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『三角骨障害』の症状・原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/09/01
『三角骨障害』の症状・原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!

「くるぶしや踵が痛む」と悩んでいませんか。一定の動作をした時に痛みが強くなるのであれば、それは三角骨障害(有痛性三角骨障害・足関節後方インピンジメント症候群)かもしれません。

あまり聞き馴染みのない病名に、「どのような病気なの?」と感じている人も多いでしょう。

結論からお伝えすると、三角骨とは健常者の約10%に存在が確認されている、足関節の距骨(きょこつ)の後ろにある過剰な骨(副骨)を指しています。足関節後方インピンジメント症候群の1つです。

つま先立ちなどの動作で、足の甲が伸びた状態のときに痛みを伴うのが特徴となります。

では一体、三角骨障害はどのような治療が必要となるのでしょうか。本記事では、診断方法・治療方法・リハビリテーションについて詳しく解説していきます。

ぜひ、最後までお読みいただけると幸いです。それではさっそく症状や原因についてみていきましょう。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

三角骨障害の症状や原因

足を伸ばす

三角骨とはどこにある骨ですか?

冒頭の結論でもお伝えしていますが、三角骨とは足関節の距骨の後ろにある過剰な骨のことを指しています。その名の通り、本来は必要のない骨です。足関節の距骨・脛骨(けいこつ)・踵骨(しょうこつ)の三角形のちょうど真ん中に位置する場所にあり、踵からレントゲンを見ると三角形をしているため三角骨と呼ばれています。
あまり聞き馴染みのない病名から珍しいと感じる人も多いかもしれませんが、三角骨は健常者の約10%に存在が認められている骨です。さらに症状を持つ人の多くは、片足だけに骨が形成されています。

三角骨障害の症状を教えてください。

三角骨障害は、足関節後方インピンジメント症候群の1つとされています。インピンジメント(くるみ割り現象)とは、「衝突」や「挟まる」を意味するものです。
つま先立ちなどの動作で足の甲が伸びた状態のときに、過剰な骨である三角骨が足関節の距骨・脛骨・踵骨の間に挟まれて痛みを伴います。三角骨が形成された人であっても、通常の生活に支障はありません。しかし、スポーツなどで足関節に大きな荷重や負荷がかかると痛みなどの症状が現れるのが特徴です。主な症状としては、以下の通りになります。

  • 足を伸ばす動作だけが痛い
  • 片足立ちで踵上げをすると痛みがある
  • サッカーのインステップキックが痛い
  • バレエのポアント動作が痛い
  • 空手の蹴り動作をするのが痛い
  • 水泳のバタ足動作が痛い

初期にはスポーツ中に軽い違和感や痛み程度で、安静にすれば回復することもあります。ですが、違和感や痛みをそのままにすると症状が悪化し、重症化すると歩行時にも痛みを伴う場合もあるので注意が必要です。

三角骨障害の原因を教えてください。

やはり、三角骨が形成されていることになります。三角骨障害を発症する原因は主に、先天性と底屈動作の2つです。まず先天性ですが、骨の大きさにはそれぞれ個人差があります。サイズが大きければ大きいほど、周りの骨と接触する確率も高くなり痛みを伴いやすいといえるでしょう。
また、底屈動作においても不利な状態です。2つ目の原因となる底屈動作は、繰り返しの底屈動作(オーバーユース)で段々と症状が出てきます。とくに足関節底屈動作やその反復を多く繰り返すスポーツほど症状が出てきやすいです。徐々に痛みが出てくる場合や、ある一瞬の過度に底屈動作が入りすぎた底屈強制の状態になることで過度な三角骨の挟み込みが発生したのを起因に、急激な痛みが出現する場合もあります。徐々に痛みが出た、もしくは急激な痛みが出た場合には病院へ受診しましょう。

三角骨障害を起こしやすい人の特徴を教えてください。

三角骨障害を起こしやすい人の特徴は、三角骨が形成されていてスポーツを行っている人になります。
また、骨が形成された後に発症する障害です。10歳代半ば頃の中学生〜高校生くらいから発症する可能性が高くなります。スポーツの中でも発症しやすいのは、以下の通りです。

  • サッカーボール
  • クラシックバレエ
  • 水泳
  • ジャズダンス
  • 空手
  • 体操

足先を伸ばして行うスポーツは、痛みなどの症状を起こしやすくなります。軽症の場合には安静にすることで痛みを緩和させることができますが、一時的なものです。痛みや違和感を覚えたらまずは病院へ受診しましょう。
その際には、「どのような動作時に、どこが痛いのか、普段の痛む部分の様子」を医師に伝えられるようにしてください。

三角骨障害の診断や治療

診察

三角骨障害はどのように診断されますか?

