「1型糖尿病」の原因や症状はご存知ですか?2型糖尿病との違いについても解説!
糖尿病にもいくつかの種類があります。その中でも1型糖尿病とはどのような病気なのでしょう。
この病気は膵臓のインスリンを出す細胞が、壊されてしまうのですがどのような原因で発病するのか、また進行の速さでどのように分類するのでしょうか。
糖尿病全体の約5%が1型糖尿病といわれています。生活習慣が関わる2型糖尿病とは、原因・治療が大きく異なるのです。
この記事では1型糖尿病ついて理解を深め、病気と上手くつきあえるよう原因や分類・治療方法等について解説します。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
1型糖尿病の原因や分類
1型糖尿病とはどのような病気ですか?
小児から青年期の方に多く見られますが、中高年に発症することもあります。糖尿病のうちの約5%がこの病気といわれています。
原因について教えてください。
1型糖尿病の分類について教えてください。
- 劇症1型糖尿病:このタイプは、発症から1週間程度でインスリンの補給が必要となり、進行が最も早いです。急速な進行のため、早急にインスリン治療を受けないと重篤化するリスクが高まります。短期間で進行するため、過去1から2カ月間の血糖値を示すHbA1cは低い傾向があります。ただし、発見時の血糖値は高くなるケースが大半です。
- 急性発症1型糖尿病:このタイプは、発症から数カ月でインスリンの補給が必要になる、最も一般的な1型糖尿病です。自己の細胞や組織に対する「自己抗体」が血液検査でよく見られる特徴といえます。
- 緩徐進行1型糖尿病:この種類の糖尿病は、数カ月から数年かけて徐々にインスリンの分泌量が減少する特徴を持っています。この型の場合、2型糖尿病との見分けが重要です。膵臓のインスリン分泌能力を考慮し、適切なタイミングでインスリン療法を開始します。
2型糖尿病との違いは?
どのような症状があるのですか?
そのため高血糖やケトン体の増加などが起こり糖尿病性昏(睡吐き気・腹痛など自覚症状とともに意識が低下し昏睡に陥ります)など重篤な症状が現れるのです。
1型糖尿病の検査や治療方法
どのような検査が行われますか?
糖尿病の一般的な検査である血糖値やHbA1cに加えて、特異な兆候を示す抗GAD抗体という自己免疫抗体を測定し、インスリン分泌量を評価するための血液検査も行います。また、ケトン体の量を血液または尿検査で確認することもあります。
治療方法について教えてください。
1型糖尿病の合併症や注意点
1型糖尿病の合併症について教えてください。
これらは機能障害が起こりやすく、合併症の発生しやすくなります。これらを予防するために、糖尿病の方はきちんとした血糖コントロールを続けながら、症状がなくても定期的に検査を受けることが必要です。
それでは、三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)と注意点について説明します。
- 網膜症:糖尿病による主な眼の疾患として、「網膜症」と「白内障」が挙げられます。特に糖尿病網膜症は、日本において成人の失明の原因第1位です。この症状は、網膜の微細な血管が詰まり、血流が悪化することで引き起こされます。このために出血が生じたり黄斑部が浮腫(むく)んだりし、悪化すると牽引性の網膜剥離を引き起こし、失明の要因となるのです。毎年、多くの方がこの糖尿病合併症である糖尿病網膜症によって視力を失っています。
- 腎症:高血糖が長期間続くことで、腎臓の毛細血管がもろくなることで進行する疾患です。初期段階では微量のたんぱく質(アルブミン)が尿中に現れ、血糖コントロールの悪化により蛋白尿が発生するのです。進行すると腎不全が生じ、人工透析が必要になることもあります。糖尿病患者は、症状がない場合でも定期的に微量アルブミン尿や蛋白尿を検査することが重要です。すなわち、常に血糖管理を維持する必要があるのです。早期発見と適切なケアが腎機能を保護し、進行を防ぐポイントといえます。
- 神経障害:糖尿病によって末梢神経に障害が生じる合併症で、感覚・運動神経や自律神経に影響を及ぼします。味覚変化・手足のしびれ・消化器系の問題・心拍異常・筋力低下・顔面麻痺・多汗・乏汗・勃起不全など幅広い症状を引き起こすのです。感覚の鈍化により怪我や火傷に気づかず、壊疽のリスクも高まります。自律神経障害による高血糖と低血糖の繰り返しは、血糖コントロールを複雑にします。糖尿病発症後、神経障害のリスクは増加しますが、生活改善で遅延できるでしょう。予防には血糖管理と足の健康チェックが大切なのです。
普段の生活で注意することはありますか?
特に肥満の場合、適切な体重を維持する食事が推奨されます。食後の血糖値上昇は炭水化物に影響されるため、「カーボ(炭水化物)カウント」と呼ばれる方法で食事とインスリンを調整することで、血糖値の安定が図られるのです。
運動については、軽度な合併症がなければ様々な運動が可能であり、実際にプロのスポーツ選手も存在します。運動時には、インスリン療法や補食の調整が必要であり、主治医との相談を通じて準備が重要です。運動前後には補食することでインスリンの調整が行われ、低血糖を予防します。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
治療の目標は、健全な血糖管理を維持することで、合併症の予防と進行を防ぐことです。インスリン療法は欠かせませんが、上手に病気とつきあうことで通常の日常生活ができます。
編集部まとめ
1型糖尿病は、食事や運動不足による肥満などの生活習慣とは関係なく、膵臓のβ細胞の損傷によって引き起こされます。インスリンが生成されないことが主な原因なのです。
しかもこの病気は、糖尿病患者全体の約5%しか占めていません。この疾患にかかると、風邪をひいたような状態になり、糖尿病性昏睡(吐き気・腹痛など自覚症状とともに意識が低下し昏睡に陥ります)など重篤な症状が生じることがあります。
また、合併症にも注意が必要です。治療法としては、インスリンの皮下注射が唯一の治療とされています。普段から幅広い経験を持つ専門医に定期的に診断を受けることも大事です。