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「五十肩の原因」はご存知ですか?発症した際にやってはいけないことも解説!

 公開日:2025/01/10
「五十肩の原因」はご存知ですか?発症した際にやってはいけないことも解説!

五十肩という言葉、一度は聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。「突然、肩があがらなくなった」「肩をあげようとすると痛みが出る」などそういった症状が出て生活に支障が出ている方は、少なくありません。

肩の痛みや動かしづらさが長引くこの症状は、日常生活に少なからず支障をきたす厄介なものです。

そこで今回は五十肩の原因を解説し、症状の特徴や治療法、そして毎日の生活で役立つ予防法までをわかりやすくご紹介します。肩の不調でお悩みの方や予防を考えている方は、ぜひお読みください。

松繁 治

監修医師
松繁 治(医師)

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経歴
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定 脊椎内視鏡下手術・技術認定医

五十肩の原因と症状

肩痛い

五十肩の原因を教えてください。

関節を構成する骨や軟骨、靭帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起こることが主な原因です。肩関節の動きをよくする袋や関節を包んでいる関節包が癒着する(くっついてしまう)ことや硬くなることでさらに動きが悪くなってしまいます。病院を受診すると肩関節周囲炎と診断されることがあるでしょう。

五十肩にはどのような症状がありますか?

五十肩は、肩の痛みや動きの制限によって日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。症状は個人差がありますが、大きく痛みと動きの制限の2つに分けられます。

  • 痛み
  • 動きが悪くなる

肩を動かすときに痛みが生じたり、動かさなくても夜にズキズキして(夜間痛)、眠れないといった強い痛みがでることがあります。次に動きの悪さは、手をあげようとすると一定以上の高さまでしか上がらなくなってしまう症状です。そのため、服を着ることや洗濯物を干す際に不自由になってしまいます。これらは3つの段階を経て、回復し症状が回復するまでは3年程かかる方もいます。

  • 炎症期:初めは痛みが出て肩を動かすことが苦痛になります。何もしなくても痛みがあり、夜間の痛みが強くなり、次第に関節の動きが制限されます(拘縮)。
  • 拘縮期:拘縮が中心となり、痛みは軽減していきます。
  • 完解期:拘縮が徐々になくなり、動きが改善します。

五十肩は時間の経過とともに症状が改善する傾向がありますが、適切な治療やリハビリを行うことで回復を早めることが可能です。症状に気づいたら、無理をせず専門家に相談し、適切な対策を講じましょう。

五十肩になりやすい人の特徴を教えてください。

五十肩は特定の生活習慣や健康状態が要因となり、発症リスクが高まることがあります。以下に、五十肩になりやすいとされる特徴をご紹介します。

  • 糖尿病を患っている方
  • デスクワークなど1日で動く機会が少なく、長時間同じ姿勢をする方
  • 甲状腺疾患がある方
  • 血中コレステロールや中性脂肪が高い方

これらの要因が当てはまる方は、肩に負担をかけない生活習慣や予防策を意識することが大切です。五十肩のリスクを軽減するために、早めのケアを心がけましょう。
普段から運動習慣がない方も、五十肩になりやすい傾向があります。

肩こりとはどのような違いがありますか?

肩こりとは、首すじや首の付け根から肩または背中にかけて、ハリ感や痛みなどを感じてひどい場合は頭痛や吐き気を伴うことがあります。初めは肩こりと五十肩の症状は似ていますが、五十肩の場合、突然肩が動かなくなるのが特徴です。

五十肩の治療法・検査法

検査

五十肩の検査法を教えてください。

鑑別方法としては、CTやMRIといった画像検査が有効です。画像検査では主に骨や靭帯、筋肉や軟骨などの状態をチェックします。また、肩の可動範囲や痛みの部位によって、治療方法や進行段階が異なるためこれらの確認はとても重要です。

五十肩の治療法にはどのようなものがありますか?

