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「眼瞼痙攣 」の原因・症状を和らげる方法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/04/21
「眼瞼痙攣 」の原因・症状を和らげる方法はご存知ですか?医師が監修!

眼瞼痙攣 (がんけんけいれん)とは、ご自分の意思とは関係なく瞬きが増えたり、目が開けられなくなる病気です。

軽度なものであれば目の周りがぴくぴくと動く程度ですぐ直りますが、重症化すると目が開けられなくなって見えなくなるなど、日常生活に大きく支障が出ることもあります。

そのような状態にしないためにも、具体的な症状や治療方法などを知りたいと考えている方は多いでしょう。

そこで本記事では、眼瞼痙攣がどのような病気かをご紹介します。原因・受診するべき症状・診断・治療方法・症状を和らげる方法など詳しく解説するので、参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

眼瞼痙攣とは

女性

眼瞼痙攣はどのような病気でしょうか?

眼瞼痙攣とは、まぶたを閉じる筋肉が不随意に収縮することで痙攣を起こす病気です。
ご自分の意思とは関係なく瞬きが増えたり、悪化すると目が開けられなくなったりすることがあります。
男女共に発症する可能性がありますが、比較的中高年の女性に多く見られる点が特徴です。

症状を教えてください。

この病気の主な症状は、次のようなものが挙げられます。

  • 瞬目異常
  • 眼精疲労
  • 羞明
  • 痙攣
  • ドライアイ

主な症状の1つが瞬目異常です。初期の頃は瞬きの回数が異常に増える現象で、悪化すると急に目が閉じてしまって開けにくくなることがあります。
また、眼精疲労も主な症状に挙げられます。目の疲れを感じて重たく感じる症状で、目を閉じている方が楽になる方も多いです。
羞明とは、屋内のライトなどがまぶしく感じるような症状です。目を開けづらくなるほどまぶしく感じる方もいます。
主な症状としては、目がぴくぴくと痙攣するような症状も現れます。
さらに、ドライアイもこの病気に見られる合併症状の1つです。
感じ方は様々で、目の異物感・乾き・ゴロゴロするように感じる方もいます。

発症する原因は何でしょうか?

眼瞼痙攣を発症する原因ははっきりとは分かっていませんが、次のようなものが考えられています。

  • 大脳基底核の異常
  • 血管や腫瘍による圧迫
  • 薬の副作用

この病気の原因として考えられているのが、大脳基底核の異常です。
通常顔の筋肉は、大脳基底核から指令が出され、脳からつながる顔面神経によって制御されています。
しかし、大脳基底核に異常があると、正常な信号が送られず上記のような症状を引き起こすのです。
特に両目に症状が現れる場合の原因は、大脳基底核が関係していると考えられています。
一方、片目だけに症状が現れる場合には、血管や腫瘍による圧迫が原因だと考えられています。
筋肉に至る顔面神経のどこかで、血管や腫瘍に圧迫されているために眼瞼痙攣が起こるのです。
また、原因としては薬の副作用も関係していると考えられています。
安定剤・睡眠導入剤・抗精神薬などの副作用で発症している症例が報告されているのです。

受診を検討するべき症状を教えてください。

次のような症状が現れた場合には、医療機関への受診を検討しましょう。

  • 痙攣が数日間続く場合
  • まぶたが開けられなくなった場合
  • 視力の低下が感じられた場合

痙攣が数日間続く場合は、受診を検討すべきです。
軽度の段階であれば、数分経つと改善することがほとんどです。
しかし、数日間続くようであれば常に目がぴくぴくと動いてしまい生活に支障をきたすため、受診を検討しましょう。
また、まぶたが開けられなくなった場合も受診を考えるべきです。
まぶたが開けられなくなった場合、視界が狭くなり指でまぶたを持ち上げなければならなくなります。
さらに、視力の低下が感じられた場合も受診を検討すべきです。
その他にも、先述したような症状が普段とは違うケースや悪化したと感じた場合は、日常生活への影響も大きいため専門の医療機関への相談をおすすめします。

眼瞼痙攣の検査と治療

眼精疲労

どのような検査で診断されるのでしょうか?

眼瞼痙攣の検査は、次のようなものが挙げられます。

  • 問診による検査
  • 随意瞬目テスト
  • 涙液検査
  • 筋電図検査
  • ポジトロンCT

1つ目の検査方法としては、問診です。
眼瞼痙攣で現れやすい特徴的な症状の有無を確認し、同時に瞬きを素早く行ったりまぶたを強く閉じた後に開けるかなどの試験も行います。
2つ目の検査が随意瞬目テストです。
この検査は、痙攣を一時的に誘発する方法です。医師の前で痙攣が起きていれば容易に診断できますが、常に痙攣が起きているとは限りません。そのため、誘発させて眼瞼痙攣の症状に該当するかを見極めます。
3つ目の検査方法が涙液検査です。
この検査方法は、眼瞼痙攣に合併しやすいドライアイが発症していないかを調べるための検査です。
4つ目は筋電図検査が挙げられます。
この検査では目の筋肉や神経の信号の伝わり方を確認して、痙攣が生じているかを調べます。5つ目のポジトロンCTとは、原因として考えられている大脳基底核などの脳の組織に異常がないかを確認する方法です。

