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「ADHDの症状」はご存知ですか?子どもと大人の症状に違いについても解説!

 公開日:2025/03/24
「ADHDの症状」はご存知ですか?子どもと大人の症状に違いについても解説!

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、集中力の維持の難しさ・衝動的な行動・多動性が目立つなどの特徴を持つ発達障害の一つです。

その症状は子どもから大人まで幅広い年齢層にみられ、学業や仕事、人間関係に影響を及ぼすこともあります。

親として子どもの成長に不安を抱えることがある一方で、本人は自分の症状に気づきにくく、周囲との違いや困難を自覚しづらいことも少なくありません。

本記事では、ADHDの症状や診断基準などについてわかりやすく解説します。ADHDへの理解を深め、よりよい支援ができるような一助になれば幸いです。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状・原因

寝ている子供

ADHDの定義を教えてください。

文部科学省は、ADHDを年齢あるいは発達の不釣り合いな注意力および/または衝動性・多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものと定義しています。発達障害のリハビリテーションを専門に行う作業療法士で構成される日本作業療法士協会が作成した作業療法ガイドラインにおいて、ADHDは不注意(注意障害)・多動性(過活動)・衝動性の症状を特徴とする神経発達もしくは行動障害と定義しています。

ADHDの原因を教えてください。

ADHDの原因ははっきりとはしていませんが、遺伝的研究から家族内集積性があり、高い遺伝性があることがわかっています。また、環境要因として、母親の妊娠中の生活様式がADHDと関連しているという報告もあります。特に妊娠中の喫煙とのエビデンスがとても高いです。出生後の人工食品添加物の摂取や、アレルギー体質などとの関連性は明確なエビデンスは得られていません。

ADHDの症状を教えてください。

主な症状は下記のとおりです。

  • 注意力が散漫し集中できない(不注意)
  • 落ち着きがなくじっとできない(多動性)
  • 待つことが苦手なためすぐ行動してしまう(衝動性)

これらの症状は12歳より前からみられるため、日常生活において困難に直面する場面も少なくありません。場合によっては本人の自己肯定感が傷つくこともあり、保護者が子育てで悩みを抱えることもしばしばみられるでしょう。またADHDのほかに、うつ病・双極性障害・不安症などの精神疾患を伴っていたり、自閉症スペクトラム症・学習障害・チック症などの発達障害を伴っていることもあります。

子どもと大人ではADHDの症状に違いがありますか?

子どもは不注意や衝動性より多動性が目立つ傾向にありますが、大人は不注意が目立つ傾向にあります。より詳しく症状の違いを、幼児期・小学生年代・中高生年代・青年期以降の4段階にわけて説明します。

  • 幼児期:目立った不注意はほとんどないでしょう。じっとしているのが苦手なことはありますが、周囲の子と比べて目立つほどではありません。ただし、急に飛び出す・待てないなどの衝動性が注目されやすいでしょう。
  • 小学生年代:この時期から不注意が目立ちはじめやすいです。連絡帳やノートがうまくとれない・忘れ物が多い・よそ見が多いなどが挙げられます。また、多動性も不注意同様にみられるようになり、授業中に立ち歩いたり、大声で話しかけるなどが挙げられます。衝動性では、軽はずみな行動がみられ、ルールが守れないことにより他者とのトラブルも多くなるのが特徴です。
  • 中高生年代:ケアレスミスが多い・約束を忘れる・整理整頓ができないなど日常生活に支障をきたすような不注意が目立ちはじめます。授業中の離席は減りますが、落ち着いて授業が受けられない・じっとしているのが苦手という衝動性もみられます。衝動性は、感情的になりやすく、順番を待てないなどの症状が目立ちはじめるのが特徴です。このような症状から、反抗的になったり引きこもりがちになったりして、インターネットやゲームへの依存が高くなる可能性があります。
  • 青年期以降:青年期は中高生年代と大きくは変わりませんが、他人と比べたときに違和感を覚えはじめるでしょう。また、落ち着きがないことから、じっとしていないといけないような場面にストレスを感じやすくなります。このような状況から避けようと、ギャンブル依存やひきこもりに発展しやすいのも特徴です。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断・治療

カウンセリング

ADHDが疑われる場合は何科に相談すればよいですか?

