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「柑皮症」とは?みかんを食べ過ぎて皮膚が黄色くなることはありませんか?

 公開日:2023/09/25
qa_943_柑皮症

日本の冬の過ごし方と聞いて、「テレビ・こたつ・みかん」を思い浮かべた方もいるでしょう。

中には子供の頃に大人から「みかんばかり食べると手が黄色くなるよ」と注意されたり、実際に黄色くなったりという体験をした方もいるのではないでしょうか。

そのような体験から「みかんを食べ過ぎると皮膚が黄色くなる」と知っていても、なぜそうなるのかを正確に知っている方は少ないかもしれません。

実はこの「みかんを食べ過ぎると皮膚が黄色くなる」症状には、「柑皮症」という名前があります。

本記事を読むと「なぜみかんを多く食べると柑皮症になるの?」・「身体が黄色くなったら柑皮症を疑えばいい?」・「柑皮症は治療が必要?」といった疑問が解消されますので、是非参考になさってください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

柑皮症(かんぴしょう)とは?

座ってミカンを食べる赤ちゃん

柑皮症はどのような病気ですか?

柑皮症とはβ-クリプトキサンチンやβ-カロチンといったカロチンを多く含む食品を過剰に摂取したときに皮膚が黄色くなる病態で、カロチン血症とも呼ばれます。なおカロチンはカロテンと呼ばれる場合もありますが、どちらも間違いではありません。
カロチンは皮膚の角質に沈着する性質があるため角質が厚い掌・足の裏・鼻の周囲・肘・膝・爪といった部分に症状が出やすく、まれに全身が黄変する場合もあります。

みかんを食べ過ぎると柑皮症になる理由を教えてください。

みかんはカロチンの一種であるβ-クリプトキサンチンを多く含む食品の代表格です。
カロチンは体内に吸収されるとビタミンAに変化して目や肌の健康を保つ役割を担っていますが、これを過剰に摂取すると柑皮症になると考えられています。

柑皮症になりやすい食べ物は何ですか?

皮膚を黄変させる原因となるカロチノイド色素を多く含む食品として挙げられるのはみかんの他、人参・カボチャ・トマト・のり・パセリ・ウニなどです。
しかし近年では健康志向の高まりやダイエットブームなどの影響で、野菜ジュースやサプリメントの摂取により発症する例が増えてきています。

どんな人が柑皮症になりやすいですか?

カロチンは脂に溶けやすい性質を持つため高脂血症の方は血中カロチン濃度が上昇しやすく、その結果として柑皮症になりやすいといえるでしょう。
本症のメカニズムは「一旦汗として体外に出たカロチンが体表を染める」と考えられることから、汗をかきやすい方は柑皮症になりやすいという所見もあります。その他にも甲状腺機能低下・腎機能障害・糖尿病といった疾患をお持ちの方はカロチンの代謝異常による発症の可能性があります。
また偏食の方ダイエットに取り組んでいる方なども、広い意味で柑皮症になりやすいといえるかもしれません。

柑皮症(かんぴしょう)の治療

日本人医師が診察している様子

柑皮症の診断方法を教えてください。

柑皮症が病気だとすれば、当然ながら診断方法や治療方法が存在するはずです。ここからはどういった症状の場合に柑皮症と診断されるのか、柑皮症と診断されたときはどのような治療を受けるべきなのかなどについて解説します。
まず「皮膚の黄変」という、柑皮症と良く似た症状を呈する病変に「黄疸」があります。両者の違いについて詳しくは後述しますが、その症状が柑皮症なのか黄疸なのかを最も簡便に判別する方法は「眼球結膜、つまり白目が黄変しているか」です。
白目が黄色くなっていなければ柑皮症、黄色くなっていたら黄疸を疑うべきといって差し支えないと考えられます。
それでもなお心配だという方は、血液検査によって「血中ビリルビン濃度やその他の肝機能は正常であるが血中カロチン濃度が上昇している」場合に柑皮症と断定できるでしょう。

柑皮症の治療方法について教えてください。

単純にカロチンの過剰摂取によって柑皮症を発症している場合、皮膚が黄色くなる以外の症状は無いため特段治療の必要はありません。カロチンの摂取量を控えれば自然と治ります
一方で前述した内分泌異常や代謝異常の二次的疾患として柑皮症を発症している場合は、当然ですが原疾患の治療が必要です。

柑皮症はどれくらいの期間で治りますか?

