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『日光角化症』は『皮膚がん』なの?初期症状や原因についても解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/09
『日光角化症』は『皮膚がん』なの?初期症状や原因についても解説!【医師監修】

日光角化症という病気を知っていますか?本記事では日光角化症について以下の点を中心に解説していきます。

・日光角化症の症状とは?
・日光角化症の治療法について
・日光角化症の予防方法

日光角化症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

日光角化症とは?

日光角化症とは?

日光角化症の症状はどのようなものですか?

日光角化症の症状は、皮膚の色や質感の変化として現れます。具体的には、やや赤みを帯びたまだら状のシミや、黄色味を帯びた「かさぶた」がついたシミが特徴的です。これらの病変は表面がザラザラとしており、形状は不規則で、大きさは1〜2cm程度です。

日光角化症にはいくつかのタイプがありますが、以下の3つが主要なものです。

紅斑型:最も一般的なタイプで、紅色の平らな病変が特徴です。表面にはカサカサしたウロコ状のものやかさぶたが見られます。

色素沈着型:淡い褐色から濃い褐色のまだら状の病変が特徴で、ほぼ平らですが、やや盛り上がることもあります。

疣状型:皮膚の表面が角化し、イボのような皮疹が見られます。角化した皮膚の周囲は、紅色になっていることが多いです。

これらの症状は、鱗屑(カサカサ)、痂皮(かさぶた)を伴う紅斑、時に萎縮性紅斑、皮膚が硬くなり盛り上がった皮角を伴うこともあります。境界は不明瞭とされていますが、明確な境界を持つこともあります。

以上の情報から、日光角化症の症状は、皮膚の色や質感の変化、特に紅斑や色素沈着、疣状の病変などを通じて現れます。これらの症状が見られた場合、早期の診断と治療が重要となります。

日光角化症の原因は何ですか?

日光角化症は、紫外線に長時間さらされることが主な原因とされています。特に、屋外でのスポーツやアウトドア活動を趣味とする人、農業や建設業など屋外での作業が主な職業の人は、紫外線に長時間さらされることが多いため、日光角化症を発症しやすいと考えられています。

また、肌の色や質感も日光角化症の発症に影響を与えます。紫外線による発赤反応(サンバーン)を起こしやすく、肌の黒褐色化(サンタン)を起こしにくい色白の人は、日光角化症を発症しやすいとされています。これは、肌が紫外線に対して十分な防御反応を示せないためです。

年齢も重要なリスク要素で、60歳以上の高齢者に日光角化症が多く見られます。これは、紫外線にさらされる時間が長いほど、皮膚が紫外線のダメージを受けやすくなるためです。

オーストラリアの研究では、20歳までに浴びた紫外線量と日光角化症の発症に密接な関係があることが報告されています。これは、若い頃からの紫外線対策の有無が日光角化症の発症に大きな影響を与えることを示しています。

特に、白人の中には、若い頃から日焼けをしている人が多く、その結果、日光角化症を発症しやすい傾向があります。また、白人の患者さんの中には、顔に50個以上の日光角化症が多発している人もいるとの報告があります。

以上の情報から、日光角化症の原因は紫外線の長時間の曝露であり、そのリスクは年齢、肌の色、紫外線対策の有無などによって高まることがわかります。これらのリスク要素を理解し、適切な紫外線対策をすることで、日光角化症の発症を予防することが可能です。

日光角化症の初期症状を教えてください

顔や手の甲に赤く、ザラザラした皮疹やウロコ状の乾燥、そしてかさぶたが見られるとき、それは日光角化症の初期症状かもしれません。さらに、皮膚が淡い茶色から濃い茶色まで変色し、部分的に盛り上がって見えることもあります。皮膚上にイボ状の発疹や、角質が硬く突起している様子も見受けられるでしょう。これらの症状が1〜2週間経っても改善しない場合、それは警告信号かもしれません。

また、病変部が大きく、不規則な形状で盛り上がり、表面が湿っていて、摘まむと堅さを感じる場合、有棘細胞がんの可能性も考えられます。

日光角化症は自覚症状が少ないことが多く、高齢者がいる家庭では、顔や頭部、腕などを定期的に観察することが大事です。皮膚に異常な皮疹や斑点が見つかった場合、皮膚科の医師の診察を受けてください。

日光角化症の治療

日光角化症の治療

日光角化症はどのように診断されますか?