18歳未満の子どもの場合は、児童精神科や小児科、発達外来を受診しましょう。病院によってはこころの窓口など発達障害を専門にしているところもあります。専門の医師や作業療法士、言語聴覚士などリハビリテーションの専門家も勤務しているところでは、発達検査なども実施してくれます。

ADHDの診断基準を教えてください。

ADHDの診断基準は、精神疾患の診断基準・診断分類のDSM-5が用いられます。DSM-5の診断基準は多動性・衝動性・不注意などA~Eまでの5種類があり、子どもの症状・年齢・どの程度日常生活に問題を抱えているか・ほかの精神疾患の有無などからADHDの診断を行います。

ADHDの治療方法を教えてください。

ADHDに対する治療方法は大きく分けて2つあり、心理社会的治療・薬物療法です。特に小学生期は心理社会的治療が必要不可欠といえます。学校との連携を密にとり、本人が抱える問題を両親と学校の先生とで共有しておくことはとても大切です。大人の場合は心理社会的治療に加え、トレーニングを行う場合があります。薬物療法は、神経伝達物質の伝達を調整する薬剤を使用します。また、ADHDをはじめ発達障害はリハビリテーションも有効です。幼児期や小学生年代の作業療法では、本人の興味に基づいて遊びを通して症状の改善を図るようなリハビリテーションを行います。

薬物療法ではどのような薬が使用されますか?

薬物療法は、主にドーパミンという伝達物質の伝達を調整する薬剤と、ノルアドレナリンやアドレナリンの伝達を調整する薬剤を使用します。使用する薬剤は、メチルフェニデートやアトモキセチンなどです。ただし、それぞれ効果のあらわれ方が異なるため、使い分け治療を行います。選択される薬剤のなかには、精神刺激薬と呼ばれる依存性のある薬剤もあるので、慎重に行う必要があります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の子ども・大人への接し方

親子

ADHDの子どもへの接し方を教えてください。

ADHDの子どもに対して、まずは子どもに寄り添い理解しましょう。丁寧に話を聞くことで、一緒に考えることができます。一緒に考え、振り返ることにより気づきを促し、その後に他者理解を促します。子ども主体の問題解決方略を行うことで、子どもの自尊感情を尊重する関わりを心がけましょう。本人を直接指導する場合も、行動のみを指摘して子ども自身を否定しない自尊感情への配慮がとても重要です。

ADHDの大人への接し方を教えてください。

ADHDの大人に対して、ADHDによる症状でうまく対応ができないときもあることを知っておきましょう。できない本人を責めるのではなく、できないことへの配慮やうまくできるようになるにはどのようにしたらよいのか話し合うなどするとよいでしょう。一緒に一つひとつの課題に適した方法で解決できるだけでなく、日常生活での困難さを軽減することにつながります。また、医療機関に相談することや同じ悩みを抱える自助グループへの参加もよいでしょう。自分一人だけで悩まず、同じ悩みを持つ方々と話をすることで抱えている問題解決の糸口を見つけることができるかもしれません。

編集部まとめ

シャボン玉で遊ぶ子供
ADHDは、不注意や多動性・衝動性を主な特徴とする発達障害です。

学業や友人関係の困難さ、大人では仕事や対人関係など日常生活にも支障をきたしてしまうこともあります。

専門の医師による診断が必要で、治療方法には薬物療法のほかに作業療法士・言語聴覚士によるリハビリテーションが行われます。

また、大人のADHDでは同じ悩みを抱える自助グループへ参加することで抱えている問題を解決するヒントを見つけることができるかもしれません。

この記事の監修医師

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