「色覚異常」になるとどんな「見え方」になるかご存知ですか?【医師監修】

色覚異常という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのように色が違って見えるのか、想像がつかない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 本記事では色覚異常の見え方について以下の点を中心にご紹介します。 ・色覚異常とは ・色覚異常の見え方 ・色覚異常の注意点 色覚異常の見え方について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
目次 -INDEX-
色覚異常の概要
色覚異常とはどのような状態をいいますか?
先天色覚異常について教えてください
男性に発症しやすい傾向があり、日本では男性の20人に1人程度、女性は500人に1人程度の割合で見られます。
両眼に同じ症状が現れ、進行することはないとされていますが、症状は色の違いが判別しづらい、またはまったく区別できないことがあり、患者さんによって程度が異なります。
幼少期には気付かれにくく、日常生活への影響は軽微な場合が多いとされていますが、信号機の色区別などで困難を感じる場合もあるため、検査による早期発見が重要です。
後天色覚異常について教えてください
・症状は疾患による違いや個人差が大きいとされていますが、白内障手術やほかの疾患治療によって改善が期待できることもあります。異常を感じた場合は早めに眼科を受診し、適切な診断と対応を受けることが重要です。
色覚異常の見え方と検査
色覚異常の見え方について教えてください
1型色覚異常では赤錐体が機能しないため、赤や緑、青と紫、ピンクと灰色の区別が困難とされています。2型色覚異常では緑錐体に異常があり、類似の組み合わせが区別しづらいものの、緑の明るさは変化がないようです。3型色覚異常は青錐体に問題がある稀なタイプで、全体的にくすんだ色合いに見えるとされています。
軽度の場合、日常生活への影響は少ないものの、夕暮れ時やLEDライトの色が判別しにくいなどの場面では不便を感じることがあります。
色覚異常で区別がつきにくい色の組み合わせを教えてください
・赤と緑 ・黄緑と橙色 ・茶と緑 ・緑と灰色、黒 ・青と紫 ・桃色と白、灰色 ・水色と桃色 ・赤と黒(特に1型色覚異常の場合)
これらの色は視細胞の機能低下や光の波長の近さによって混同されやすくなります。
色覚異常の検査について教えてください
次にパネルD-15テストを実施し、色を並べ替えることで異常の型や程度の判定につなげます。このテストでは、中等度の異常か強度の異常かを判断できるとされています。
確定診断にはアノマロスコープが使用され、特定の光の組み合わせに対する反応を調べることで異常の詳細を診断します。この方法はより精密に診断でき、異常の型と範囲を測定できる可能性が高いようです。
以上のような検査は適切な診断と対策のため、医師の指導の下で行われます。
色覚異常と診断されたら
色覚異常の場合、日常生活で注意することを教えてください
・信号の識別 赤と緑の区別が難しい場合があるため、信号の配置に注意してください。国内では信号の上下や左右の位置で区別できますが、海外では配置が異なる場合があるため、渡航時には運転に十分注意が必要です。
・明るい環境を利用する 薄暗い場所では色の判別が難しくなることがあるため、冷蔵庫や戸棚などは明るい照明を利用しましょう。
・色以外の情報を活用する 箸やタオルなどは手触りや形、模様など、色以外の特徴で区別できるように工夫してください。
これらの工夫を取り入れることで、快適な日常生活を送る手助けになります。
色覚異常の場合、学校生活でのサポートはどのようにすればよいですか?
・授業での配慮 図工や理科での色の使用に配慮し、色以外の情報(形や模様)を活用してください。例えば、教師が口頭で色の名前を伝える、明暗や大きさを工夫するなどが有効とされています。
・教材の工夫 最近の教科書や教材では、色覚異常に配慮したデザインが増えていますが、家庭や学校でこうした教材を活用し、色覚に頼らない学習環境を整えましょう。
・心理的配慮 特別扱いと感じさせないよう配慮し、子どもの自己肯定感を尊重してください。また、色覚異常を理由に劣等感を抱かせず、個性を伸ばせるよう指導しましょう。
それぞれに応じた支援により、子どもたちが安心して学べる環境を整えることが大切です。
進学・就職の際の色覚異常の影響について教えてください
就職においても、大半の職種では問題ありませんが、一部の業務(印刷や塗装、鮮度選定など)では困難を感じる場合があります。警察官や自衛官、消防官など特定の資格や職種では色覚に関する厳しい基準があるため、事前に確認が必要です。
色覚異常があっても、自身の特徴を理解し適切に対処すれば、さまざまな進路や職業で活躍できるため、本人の希望を尊重し、適性を考慮した選択をサポートしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
編集部まとめ
ここまで色覚異常の見え方についてお伝えしてきました。色覚異常の見え方の要点をまとめると以下のとおりです。 ・色覚異常とは正常な色の見え方と異なり、特定の色が区別しづらくなる状態で、先天色覚異常と後天色覚異常に分けられる ・色覚異常の見え方は、1型色覚異常では赤錐体が機能しないため、赤や緑、青と紫、桃色と灰色の区別が困難とされており、2型色覚異常では緑錐体に異常があり、3型色覚異常は全体的にくすんだ色合いに見えるとされている ・色覚異常と診断された場合は、信号の識別に注意を払い、明るい環境を利用したり、色以外の情報を活用したりなどのほか、お子さんの場合は学校生活でのサポートを心がけることが重要 色覚異常には独自の見え方がありますが、正しい情報を知ることや適切なサポートにより、日常生活の不便さの低減につながります。 この記事が色覚異常について理解する一助となりましたら幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。