日光角化症は皮膚の前がん病変で、長年にわたり日光を浴び続けた場所に生じやすい病気です。皮膚の表側には有棘細胞の層からなる表皮があり、その下に線維や血管のある真皮があります。日光角化症はがん細胞が表皮内にとどまった状態を指します。

日光角化症を診断するためには、病変部の皮膚の一部を切り取り、顕微鏡で細胞を確認します。

日光角化症は放置していても治りますか?

日光角化症は皮膚の一番外側の浅い部分(表皮)にとどまっているがんで、しっかり治療すれば改善が可能です。しかし、治療しないで放置すると、皮膚の深い部分(真皮)に達して有棘細胞がんに進行する可能性があります。有棘細胞がんは治療が難しくなり、転移の恐れも出てきます。
したがって、日光角化症は自然に治る病気ではなく、治療が必要です。自覚症状がなくても、若い頃から紫外線を浴びる時間が長かった人で、老人性のしみやいぼがあり、その一部が赤くかさかさしてきたら、日光角化症の可能性があるので、皮膚科の受診を勧めます。有棘細胞がんは他の場所に転移する可能性があるため、有棘細胞がんになる前の日光角化症の段階で治療に移ることが望ましいです。

日光角化症の治療法はどのようなものですか?

日光角化症の治療法は多岐にわたり、その中でも主なものは外科的切除、液体窒素による凍結療法、フォトダイナミック療法、イミキモドクリーム、そして5-FU軟膏となります。

外科的切除は、病変を1mm〜4mmの範囲で切除する方法で、病変全体の病理的検索が可能です。これにより、治療の確実性が高まります。ただし、傷跡が残る、多発する病変を全て切除するのが困難である、再発の可能性があるなどのデメリットも存在します。

液体窒素による凍結療法は、液体窒素をスプレーするか、綿棒につけて病変に押し当てる治療法です。病変が完全に消える可能性は39%〜83%程度とされています。この方法は非常に簡単で、病変が多数あっても治療が可能です。しかし、病理的検討ができない、治癒率がやや低いなどのデメリットもあります。

フォトダイナミック療法は、光感受性物質を摂取した後に特定の波長の光を照射し、光を当てた範囲の細胞を死滅させる治療法です。広範囲の日光角化症に対して有効とされており、見た目的にも満足な結果が得られやすいとされています。

イミキモドクリームは、局所の免疫を活性化させると考えられており、週3回、16週間の外用で完全消失率は45〜57%と報告されています。治癒後の再発率が低く、整容的に仕上がりが良いというメリットがあります。

5-FU軟膏は抗がん剤で、細胞のDNAの合成を阻害し抗がん性を発揮します。1日2回、4週間の外用で完全消失率は43〜96%と報告されています。しかし、日光角化症に対する保険適応がないため、実際に使用することは難しいのが現状です。

日光角化症の治療後の予後はどうですか?

日光角化症は、長期間にわたり日光にさらされた皮膚に発生する前がん病変であり、その生命予後は一般的に良好とされています。しかし、その進行と結果についてはまだ完全には理解されていない部分が多く、特に有棘細胞癌(SCC)への進行については不明な点が多いです。

確かなことは、日光角化症が有棘細胞癌に進行するケースが存在するということです。そのため、早期に日光角化症が判明した場合には、すぐに適切な治療を開始することが推奨されます。

一方で、日本人の場合、日光角化症が癌化する頻度は比較的低いとされています。しかし、これらの報告はまだはっきりとした結論を出すには至っておらず、日光角化症が癌化する可能性があるという事実は確実です。

以上の情報から、日光角化症の予後は一般的に良好であると言えますが、早期の診断と治療が重要です。日光角化症は有棘細胞癌に進行する可能性があるためです。したがって、日光角化症の疑いがある場合や、既に診断されている場合は、適切な医療機関での早期治療を強く推奨します。

日光角化症の対策

日光角化症の対策

日光角化症はどのような方に多いですか?

