目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」の症状や原因はご存知ですか?医師が監修!

「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」の症状や原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2024/01/09
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

皆さんは、アレルギー性気管支炎アスペルギルス症をご存知でしょうか?本記事ではアレルギー性気管支炎アスペルギルス症について以下の点を中心にご紹介します。

・アレルギー性気管支炎アスペルギルス症とはどんな病気か
・アレルギー性気管支炎アスペルギルス症の治療法
・生活におけるアレルギー性気管支炎アスペルギルス症

アレルギー性気管支炎アスペルギルス症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とはどのような病気ですか?

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは、カビによって引き起こされる病気です。ちなみに、原因となるカビは、アスペルギルスという種類のカビであり、気管支喘息や慢性的に咳が出るなどの症状が現れます。また、喘鳴といって、息をするたびにヒューヒューと音がなるといった症状をみることがあるような病気です。

もちろん、健康な身体であれば、仮にアスペルギルスを吸い込むことがあったとしても、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症することは無いといわれています。

しかし、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は症状が進行すると、肺の機能をさらに低下させていくことに繋がります。なので、肺の機能が低下することで、別の病気を発症する恐れがあり、注意が必要な病気であるともいわれます。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の原因は何ですか?

前述の通り、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の原因は、アスペルギルスというカビです。また、このアスペルギルスというカビは環境中に生息しているカビであり、多くの種類があります。

アスペルギルスは、元々我々人間に健康被害を与えないカビですが、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症するアスペルギルスによって、アレルギー反応が起きた場合、病気の発症に繋がるとされています。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症にかかる多くの方は、元々気管支喘息を患っています。また、例えば嚢胞性線維症という先天性の疾患がありますが、この先天性疾患を患っている方に関しても、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症する可能性が高いといわれています。

症状にはどのようなものがありますか?

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、気管支喘息と似たような症状をもっています。そのため、喘息が悪化した場合の症状と、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症による症状の区別が難しいこともあります。例えば、喘鳴や咳の他、痰や身体の倦怠感、発熱や運動能力の低下等の症状がみられます。

症状でみられる痰にはいくつか種類があり、血が入り混じった痰や、緑色をした痰、固まってしまっている痰などが挙げられます。

また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、肺の組織を徐々に破壊していき、それに伴い肺の機能も低下させていく病気です。そのため、症状の進行具合によっては、肺線維症や、気管支拡張症という病気にかかることもあり得ます。つまり、病気の進行がどの程度かにより、呼吸器に関わる症状も変化していくので、息苦しさが増していくことも考えられます。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療について

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療について

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断方法について教えてください

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を診断する手段はいくつかあります。まず、喘息の症状と似ていることもあり、これまでの喘息の病歴を確認します。

次に、血清中に存在するアスペルギルスの沈降抗体を測定します。血液検査を行うことで、アレルギー反応の有無を調べられます。また同時に、病気の原因となっているアスペルギルスへの抗体があるかどうかも確認できます。

その後に、細菌検査を行います。細菌検査ではまず、患者自身から採取した痰を培養することで、アスペルギルスがいるかどうかの確認を行います。一方で、仮に痰の中にアスペルギルスが見当たらなかった場合には、気管支鏡検査を行います。

他には、胸部X線による画像診断を行います。特に、画像検査を行うことで、肺に炎症が起こっているかどうかを調べられます。

主な治療法はどのようなものですか?

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、カビによるアレルギー反応が原因となって発症する病気であるため、細菌による感染症と異なり、アレルギー反応を抑制させるような治療を行います。そのため、ステロイドによる治療を持続的に行い、喘息の治療に加えて、ステロイドによって引き起こされる副作用を考慮する必要性があります。

また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に関して、長期的に肺の機能の悪化する可能性があるため、ステロイド薬による治療と、病気の再発とを常に意識しておく必要があります。

薬の副作用はありますか?

