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「ノロウイルスの原因」はご存知ですか?感染経路や潜伏期間も解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/04
「ノロウイルスの原因」はご存知ですか?感染経路や潜伏期間も解説!【医師監修】

ノロウイルスは手指や食品を介して感染するウイルスで、冬型の胃腸炎・食中毒の原因として知られています。

ヒトの腸管内でのみ増殖し、感染すると主に腹痛・下痢・嘔吐などの症状を引き起こします。

通常は数日で症状が改善しますが、乳幼児や高齢者が感染すると、脱水などのリスクがあり注意が必要です。

この記事では、ノロウイルスに感染する原因や感染経路、潜伏期間について解説します。またノロウイルスの症状や治療方法・予防対策も詳しく解説します。

眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

ノロウイルスの原因

空いたトイレの蓋とウイルス

ノロウイルスの特徴を教えてください。

ノロウイルスは世界中に分布し、乳児から高齢者まであらゆる年齢層に感染します。主な症状として、腹痛・下痢・嘔吐などを引き起こします。通常は数日で症状が改善し、軽症で済むことが多いです。しかし、乳幼児や高齢者の場合は脱水を引き起こす可能性もあります。高齢者の場合、嘔吐による誤嚥性肺炎のリスクもあるため注意が必要です。ノロウイルスは一年を通して感染性胃腸炎や食中毒の原因となりますが、特に秋から春に発症者が増え、冬にはその傾向が顕著です。

ノロウイルスの原因を教えてください。

ノロウイルスに感染する原因として、感染者の糞便・吐瀉物から排出されたウイルスが、手指や食品を介して感染することが考えられます。

感染経路にはどのようなものがありますか?

ノロウイルスの主な感染経路は経口感染です。具体的に次のようなものが考えられます。

  • 糞便・吐瀉物の処理を行う際に二次感染した場合
  • 家庭や共同生活を行う施設などで直接飛沫感染した場合
  • 食品製造者や飲食店の調理者が感染しており、感染者を介して汚染した食品を摂取し感染した場合
  • ノロウイルスに汚染された二枚貝を生のまま、あるいは十分な加熱をせずに摂取し感染した場合
  • ノロウイルスに汚染された水道水を消毒不十分な状態で摂取した場合

このように、ノロウイルスの感染経路は数多くあり、感染制御を難しくする要因となっています。

ノロウイルスの潜伏期間はどのくらいでしょうか?

ノロウイルスの潜伏期間は、12時間から2日程度です。

ノロウイルスの症状・治療方法

お腹を押さえる女性

ノロウイルスの症状にはどのようなものがありますか?

ノロウイルスは大変感染力の強いウイルスで、主に食べ物や水を介して感染します。感染すると、通常24時間から48時間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が現れます。ノロウイルスの症状は以下のとおりです。

  • 腹痛
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 咽頭痛
  • 筋肉痛

主に腹痛・下痢・嘔吐が見られます。これらの症状は、通常であれば1〜3日程度で改善しますが、乳幼児や高齢者の場合は脱水状態に陥ることもあります。また高齢者が感染した場合、吐瀉物による窒息や誤嚥性肺炎のリスクがあるため注意しましょう。同居する家族や施設スタッフが症状の悪化に注意するとともに、食事摂取状況の観察を行い、必要があれば速やかに医療機関を受診することが重要です。嘔吐が落ち着いたら、こまめな水分摂取や消化しやすい食事摂取を促しましょう。また症状が消失した後も、約ヵ月程度はノロウイルスが糞便中から排出されるため、感染対策はしっかりと継続する必要があります。

ノロウイルスの診断はどのように行いますか?

ノロウイルスの診断は、主に患者さんの臨床症状や周囲での感染状況を考慮し、総合的に判断されることが一般的です。しかし、臨床症状だけからはノロウイルスが原因と特定することは困難です。ノロウイルスの検査として、ノロウイルス抗原検査があります。3歳未満の乳幼児や65歳以上の高齢者を対象に、医師が医学的に必要と判断した場合にのみ行われ、保険適用が可能です。結果が早く出るというメリットがありますが、ノロウイルスに感染していても陽性と判定されない場合もあります。ノロウイルスのより正確な診断には、ウイルス学的手法が用いられます。これは患者さんの糞便や吐瀉物を用いて、電子顕微鏡法・RT-PCR法・リアルタイムPCR法などの技術を使ってウイルスの遺伝子を検出します。糞便には大量のウイルスが含まれていることから、容易にウイルスの検出が可能です。医療機関では基本的に行われず、食中毒や集団感染の原因究明を行う目的で行政機関や研究機関などで行われています。