治療方法を教えてください。

この病気を根本的に治す方法は、現在ありません。しかし、症状を和らげるために下記のような治療を行います。

  • ボトックス注射
  • 薬物治療
  • 遮光眼鏡
  • クラッチ眼鏡

治療方法の1つが、ボトックス注射です。
筋肉の働きを抑える効果が期待できるボツリヌス菌を目の周りに注射し、まぶたの不随意な動きを抑制します。
効果は2~4カ月程度持続し、効果がなくなると再度注射する必要があります。
次に薬物治療も治療方法の1つです。
抗コリン製剤・抗うつ剤・抗痙攣薬の内服薬や人口涙液の点眼薬などを用いて治療します。
さらに、遮光眼鏡クラッチ眼鏡を使った症状に合わせた対処療法もあります。
遮光眼鏡はまぶしさを感じる場合に、光の一部をカットしてまぶしさを抑えて痙攣を生じにくくする方法です。
クラッチ眼鏡は、まぶたを押し上げる棒が付いた眼鏡で、目を開きやすくする道具です。

手術することもあるのでしょうか?

この病気は手術をすることもあります。先述した治療方法で症状の改善ができない場合に手術を検討する流れです。手術は次の方法で行います。

  • 眼瞼皮膚切除術
  • 眼輪筋切除術

眼瞼皮膚切除術とは、まぶたの余分な皮膚を切除してまぶたを持ち上げる方法です。
眼輪筋切除術とは、痙攣に大きくかかわる眼輪筋を切除する方法です。
患者様の症状や目の状態に合わせて手術方法を選び行います。

ボトックス注射は眼瞼痙攣の治療に効果があると聞いたのですが…。

先述したように、ボトックス注射はこの病気の治療に効果が期待できます。
ボツリヌス菌を注射することで筋肉の働きを抑えられるので、目が不随意に痙攣を起こさないようにできるのです。
また、効果が早く現れて長く続く点も特徴です。2~3日程度で効果が表れ始め、2~4カ月程度は効果の持続が期待できます。
治療時間も短いため体への負担が少ない点も魅力です。
しかし、1度注射をして永久的に痙攣を治せる方法ではありません。
効果が切れると再び症状が発生してしまうため、定期的に治療を受ける必要があります。

眼瞼痙攣の予後

医師

眼瞼痙攣は完治しますか?

眼瞼痙攣は、完治が難しい病気です。
軽度である場合は、一時的に症状が落ち着くことはあります。
しかし、完治しているわけではなく、再び大脳基底核の異常や神経の異常が発生すると症状が現れる可能性があります。
手術であれば症状を軽減させられますが、それ以外の治療方法では治療を止めると再び発症するでしょう。

症状を和らげる方法があれば教えてください。

この病気の症状を和らげる方法としては、次のような方法があるため、日常生活でも予防に取り組みましょう。

  • 適度に目を休める
  • 十分な睡眠時間を確保する

目の疲れやストレスは症状を悪化させる可能性があるため、疲れたと感じたら無理をせずに目を休ませましょう
例えばパソコンを使っている方の場合は、1時間ごとに15分の休憩を取り、蒸しタオルなどで目の周りを温めるなどすると良いです。
さらに十分な睡眠時間を確保することも大切です。
睡眠は体を休める重要な役割があるため、最低でも6~7時間は寝るようにしましょう。
質の良い睡眠のためには、就寝の2時間程度前からデジタル端末を見ないようにしたり、間接照明を使って明るすぎない環境にしたりといった工夫も大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

眼瞼痙攣は、ご自分の意思とは関係なく瞬きが増えたり目を開けられなくなったりする病気です。
誰しも起こり得る病気であり、万が一目をあけられなくなってしまえば、物理的に失明することも考えられます。
目がぴくぴくするようなちょっとした症状でも、悪化すると大変な状況になる可能性もあるため注意しましょう。
万が一症状に不安がある方やご自分の目に違和感をおぼえた方は、専門の医療機関を受診して早めに治療を受けましょう。

編集部まとめ

女医
眼瞼痙攣は、目が開けられなくなるといった症状が発症するかもしれない病気です。瞬きが増えたり光がまぶしく感じたりする場合は、この病気を疑った方が良いかもしれません。

はっきりとした原因は分かっておらず、治療方法も対症療法が中心であるため、症状を和らげ悪化させないようにすることも大切です。

目の病気が悪化すると日常生活への支障も大きいです。少しでも違和感をおぼえて眼瞼痙攣が疑われる場合は、早めに医療機関を受診して悪化を防ぎましょう。

この記事の監修医師