五十肩の治療法は、症状の進行段階によって異なります。炎症期では、肩を安静に保つことが大切なため、痛みをやわらげるために鎮痛剤やヒアルロン酸注射・ステロイド注射が使われます。この時期は無理な動きを控え、炎症を悪化させないことが重要です。次の拘縮期では、血流を促進しながら筋肉をほぐすために、肩を少しずつ動かしていきます。リハビリを進める際には、無理をしない範囲で行うことがポイントです。寛解期に入ると、痛みに注意しながら肩の動きを取り戻すための運動を積極的に行います。ただし、急激に激しい動きをすると再び痛みを引き起こす可能性があるため、慎重に進めていきましょう。それぞれの段階に応じた適切な治療を行うことが、五十肩の改善につながります。自分がどの病期にあるかを把握することが重要です。治療を行うにあたって、動かす加減を自己判断することが難しいことがあります。その際にはリハビリテーション(理学療法士・作業療法士)を受け、運動の方法や適切な負荷を教わることも大切です。

五十肩と間違えやすい疾患はありますか?

五十肩(肩関節周囲炎)は、肩関節周辺の炎症や硬化によって痛みや可動域の制限が生じる疾患です。その症状には、肩の痛み・腕が上がらない・夜間痛などがあり、多くの方に共通して見られる特徴的な状態です。

  • 腱板損傷・腱板断裂
  • 石灰化性腱炎
  • インピンジメント症候群

1つ目の腱板損傷・腱板断裂は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ腱のいずれかが損傷または断裂している状態です。五十肩と同じように肩の痛みや夜間痛、腕が上がらないといった症状が現れます。2つ目は石灰化性腱炎は肩にカルシウムが沈着することによって起こります。特徴として、安静時や夜間に激しい痛みが見られることが挙げられます。3つ目のインピンジメント症候群は、肩を上げる動作の途中で痛みを感じることが多く、特定の角度で痛みが強くなるのが特徴です。肩を完全に上げたときよりも途中での痛みが目立つ場合があります。

五十肩の予防法

ストレッチ

五十肩に効果的なストレッチを教えてください。

効果的なストレッチとしてまずは肩甲骨を動かすように意識をしましょう。肩甲骨は、肩を動かす際に重要な筋肉が複数ついています。五十肩の場合、肩甲骨周囲の筋肉も硬くなってしまいます。ゆっくりと片側ずつ、肩甲骨を意識しながら肩を前後ともに回すことから実施してみましょう。姿勢の改善も効果的です。姿勢と肩の動きはお互いに影響しあっているため、悪い姿勢を行うことで負担をかけてしまっている可能性があります。肩の痛みがある方でも実際には姿勢の悪さから、肩甲骨や肩周りの筋肉が動かないことが影響して、痛みにつながっていることがあります。

五十肩を緩和する寝方のコツを教えてください。

五十肩の場合、痛みが強いときは楽な姿勢で安静にすることが大切です。寝るときには、痛みがある肩を下にしてしまったり、肩よりも肘を下げないようにしましょう。抱き枕を使用すると、肩が下がらず負担を軽減できます。

五十肩のときにやってはいけないことはありますか?

五十肩(肩関節周囲炎)の際は、以下の点に注意しましょう。適切な対処を心がけることで、回復を早めるとともに悪化を防ぐことができます。

  • 無理に動かして痛みを我慢しない
  • 冷やしすぎない
  • 放置して完全に動かさない
  • 急激な負荷をかけない
  • 自己流の治療をしない
  • 身体を冷やさない

五十肩の症状を軽減し、回復を促進するためには、上記の注意事項に気をつけ、適切なケアと医療機関での治療を並行して行うことが大切です。専門家のアドバイスを受けながら無理のない範囲でリハビリを行い、肩の状態に合った環境づくりを心がけましょう。適切な対応を続けることで、快適な日常生活への復帰を目指すことができます。

編集部まとめ

肩を上げる
五十肩の原因や症状、治療法などを解説しました。五十肩の原因としては、関節を構成する骨や軟骨、靭帯や腱などが老化して肩関節の周囲の組織に炎症が起きることが主な原因です。

肩の痛みが出てしまう、肩の動きが悪くなってしまうといった症状があり、3つの病期を経て治ります。治療は、病期によって異なりますが、初めは安静にしつつ痛みがなくなってきたら徐々に動かすのが大切です。

自分がどの病期であるのかをしっかりと理解したうえで、治療を行っていきましょう。予防方法として、肩甲骨の動きを出すようにストレッチを行い、また、姿勢の改善にも取り組むことが重要です。

生活のなかでも、寝るときの姿勢や肩だけを使うようにしないといった注意が必要になります。五十肩に似た症状を持つ疾患もあるため、自己判断せず、早めに整形外科を受診し検査を受けましょう。

この記事の監修医師