皮膚がどのような色になったときに柑皮症が治ったといえるかは元の皮膚の色や感じ方の差がありますし、診断後にどの程度カロチンの摂取量を減らすかによっても結果が変わるので一概にはいえません。
しかし一度発症した柑皮症が完全消失するまでには数ヶ月を要する例が多いでしょう。

柑皮症(かんぴしょう)と黄疸(おうだん)の違い

診察する男性医師(眼科)

柑皮症と黄疸の違いはなんですか?

先ほど触れましたが、「皮膚が黄色くなっている」と気付いたときに最も気になるのは「黄疸ではないのか」という点です。特にお子様に症状が出たとき、その親御様の心境は察するに余りあります。
結論としては前述した通り「白目が黄色くなっているかいないか」で判別できるのですが、この点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
黄疸とは肝臓・胆道・膵臓の機能障害などを原因として血中ビリルビン濃度が上昇し、全身が黄色くなる症状を指します。血液中で酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンは、役目を終えると脾臓でビリルビンという物質に変換されます。
ビリルビンは肝臓を経て抱合型ビリルビンとなり、そのまま便として排泄されるのが正常な流れです。しかしここまでの通り道のどこかに問題が起こると、抱合型ビリルビンは排泄されずに血液中へ逆流してしまいます。
抱合型ビリルビンは黄色や褐色といった色をしておりこれが大便の色の元となるのですが、こうして血液中の抱合型ビリルビン濃度が上昇した結果全身が黄色くなるのが黄疸の正体です。
そして黄疸の原因は一言に機能障害といっても細菌感染・結石・肝炎や肝硬変・悪性腫瘍、つまりガンに起因するものまで多岐にわたります。この部分こそが黄疸が恐れられるゆえんといえるでしょう。
ここまでの重要な点をまとめますと、以下の通りになります。

  • 白目が黄色くなければ柑皮症、黄色くなっていれば黄疸
  • 血中カロチン濃度が高ければ柑皮症、血中ビリルビン濃度が高ければ黄疸
  • 柑皮症であれば治療の必要なし、黄疸であれば直ちに受診

是非、この3点を押さえておいてください。

皮膚疾患を予防するにはどうしたらいいですか?

柑皮症や黄疸は広い意味での皮膚疾患だといえますが、皮膚疾患の予防には以下の2点が非常に大切だとされています。

  • 皮膚を清潔に保つための洗浄
  • 皮膚の防御機能を保つための保湿

まず石鹸や保湿剤は極力、香料などの添加物が入っていないものを選びましょう。洗浄の際には石鹸をしっかり泡立ててやさしく洗いしっかり洗い流す、保湿剤はお風呂上りの水分を含んだ肌に手早くたっぷり塗布するのがコツです。
なお柑皮症に限れば、緑黄色野菜など一般的に「身体に良い」とされているものであっても偏食や過剰摂取を避けてバランスの良い食事を摂ることこそが最も有効な予防法だといえるでしょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

本記事では柑皮症について詳しく解説しました。これまで皆様が持っていた「みかんを食べ過ぎると身体が黄色くなるらしい」という漠然とした認識が、正しい医療知識に変わったなら幸いです。柑皮症自体はさしたる健康被害をもたらすものではありません。
しかしその裏に他の疾患が潜んでいる危険性があること、そして何より黄疸が疑われる場合は直ちに医療機関を受診することを忘れないでください

編集部まとめ

食事に気を遣う女性
ここまで解説した通り、柑皮症そのものに病気としての危険性はほとんどありません。

しかし仮にあなたが柑皮症になったとしたら、身体が食生活について何らかの警告を発しているとも考えられるのではないでしょうか。

カロチンの過剰摂取はそれ自体が身体に害を及ぼすものではないと考えられていますが、その反面十分に摂取できていない栄養素があるかもしれません。

確かに野菜は健康な食生活のために欠かせないものですが、だからといって野菜だけ食べていれば健康になれるとは限らないでしょう。

また「ダイエットに効果的」や「一日分の栄養がこれ一本」などと謳った食品やサプリメントがまん延する昨今ですが、それらは果たして健康に直結するものなのでしょうか。

本記事が「バランスの良い食事を心掛けましょう」というありきたりな言葉をいま一度振り返り、食生活を見直す契機となりますよう祈っております。

この記事の監修医師