「RSウイルス感染症」は子供に感染しやすい?症状や予防方法について解説!
RSウイルス感染症は急性呼吸器感染症のことで、乳幼児が罹患すると急性気管支炎や肺炎といった重篤化してしまう可能性が高い感染症です。
成長するにつれ、風邪症状で落ち着くようになり、大人が感染すると鼻水の症状程度になります。
しかし、呼吸器疾患をもっている場合や早産で生まれた子どもなどは重症化しやすい感染症のため、注意が必要です。
本記事ではRSウイルス感染症の原因・治療・予防について解説します。小さい子どもがいる方やRSウイルス感染症について詳しく知りたい方は参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
RSウイルス感染症の症状や原因
RSウイルス感染症の症状はどのようなものですか?
RSウイルス感染症は特に咳症状が強く、熱も38〜39℃と高熱になるため、初めて罹患した乳幼児のうち7割ほどは咳や鼻水症状で治ります。しかし、気管支炎や肺炎の兆候がみられるケースが25〜40%ほどと高いです。
呼吸器に疾患がある場合や早産で生まれてきた子どもはRSウイルス感染症に罹患すると気管支炎や肺炎まで重症化しやすいため、注意が必要です。
RSウイルス感染症の原因を教えてください。
また、テーブルや椅子などに付着したRSウイルスは数時間生存できます。そのため、付着していることに気付かず触ったのち、目や鼻などを触ってしまうとRSウイルスに感染する可能性が高いです。
子どもはRSウイルス感染症に感染しやすいって本当ですか?
RSウイルス感染症は乳幼児が初めて感染した場合、潜伏期間を経て咳・鼻水・発熱といった症状が現れます。約3割は気管支炎や肺炎の症状がみられ、重症化する可能性があります。
RSウイルス感染症は2歳になるまでに1度は感染し、1度かかったことがある子どもでも何度も感染を繰り返す感染症です。しかし、成長するにつれ症状が軽くなり、大人がRSウイルス感染症に罹患すると鼻風邪程度の症状で落ち着く場合がほとんどです。
RSウイルス感染症は重症化するとどうなりますか?
RSウイルス感染症が重症化することで起こりうる合併症として挙げられるのが、無呼吸発作や急性脳症です。特に生後1ヶ月未満の乳児がRSウイルスに感染すると診察が困難であり、突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。
急性気管支炎や肺炎まで重症化した場合は医療機関に入院し、酸素投与・輸液・呼吸管理を行い、症状が落ち着くまで治療します。
RSウイルス感染症の治療
RSウイルス感染症はどのように治療しますか?
重症化した場合は医療機関へ入院して酸素投与・輸液・呼吸管理を行い、気管支炎や肺炎から回復する治療が行われます。
RSウイルス感染症は感染してからどれくらいで治りますか?
RSウイルス感染症によって重症化した場合は、気管支炎や肺炎から回復するまでより時間がかかるケースがほとんどです。
RSウイルス感染症に感染した時の対処法を教えてください。
しかし、呼吸困難や咳が止まらないといった重症化が懸念される場合は、入院して治療が行われる可能性が高いです。加えて生後1〜2ヶ月の乳児がRSウイルスに感染した場合は無呼吸発作を引き起こす可能性もあるため、入院して経過観察を行うこともあります。
RSウイルス感染症の予防について
RSウイルス感染症は予防できますか?
また、RSウイルス感染症は事前に予防するためのワクチンがありません。しかし、早産で生まれた乳児・免疫不全・ダウン症・先天性の心疾患がある子どもは、遺伝子組換え技術を用いて作られたパリビズマブの投与によって重症化を未然に防げます。
RSウイルス感染症の予防に効果的な方法を教えてください。
また、テーブルや手すりなどよく触る場所をアルコール等で消毒すると良いです。RSウイルスは物に付着しても数時間は生存しています。そのため、RSウイルスが付着していることに気付かずに触ってしまい、接触感染からRSウイルスに感染してしまう可能性があります。
特に乳幼児がよく触るところはこまめに消毒しましょう。そして、RSウイルス感染症が拡大している時期はできる限り人混みを避け、大人でも咳など風邪症状がみられる場合はマスクを着用するなど感染のリスクをできるだけ抑えるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
RSウイルス感染症は乳幼児の肺炎の約50%、気管支炎の50〜90%を占めていることからも重症化リスクの高い感染症として注意が必要です。RSウイルス感染症は何度も罹患する可能性が高いですが、成長とともに症状は軽症化し、大人は感染しても鼻水程度で済むケースがほとんどです。
そのため、小さい子どもがいる家庭では子どもに感染させないように手洗いやうがいの励行、よく触る箇所の消毒の徹底を心がけるようにしましょう。
編集部まとめ
ここまでRSウイルス感染症の原因・治療・予防について解説しました。
RSウイルス感染症は子どもによくみられる感染症です。乳幼児が初めて感染した際には気管支炎や肺炎まで重症化する可能性があるため、感染した場合は家での経過観察が大切です。
RSウイルスに感染した場合は対症療法が基本となるため、解熱剤で熱を下げたり、咳止めで咳を抑えたりする治療となります。
自宅で療養して経過をみていく中で、咳がひどくなってきたり、食事や水分が摂取できなかったりすると重篤な状態になっている可能性が高いです。
そのような症状がみられた場合は早めに病院で診てもらうようにしましょう。
RSウイルス感染症は子どもの成長に伴って繰り返し罹患しても軽症で済むようになります。
そのため子どもが小さいうちは手洗いやうがいをこまめに行い、大人に風邪症状がみられる場合はマスクを着用するなど、RSウイルスへの感染予防を行うようにしましょう。