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突然手足などが腫れる「クインケ浮腫」を放置するとどうなる?【医師監修】

 公開日:2025/11/16
突然手足などが腫れる「クインケ浮腫」を放置するとどうなる?【医師監修】

クインケ浮腫という名前を、初めて耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 本記事では、クインケ浮腫について以下の点を中心にご紹介します。 ・クインケ浮腫とは ・クインケ浮腫の症状とは ・クインケ浮腫の治療法とは クインケ浮腫について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

クインケ浮腫の概要

クインケ浮腫の概要

クインケ浮腫とはどのような病気ですか?

クインケ浮腫は、急激な腫れを引き起こす病態で、主に皮膚の深部や粘膜下の組織に液体が溜まることにより発生するとされています。
この病気の特徴は、発症が突然であることと、特定の部位に限定されることとされています。
クインケ浮腫は、後述する遺伝的要素を持つ遺伝性血管性浮腫(HAE)と、外部刺激やアレルギー反応による後天性のタイプに分類されます。
また、クインケ浮腫の腫れは、皮膚の深い層に液体が溜まることにより発生し、表面には目立ちにくい浅い赤みや腫れが見られることが多い傾向にあります。

クインケ浮腫の症状にはどのようなものがありますか?

クインケ浮腫は、まぶたや唇、舌、手足などに突然生じる腫れを特徴とします。まぶたの腫れは特に目立ちやすく、朝起きた際に気付くことが多いとされています。
一方、舌やのどが腫れると、呼吸困難や嚥下障害といった危険な症状を引き起こす場合もあります。また、腸の粘膜が腫れるケースでは、腹痛や嘔吐、下痢が見られることがあります。
赤みやかゆみは少なく、皮膚はむくんだような見た目になりますが、数時間から数日続くこともあるため、症状が深刻化した場合には、早急な医療対応が必要です。

遺伝性血管性浮腫(HAE)について教えてください

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、特定の遺伝子異常によって発症する希少な病態です。主な原因はC1インヒビターというタンパク質の機能不全であり、この異常により血管の透過性が高まり、突然の浮腫が生じます。
C1インヒビターは、血液中のブラジキニンという物質の量を調節する役割を担っています。しかし、この調節がうまくいかずブラジキニンが過剰に生成されると、皮膚や粘膜の下に液体が溜まり、腫れや痛みを引き起こします。
遺伝性血管性浮腫の症状は、皮膚の腫れ、胃腸の障害、呼吸困難が突然現れることが特徴です。なかでも、喉に腫れが生じた場合、呼吸困難が悪化し、生命に危険が及ぶこともあるため、迅速な治療が必要です。

クインケ浮腫の原因には遺伝要因以外にどのようなものがありますか?

クインケ浮腫は遺伝的要因以外にも、さまざまな後天的な原因によって引き起こされることがあります。特に、特定の食物、薬剤反応、環境アレルゲン、および物理的な刺激が含まれまれるとされています。
食物によるアレルギー反応は、ピーナッツ、ナッツ類、魚介類、卵など特定の食材に対する過敏反応により発症することがあります。また、非ステロイド性抗炎症薬や一部の高血圧治療薬など、特定の薬剤が引き金となってクインケ浮腫を引き起こす場合もあります。
さらに、物理的な刺激や感染症もクインケ浮腫の原因となりえます。例えば、冷たい風にさらされた後や、身体的なトラウマがあった後に症状が表れることがあります。ストレスや疲労が蓄積されている場合にも、発症するとされています。

クインケ浮腫の診断と治療について

クインケ浮腫の診断と治療について

クインケ浮腫が疑われる場合は何科を受診すればよいですか?

クインケ浮腫が疑われる場合、軽度の腫れや皮膚の変化が見られるだけであれば、まずはかかりつけの皮膚科または内科での相談をおすすめします。 顔や舌、唇などの腫れが突然現れ、かゆみが少ない場合は、血管性浮腫の可能性があります。 症状が顔やお口の周りに限られ、呼吸に支障が出る場合や、症状が急速に進行している場合は、ただちに救急医療の対応が必要です。
さらに、不明なお腹の痛みや繰り返し起こる消化器系の問題がある場合、これも血管性浮腫の一症状である可能性があります。このような場合は、消化器内科を受診することがよいでしょう。
しかし、家族歴がある遺伝性血管性浮腫(HAE)を疑う場合、アレルギー科や免疫科での専門的な診断が推奨されます。

クインケ浮腫はどのように診断されますか?

