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「アッヘンバッハ症候群」の原因・予防する食べ物はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「アッヘンバッハ症候群」の原因・予防する食べ物はご存知ですか?医師が監修!

急に手足の指先が痺れて調べた結果アッヘンバッハ症候群という病名がわかったけれど、どんな病気かわからない方が多いかと思います。

ご自身でネットを調べても情報量が少ないので不安な状況ではないでしょうか。

この記事ではアッヘンバッハ症候群の詳しい症状を説明します。またアッヘンバッハ症候群になりやすい方や、症状が出た場合の対処方法を詳しく解説します。

不安な状況でも焦らず正しい情報を確認して対処しましょう。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

アッヘンバッハ症候群はどのような病気?

考えごとをする女性

アッヘンバッハ症候群はどのような病気でしょうか?

手足の指をぶつけたり切ったりしていないのに急に痛みを感じる病気です。
主な症状としては手足の指が突然痛む・痺れる・指に紫斑ができるなどの症状があげられます。特に症状が出やすいのは手の人差し指や中指です。まれに足底や足趾に同様の異常感覚の症状がおこる場合もあるでしょう。
痛みの強さも人それぞれでチクッと痛みを感じる方もいれば、針で刺されたような鋭い痛みが続く症状の方もいます。血液が一ヶ所に溜まってこぶのように膨れ上がる血腫ができることもあり、指を屈曲するのに支障をきたす場合もあるかもしれません。
血腫は最初のうちは一部だけで徐々に範囲が広がっていき、その後紫斑が残ることもあります。時間が経つに連れ紫斑もなくなり元通りになります。
痛みとともに出血を来す疾患を考えた場合、鑑別すべき疾患としては、血管炎症候群(紫斑病:IgA血管炎など)との鑑別が重要です。放置すると急性腹症・腎機能障害などをきたす可能性があります。
血小板数、血液凝固機能、ANCA、好酸球数などの測定は必要です。

発症する原因は何でしょうか?

1995年にドイツのAchenbach(アッヘンバッハ)によって提唱された疾患概念ですが、現在でも明確な原因は解明されていない部分が多いです。
強いて原因としてあげるとすれば加齢に伴う血管の老化の可能性があるでしょう。加齢と共に血管が脆くなり少しの衝撃で皮下出血してしまい、血腫を作る可能性が考えられます。
衝撃といっても強くどこかにぶつけたというわけでもなく、自分でも気づかないくらい些細な衝撃で症状が出てしまいます。例えば少し重たい荷物を持つ・容器の蓋や水道の開け閉めなどの些細な出来事です。
強い衝撃ではないにもかかわらず急に痛みや紫斑が現れるため、何か重い病気なのではと不安に思う方が少なくありません。

どのような人がなりやすいですか?

40代から50代以降の中高年女性に症状が出やすい傾向があります。
女性に多い傾向があるのは、男性に比べ家事や水回りで指先を使う機会が多いためだと考えられます。
アッヘンバッハ症候群の原因に血管の老化の可能性があることをお伝えしましたが、普段の生活でタバコを吸っている・野菜を食べない・運動をせず生活リズムが崩れている方は注意が必要です。生活習慣の乱れから人の体にある細胞が老化してしまいます。
その結果血管の老化を早めてしまいアッヘンバッハ症候群をおこす確率をあげてしまうでしょう。

20代や30代の若者が発症することもあるのでしょうか?

中高年の方に比べると発症する確率は下がりますが、20代・30代の若者でも発症することはあります。
上述の『どのような人がなりやすいですか?』でも解説しましたが、血管の老化には生活習慣が関わってきます。偏った食生活や生活リズムの乱れは、中高年や高齢者に比べ若者の方が多い傾向です。
若者だから症状は出ないだろうと油断せず生活習慣を見直すことが大切です。

アッヘンバッハ症候群に似た別の病気があると聞きましたが…。

紫斑のように指の色が変わる似た症状のレイノー現象があげられます。
レイノー現象とは寒冷が起因で動脈が縮むことにより手足の色が白色・紫色・赤色に変化する疾患です。寒冷によるものなので30分から40分指を温めることで通常の指の色に戻るでしょう。
基礎疾患がないのにもかかわらず症状が出る場合はレイノー病(原発性・一次性)と呼ばれます。基礎疾患のある方がレイノー現象を発症した場合はレイノー症候群(二次性)と呼ばれます。
基礎疾患としてあげられるのは膠原病・全身性強皮症・関節リウマチ・動脈硬化・甲状腺機能低下症などです。

アッヘンバッハ症候群の受診と治療

診察をする医師

アッヘンバッハ症候群は何科を受診すれば良いでしょうか?