日光角化症は、特定の生活習慣や体質を持つ人々に発生しやすいとされています。特に、60歳以上の高齢者、長時間屋外で活動することが多い人、そして肌が日焼けで赤くなりやすく、あまり黒くならない人々がリスク群とされています。

屋外でのスポーツやアウトドア活動を趣味とする人々は、紫外線に長時間さらされることが多く、その結果、日光角化症を発症しやすいと考えられています。また、農業や建設業など、屋外での作業が主な職業の人々も同様にリスクが高まります。

肌質については、紫外線による発赤反応(サンバーン)を起こしやすく、肌の黒褐色化(サンタン)を起こしにくい色白の人々が、日光角化症を発症しやすいとされています。これは、肌が紫外線に対して十分な防御反応を示せないためです。

また、若い頃からの紫外線対策の有無も、日光角化症の発症に大きな影響を与えます。紫外線対策を怠っていた人々は、日光角化症を発症しやすいとされています。

以上の情報から、日光角化症の発症リスクは、年齢、生活習慣、肌質、紫外線対策の有無など、さまざまな要素によって影響を受けることがわかります。

日光角化症は予防できますか?

日光角化症は、長期間にわたる紫外線の曝露が主な原因とされています。そのため、紫外線を避けることが最も効果的とされる予防策となります。特に、紫外線が強くなる5月から9月、また1日の中でも午前10時から午後4時までの時間帯は紫外線を避けることが重要とされています。

紫外線を避けるための具体的な方法としては、日焼け止めクリームやローションの使用、帽子や日傘の活用が挙げられます。特に、発がん性が明らかとなっている紫外線B波(UVB)を防ぐ機能が高い(SPF値が高い)日焼け止めが有用です。

また、一度でも日光角化症に罹患したことがある人は、見た目上は正常に見える皮膚でも既に紫外線のダメージを受けている可能性があるため、新たな病変が生じるリスクがあります。

日光角化症は、日焼けしても肌が赤くなるだけで黒くなりにくい肌のタイプの人に発生しやすいとされています。そのため、このような肌質の人は、子供の頃から日焼け止めを使用し、過度な日光曝露を避けることが重要です。

以上の情報から、日光角化症の予防には、紫外線を避けること、適切な日焼け止めの使用、早期からの紫外線対策が重要であることがわかります。これらの予防策を適切に行うことで、日光角化症の発症リスクを低減することが可能です。

最後に、読者へメッセージをお願いします

日光角化症は、長年にわたる紫外線の影響により発生する皮膚の病状です。日光角化症は予防可能な疾患の一つです。紫外線対策として、日焼け止めの使用、帽子や長袖の着用、日差しの強い時間帯の屋外活動の制限など、日常生活の中でできることがたくさんあります。

また、早期発見、早期治療が重要です。皮膚に異常を感じたら皮膚科を受診しましょう。日光角化症と診断されたら、医師とよく話し合い、自分に合っている治療法を選択してください。

編集部まとめ

日光角化症
ここまで日光角化症についてお伝えしてきました。
日光角化症の要点をまとめると以下の通りです。

・日光角化症の症状は皮膚の色や質感の変化で、具体的には、赤みを帯びたまだら状のシミや、黄色味を帯びた「かさぶた」がついたシミが特徴的である

・日光角化症の治療法は多岐にわたり、外科的切除、液体窒素による凍結療法やフォトダイナミック療法などがある

・日光角化症の予防方法には日焼け止めクリームやローションの使用、帽子や日傘の活用が挙げられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師