ステロイドの投薬治療を長く続けていると、免疫力の低下を招くことがあるため、感染症にかかりやすい状態を作ってしまうことに繋がりかねません。また、骨が脆くなりやすい体質となってしまいます。加えて、胃や十二指腸に潰瘍ができる恐れもあります。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に手術は必要ですか?

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に関して、ステロイドの投薬でも効果がなく、病巣の切除が必要な状態になってしまった場合、病巣を取り除くため、胸腔鏡を用いた切開手術を行うことがあります。

また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の手術は、病態によって大きく分けられます。

1つ目は、肺アスペルギローマです。肺アスペルギローマは、かつて病気で肺に空洞が空いてしまった部分に、アスペルギルスが感染して起こるものです。感染が起きた部位では、アスペルギローマという菌糸や血液で構成される球状の塊ができます。このアスペルギローマは、時間を重ねるごとに大きくなり、次第に肺や呼吸器を圧迫することで破壊にまで至ります。そのため、肺アスペルギローマを治療するためには、原因となるアスペルギローマの除去を行うか、抗真菌薬を用いた治療を施す必要があります。

2つ目に、侵襲性アスペルギルス症です。侵襲性アスペルギルス症は、肺アスペルギローマの症状が進行することで発症する病気です。つまり、アスペルギルスによる感染が肺にとどまらず、脳や心臓、肝臓や腎臓などの他の臓器に感染が広がってしまっている状態である病気です。この侵襲性アスペルギルス症は、何らかの病気の治療や臓器移植をした後などの、免疫力が低下している方に発症します。治療法としては、抗真菌薬を用いた治療法が最適であるとされています。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と生活

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と生活

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の予防法は何ですか?

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を予防する方法はあります。この病気は主に、免疫力の低下により、吸い込んだカビがアレルギー反応を起こして発病するものです。そのため、バランスの良い食事や十分な睡眠をとり、生活習慣を整えることで免疫力を高めることが、適切な予防法になると考えられます。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症になりやすい方はいますか?

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、喘息もちの方がかかりやすい病気であるとされています。やはり、喘息の症状と似ていることもあり、喘息と合併して発症する方も多くいらっしゃいます。

日常生活の注意点を教えてください

まず、アレルギー反応が起きる原因は、環境内に生息するカビであるため、窓を開けて空気の入れ替えを行ったり、こまめに掃除を行ったりするなどして、自身の居る環境を清潔な状態に保つことが推奨されます。また、事前に血液検査を行うことで、自身にとってアレルギー反応を起こす物質を明確にしておくことも必要であると思われます。アレルゲンを明確にすることで、日頃どのように過ごすべきであるか、効率良く対策することに繋がります。

また、前述の通り、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は免疫力の低下した身体に発症しやすい病気でもあります。そのため、一度かかったから再度感染することはないと思わずに、日頃から生活習慣を整えて過ごすことで、常に免疫力の高い状態を維持しておくことが重要であると思われます。例えば、部屋の湿度を上げすぎず、カビの生息しやすい環境をつくらないようにしたり、寝具は常に清潔な状態を保っておくようにしたりするなどの対策をとることが必要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症について、あまり聞き馴染みのない病気であるため、不安に思う方も多いかもしれません。しかし、発症の原因となるものは、普段身の回りに生息しているカビだと聞いて驚かれる方もいるでしょう。

身の回りに存在するカビがアレルギー反応を起こすことで発症するとわかると、身近な病気にも思えます。ですが、やはり元々喘息を患っている方など、さらに症状を深刻化させる注意するべき病気であることも確かです。日頃から生活環境を整え、部屋の掃除をこまめにして予防に努めてください。

編集部まとめ

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
ここまでにアレルギー性気管支肺アスペルギルス症についてお伝えしてきました。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の要点をまとめると以下の通りです。

・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、日常生活内に生息するカビのアレルギー反応によって引き起こされる症状である
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療法は、アレルギー反応を抑える治療方法が適切であるとされ、ステロイドの投薬による治療が推奨される
・身の回りの環境を清潔に保つことを心がけることで、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の発症の予防に繋げられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師