まずは過剰な骨があるのかを確認します。三角骨を確認する検査は以下の通りです。

  • 疼痛誘発検査
  • レントゲン検査
  • 超音波検査(US)
  • MRI検査
  • CT検査

疼痛誘発検査では症状が出やすい片足踵上げや、くるぶしとアキレス腱辺りを押して痛みがあるのかをチェックします。病院によって検査方法は異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。

治療方法を教えてください。

治療方法は症状のレベルによって異なります。治療方法は以下の通りです。

  • 保存療法
  • リハビリテーション
  • 薬物療法
  • ステロイド注射
  • 手術療法

三角骨障害は保存療法でほとんど対処できます。痛みが強いときには炎症を抑えることを優先し、痛みが強い場合には安静にしましょう。また、テーピングで足の可動範囲を限定することが大切です。三角骨障害の治療方法としてテーピングは、研究結果からも有効であることが判明しています。
サッカーボール選手を対象とした場合、テーピングによって足関節底屈動作を15~30度程度の可動範囲に限定してもインステップキックのボールスピードを維持できると発表されています。痛みを抑えながらパフォーマンスを維持するためにはテーピングが効果的であるといえるでしょう。炎症が起きている場合には、薬物療法である非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニンなど)・湿布・ステロイド注射を行う場合があります。

手術が行われるケースもありますか?

保存療法・リハビリテーション・薬物療法などの治療方法でも症状の改善が見込めない場合には、手術療法で過剰な骨を摘出します。鏡視下手術が行われることがほとんどです。
鏡視下手術は、アキレス腱の両側に5mm程度の傷をつけるだけで摘出できます。しかし、摘出する骨が大きい場合には、小さな小切開を加える可能性があることをご理解ください。

三角骨障害のリハビリや復帰

リハビリ

手術後のリハビリではどのようなことを行いますか?

リハビリでは、足関節に負担のかからない使い方について理学療法士がスケジュールを調整します。主に以下のようなトレーニング内容です。

  • バランストレーニング
  • 足関節の外がえし
  • 背屈筋力のトレーニング
  • 足関節の可動範囲拡大
  • 周囲の筋力強化

場合によっては、理学療法士からテーピングの施術方法を学ぶこともできます。テーピングの詳細を知りたい人は、ぜひプロから学んでみてください。

スポーツに復帰できるまでの期間はどのくらいですか?

鏡視下手術だけであれば、リハビリテーションを加えて術後1〜2か月程度で復帰を目指します。炎症がないかなど定期的に確認しながら、スポーツの強度を上げていきます。
リハビリテーションスケジュールは、しっかりカウンセリングを受けた上で進めていきましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

もし三角骨が形成されたとしても日常生活には支障をきたすことはほとんどないといえる病気です。しかし、スポーツをしている人にとっては大きな障害となります。
とくに部活動などでスポーツが活発化する中学生〜高校生くらいで発症リスクが高まるため注意が必要です。少しでも足関節に痛みや違和感を覚えたら、まずは病院へ受診しましょう。

編集部まとめ

医師

健常者の約10%に存在が確認されている三角骨障害について解説していきました。いかがでしたでしょうか。

三角骨は足関節の距骨(きょこつ)の後ろにある過剰な骨(副骨)で、足関節後方インピンジメント症候群の1つです。

つま先立ちなどの動作で、足の甲が伸びた状態のときに痛みを伴う特徴があります。スポーツをしている人に発症しやすい障害ですが、テーピングなどの保存療法でも痛みを緩和させることが可能です。

痛みを感じたら、我慢せずに病院へ受診してください。効果的なテーピングの施術方法を理学療法士に教わることもおすすめです。

ぜひ、参考にしてみてください。

この記事の監修医師