ノロウイルスの治療方法を教えてください。

ノロウイルスに効果のある抗ウイルス薬はなく、治療方法は対症療法のみです。軽症の場合多く、特別な治療を必要としないことがほとんどです。しかし十分な食事や水分を摂れず、脱水状態に陥った場合には、輸液を行うことがあります。乳幼児や高齢者は特に脱水になりやすいことから、症状の悪化や食事摂取状況に注意が必要です。嘔吐の症状が落ち着いたら、少しずつこまめに水分を補給し、安静に努めましょう。また回復期には、消化しやすい食事を摂取するのが望ましいです。

ノロウイルスの予防方法・対策

手を洗う

手洗いはどのようにすればよいですか?

手洗いの手順は以下のとおりです。

  • 流水ですすぐ
  • 泡を手につけ、手のひらをこする
  • 指の間をこする
  • 手の甲をこする
  • 指先をこする
  • 親指の付け根をこする
  • 流水で泡をしっかり落とす

手洗いの際は、指の間や付け根、手首までしっかり洗うことを心がけましょう。洗い残しやすい手の甲や指先を意識して洗うことも重要です。また、手荒れ部分にも汚れが残りやすいため、手の保湿をこまめに行いましょう。手洗いをすると、しない場合に比べて手指の残存ウイルスを大幅に減らすことができます。手洗いをしない場合に約1,000,000個だった残存ウイルスは、流水だけで約10,000個まで減らせます。ハンドソープで60秒もみ洗いした後、流水で15秒すすいだ場合、残存するウイルスは約10個です。さらに、ハンドソープで10秒もみ洗いした後に流水で15秒すすぐことを2回繰り返すと残存ウイルスが数個まで減らせることがわかっています。この結果から、ハンドソープでもみ洗いをした後、流水ですすぐことを繰り返すと感染予防に効果的です。日常生活で注意深く手を洗うべきタイミングとしては、吐瀉物を処理または接触した後や乳幼児の下痢や嘔吐に対応した後、公衆トイレを使用した後などです。また、日頃から帰宅時や食事前にはしっかりとハンドソープで手を洗う習慣をつけることで感染しにくくなります。

家族が感染した場合の注意点を教えてください。

ノロウイルスは85度で1分以上の加熱をするか、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒により不活化します。そのため、家族が感染した場合には、トイレの便器やドアノブを次亜塩素酸ナトリウムでこまめに消毒するようにしましょう。感染者が使用した後すぐに消毒することが重要です。トイレだけでなく、水道の蛇口や冷蔵庫の取っ手などがウイルスに汚染されやすいといわれています。これらの箇所をはじめ、家族がよく触れる場所を念入りに次亜塩素酸ナトリウムで消毒するように心がけましょう。ノロウイルスは、症状が消失した後にも約3〜7日間は感染者の排便中に排出されるため、症状がなくなってからも注意が必要です。家族に感染者がいる場合には、特に入念に手洗いを行い、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒や食品の加熱を心がけるようにしましょう。

予防接種ワクチンは受けた方がよいでしょうか?

ノロウイルスには予防接種ワクチンがありません。そのため、ノロウイルスに関する正しい知識を学習し、周囲の方と正しい手洗いをするよう声をかけ合うなど予防対策の徹底が重要です。

編集部まとめ

子供の手を消毒
ノロウイルスに感染する原因や症状、感染経路、予防策を解説してきました。

ノロウイルスは感染対策の徹底により予防できます。正しい知識を持ち、家族や職場で声をかけ合って、適切なタイミングで十分な手洗いを行うことが大切です。

周りに感染者が発生した場合には、使用後のトイレや手で触れることの多い場所を次亜塩素酸で消毒するようにしましょう。

ノロウイルスに感染しても通常は軽症で済みますが、高齢者や乳幼児が感染した場合には、脱水や嘔吐時の誤嚥性肺炎や窒息などのリスクがあります。

症状の悪化や食事摂取状況に注意し、必要時は速やかに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師