「先天性ミオパチー」という筋疾患はご存知ですか?原因や症状など解説!
先天性ミオパチーは難病指定されている病気です。早い場合は新生児期から発症するといわれています。
しかし、その見分けはつきにくく、誤ってほかの病と診断されてしまうこともある難病です。
病名を聞いたことがある人もいるかもしれません。しかし、具体的な症状や原因については知らない人もいるでしょう。
ここでは、先天性ミオパチーについて解説します。主な治療方法・日常生活における注意点なども紹介するので参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
先天性ミオパチーとは?
先天性ミオパチーってなんですか?
そのため、筋病理検査を行うのが一般的です。筋病理検査を行っても区別がつかないこともあります。その場合、経過をみながら病名を探ることになるでしょう。
先天性ミオパチーの種類を教えてください。
- ネマリンミオパチー
- コアミオパチー(セントラルコア・マルチミニコア)
- ミオチュブラーミオパチー・中心核病
- 先天性筋線維タイプ不均等症
これら4つについては、特徴的な所見が確認できます。筋病理検査を行った際に確認できた所見と照らし合わせて病名を確認するのが一般的です。ただし、必ずしもこれら4つの分類の一つに該当するとは限りません。特徴が確認できない場合もあるからです。その場合は、分類不能な先天性ミオパチーと診断されます。
先天性ミオパチーの患者はどのくらいいますか?
先天性ミオパチーはどのような人に多いですか?
そのためX連鎖性であるミオチュブラーミオパチーは女性の場合、対の遺伝子の発現抑制効果により発症しないとされています。一方、男性の場合は発現を抑える対の遺伝子がありません。よって、50%の確率で発症するといわれています。
先天性ミオパチーの症状と原因
先天性ミオパチーの症状を教えてください。
- 筋力・筋緊張の低下
- 発育・発達の遅れ
- 呼吸障害
- 心疾患・不整脈
- 関節拘縮・脊椎変形
- 哺乳・摂食障害
筋力・筋緊張の低下は、新生児・乳幼児期で認められます。目に見える症状としては、「身体が柔らかい」「力が弱い」などがあげられるでしょう。また、発達・発育の遅れも認められます。これらの症状は成人になってあらわれることもあり、その場合は力が入らなくなったり疲れやすくなったりするでしょう。
呼吸障害は、主に呼吸不全や痰が出しにくいといった症状が認められます。この症状は夜間に発症することが多く、呼吸不全のために睡眠不足を併発することもあるでしょう。ただしゆっくり進行するため、自覚症状はほとんどありません。朝起きられなかったり寝不足が続いたりという症状で自覚する可能性が高いでしょう。心臓の機能低下や不整脈が認められることもあります。これらは検査で発見されることが多いでしょう。
心疾患・不整脈は先天性ミオパチーの症状ではなく、合併症です。関節拘縮・脊椎変形が認められるケースもあります。目に見える症状としては、「関節が固くなる」「脊椎が左右に曲がる」などがあげられるでしょう。急に姿勢が悪くなるなどの変化がみられた場合は、脊椎変形を発症している可能性があります。新生児・乳幼児期では哺乳障害が起こるかもしれません。成人期になって発症する場合は、摂食障害として発症します。
どちらも食欲や体力が落ちるという目に見える症状であらわれるでしょう。ここで取り上げた主な症状は上記の6つですが、これらがすべてではありません。これら以外にも知的障害やてんかんなどの症状が認められるケースもあります。症状が重い場合は、呼吸不全のために人工呼吸器が手放せなくなったり、筋力低下により車いすや寝たきりの生活を余儀なくされたりするでしょう。
先天性ミオパチーの原因はなんですか?
先天性ミオパチーは遺伝しますか?
そのため、必ずしも親から子への遺伝で伝わっているとはいえないでしょう。
先天性ミオパチーの寿命を教えてください。
日常生活に支障をきたさないケースもあるため、治療方法もさまざまです。しかし、軽症の場合でも命にかかわる合併症を引き起こす可能性があり、これは無視できません。そのため、寿命については一概にいえないというのが現状です。
先天性ミオパチーの治療
先天性ミオパチーの治療はどのようなものですか?
心疾患・不整脈に対しては、内科的治療を行います。主な治療方法としては投薬です。哺乳・摂食障害の症状が認められる場合は、入院による全身管理が必要になるでしょう。これらはすべて、日常生活に支障をきたさないレベルまで症状を抑えるための治療です。完治を目的としたものではないため、長期での治療になります。
日常生活で気を付けることはありますか?
心肺機能や骨格可動の向上を維持するために、適度な運動は日常生活に取り入れましょう。ただし、心肺機能低下の症状が認められる場合は、軽い運動でも大きな負担になる可能性があるので医師の相談をおすすめします。心臓に負担をかけない運動を提案してもらいましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また、根治療法は現在ありません。長期的な対症療法のみなので、認められた場合は日常生活でのわずかな違和感や変化に注意してください。不安や疑問を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。
編集部まとめ
先天性ミオパチーは、先天性の難病です。遺伝子が関係している病なので、子供に遺伝すると思う人もいるかもしれません。
しかし、遺伝子は突然変異を起こすため、それが原因で発症することもあります。必ずしも遺伝するとは限らないのです。
早期発見が重要です。発見が早ければ早いほど、対症療法も早い段階でスタートできます。不安や違和感がある場合は、医師に相談してみてください。
参考文献