クインケ浮腫の診断は、患者さんの症状の観察と、医学的検査によって行われることが多いとされています。
初めに、詳細な問診を通じて病歴を収集します。ここで医師は、腫れが発生する前後の状況、摂取した食物、薬物の使用、身体活動、そして同様の症状を持つ家族歴があるかどうかを確認します。 特に、腫れが急激に発生し、ほかのアレルギー反応と異なりかゆみが少ない場合、クインケ浮腫の可能性が高まるとされています。
次に、身体検査を行い、皮膚や粘膜の腫れの程度と位置を確認し、腫れがクインケ浮腫特有のものか、ほかの疾患に起因するものかの初期判断がなされます。
問診と身体検査の後、血液検査が行われます。この検査では、C1インヒビターの量と活性、補体成分C4のレベルを測定し、これらが異常に低い場合、遺伝性の血管性浮腫(HAE)の可能性が考えられます。
症状が顕著なときはさらに詳細な診断を行い、特定のアレルゲンに対するIgE抗体のレベルを調べることで、アレルギー反応が原因の蕁麻疹由来の浮腫かどうか区別します。
最終的な診断確定のために、遺伝子検査が推奨されることもあり、家族歴がある場合にはこの検査で分かります。
これらの検査結果を総合して、クインケ浮腫の診断が下されます。

クインケ浮腫の治療について教えてください

クインケ浮腫の治療方法は、その種類によって異なりますが、基本的には症状の管理と再発の防止が主な目的とされています。
非遺伝性血管性浮腫の場合、抗ヒスタミン薬が第一選択とされることが多いとされています。また、症状が重い場合や持続する場合には、トラネキサム酸の使用が推奨されることもあります。
遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療では、C1インヒビター製剤の投与により、HAEの急性発作を治療する際に重要な役割を果たすとされています。 これは血液から抽出された製剤で、欠乏しているC1インヒビターを補うことで、発作の重症度を軽減し、回復を早めることが期待できます。
さらに、HAEの発作予防には、外科手術や歯科治療などの物理的ストレスが予想される前に予防的な措置を講じることが推奨されます。

クインケ浮腫を発症したら

クインケ浮腫を発症したら

クインケ浮腫を放置するとどうなりますか?

クインケ浮腫を放置すると、その影響はときとして重大なものになり得ます。なかでも、腫れが鼻や喉に生じた場合、呼吸が困難になり、悪化した場合は窒息のリスクもあるとされています。このような症状が現れた際は、迅速な対応が求められます。
また、クインケ浮腫は一時的に腫れが引くことがありますが、根本的な原因が解決されていない場合、症状は再発する可能性が高いとされています。

クインケ浮腫の診断がついた後の日常生活で気をつけることを教えてください

クインケ浮腫と診断された場合、日常生活でいくつか注意すべき点があります。
まず、精神的なストレスや身体的な過労は浮腫を引き起こす原因になりえるため、適度な休息とリラクゼーションを心がけることが重要とされています。
次に、薬剤が発作のトリガーとなることがあります。特にACE阻害剤NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などは避けるべきとされています。
また、アレルギー反応を引き起こす食品や環境因子から遠ざかることも大切です。アレルギーが疑われる場合は、医師による詳細な検査を受け、具体的なアレルゲンを特定することが望ましいです。
最後に、家族や周囲の方々に状態を理解してもらい、必要なサポートを受けられるようにすることも重要とされています。

突然発作が起きた場合どのように対処すればよいですか?

遺伝性血管性浮腫(HAE)などの突発的な発作が起きた場合、迅速かつ適切な対応が重要とされています。
まず、呼吸が困難になったり、喉の腫れを感じたら、ただちに救急車を呼ぶ必要があります。このとき、遺伝性血管性浮腫であることを救急隊員に明確に伝えることが重要です。発話が困難な場合は、緊急時連絡カード事前に準備したメモを活用しましょう。
また、発作が起こりそうな前兆を感じた場合は、予防薬の服用を検討することも一つの手段です。ただし、このような処置はあらかじめ医師と相談し、指示に従うことが必要になります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

クインケ浮腫と診断された場合、まずは家族や友人、職場の方などに自身の状態を伝えておくことが重要とされています。 そして、何よりもご自身のお体を大切にし、ストレスを溜めず日常生活を過ごしてください。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでクインケ浮腫についてご紹介しました。クインケ浮腫についてまとめると、以下のとおりです。 ・クインケ浮腫とは、急激な腫れを引き起こす病態で、主に皮膚の深部や粘膜下の組織に液体が溜まることにより発生するとされている ・クインケ浮腫の症状とは、特定の体部に急速に腫れが発生することが特徴とされこの病態は、まぶた、唇、舌、手足、さらには消化管に至るまで多岐にわたる部位に影響を及ぼす可能性があるとされている ・クインケ浮腫の治療法は、非遺伝性血管性浮腫の場合、抗ヒスタミン薬が第一選択とされる。遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療では、より専門的なアプローチが必要とされC1インヒビター製剤の投与が行われている クインケ浮腫の発症は急激に起こるとされているため、異常が感じられた場合は病院への受診が推奨されています。 これらの情報が皆様のお役に立てますと幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師