希少疾患のため、受診した病院で診断がつかない場合も多いです。その場合は血液内科・膠原病内科・皮膚科などの専門科を紹介してもらいましょう。

治療方法を教えてください。

基本的には経過観察して自然治癒させることが多いです。外傷や血液凝固能異常ではないので治療方法も定まっていないのが現状です。
医師の判断によっては止血薬や血管強化薬を使用して同様に経過観察するでしょう。また必要に応じて患部に湿布を貼る・痒みがあれば軟膏を塗るなどの治療方法もあります。

どのような検査で診断されますか?

問診・触診・視診するのが一般的です。
場合によっては骨に異常がないか確認するためにレントゲン検査や、血液に異常がないか確認するために血液検査をすることもあるでしょう。

自然に治ることもあるのでしょうか?

一般的には短期間で自然治癒される方が多いでしょう。期間としては数日が目安ですが短い期間で症状を繰り返すこともあるでしょう。また数ヶ月後・数年後に同様の症状が現れることもあります。
いずれにしても基本的には自然治癒するでしょう。

アッヘンバッハ症候群の対処法

指

自分でできる対処法はありますか?

患部を冷やすことが大切です。保冷剤や氷などをタオルで巻いて患部にあてて冷やして経過観察しましょう。
指を屈曲するのに痛みが伴うけれどどうしても家事や仕事で指先を使いたいという場合は、テーピングを巻いてサポートするといいでしょう。キツく巻きすぎると症状が悪くなる可能性もあるので優しく2〜3周関節部分に巻くようにしましょう。

アッヘンバッハ症候群を予防する食べ物を教えてください。

血管の老化を予防しながら健康に保つことが大切です。
血管を強くするビタミンCや、血行促進作用のあるビタミンEが多く含まれる食べ物としてトマトがあります。
青魚と呼ばれているイワシ・サバ・サンマにはDHAやEPAが豊富に含まれています。オメガ3系脂肪酸が含まれているので血行促進や血行強化が期待できるでしょう。
一回の食事で全てを摂取するのは大変かと思うので、サプリメントで補っていただいても結構です。血管はタンパク質から作られているのでお肉や卵も欠かさず摂取するといいでしょう。
反対に塩分の多い濃い味付けには注意が必要です。加齢とともに味付けが濃くなりがちですが、塩分を過剰摂取すると高血圧を引きおこしやすくなり血管の老化を促進してしまいます。
栄養ばかり気にするのではなく、塩分も控えめにした食事を心がけましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

手足の指先には血管や神経が集中しており、体に異常があった際にサインが出やすい場所でもあります。
アッヘンバッハ症候群は数日で自然治癒することが多いですが、似た症状で別の病気の可能性も否定はできないでしょう。ご自身で判断されて様子を見た結果、重い症状の病気で大きな手術が必要になる可能性もあります。
一度に多くの紫斑や症状が長期間続くようであれば、放置するのではなくまずは病院で受診してください。
病院によっては症例が少なくすぐにアッヘンバッハ症候群と診断されないこともあるかもしれません。原因が分からないときは経時的に同じ検査を繰り返すことがありますが診断にとても重要なことです。
少しでも早く原因がわかるようにしっかりと検査を受けましょう。

編集部まとめ

人差し指
この記事を通してアッヘンバッハ症候群の症状を初めて知った方が多いかと思います。

原因も未知な部分が多く調べても情報が出てこず不安な状況でしょう。

良性の症状とはいえ指が変色する場合もあり、見た目で何か重い病気なのではないかと心配になる方も少なくありません。

アッヘンバッハ症候群と別の病気を判断するのはとても難しいです。

1人で悩んでも不安でストレスになってしまいますので焦らず、まずは医師に相談してアッヘンバッハ症候群か診断してもらいましょう。

この記事の監修医師