休ませる

最後に、読者へメッセージをお願いします。

インフルエンザは家族内で感染しやすいですが、正しい予防対策をとることで感染リスクを抑える工夫を意識することが大切です。手洗い・マスク・換気を徹底し、少しでも体調に異変を感じたら早めに対応しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインフルエンザの家族感染は何日後に発症するのかについてお伝えしてきました。インフルエンザの家族感染は何日後に発症するのかの要点をまとめると以下のとおりです。

  • インフルエンザは飛沫感染と接触感染の2つの感染経路がある
  • インフルエンザの発症後は症状が急激に悪化し、高熱が続く3日目までがピーク
  • インフルエンザが家族に感染しないためには、こまめな手洗いを徹底する、咳エチケットを守る、換気と加湿を行うことなどが大切

インフルエンザは家族内で広がりやすい感染症ですが、適切な対策をとることでリスクを軽減できます。大切な家族の健康を守るためにも、手洗い・マスク・換気を徹底し、免疫力を高める生活習慣を意識しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師