智歯周囲炎の症状や原因、治療方法とは?

智歯周囲炎とはどんな病気なのでしょうか？その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

監修歯科医師：
渡邊 稔允（マリコ歯科クリニック）

智歯周囲炎とは

智歯周囲炎（ちししゅういえん）の「智歯」とは親知らずのことで、親知らずがうまく生えてこれないために細菌感染を起こして歯周組織に炎症が拡大している状態です。なぜ痛みや腫れが起こるのか、智歯周囲炎の治療方法や予防方法、受診する目安などについて詳しく解説します。

どんな症状が現れるの？

軽症の智歯周囲炎では、とくに自覚症状はありません。体調の悪いときや疲れが続いていると、歯肉が炎症を起こして腫れが強くなり、歯ぐきを押すと膿が出て臭います。痛みが肩や頭まで広がると、生活をまともに送れないほどの激痛を伴う場合もあります。

智歯周囲炎の原因は？

アフタ性口内炎の原因は、ウイルス、細菌、ストレス、食物アレルギー、ビタミンB2欠乏、ホルモンバランスの崩れ、消化器官疾患、免疫異常などと、さまざまな要因が考えられていますが、明確な原因は証明されていません。

智歯周囲炎の検査方法・診断方法は？

歯ぐきの最も奥に出てくる智歯は生えてくるスペースがなく、斜めや横向きに生えるなどの異常が起こりやすくなります。正常な向きで生えない智歯は歯肉に埋もれてしまい、歯磨きで食べかすなどをきれいに取り除けず、細菌が増殖して炎症を起こしやすい状態です。

智歯は10代後半から30代までに生えてきて、智歯周囲炎は25歳以降に最も多く発症します。
25歳以上は32%、それ以前の年齢は16%が智歯周囲炎を発症していると言われています。

智歯周囲炎の検査方法・診断方法は？

炎症の症状の程度と範囲を調べるために、顔のレントゲン撮影や顔面・頸部のCT又はMRIを行います。レントゲンやCTは数分ですが、MRIは20～30分程度かかります。
血液検査では白血球数やCRPの値を測り、炎症の強さを調べます。
多くの場合、CRP10以上で入院治療をするケースが多く見られます。
免疫力を低下させる疾患があると重症化しやすいため、血糖値などを血液検査で調べることもできます。痛みの程度や範囲などに自覚症状とこれらの検査結果に基づき、診断されます。

智歯周囲炎の治療方法

智歯周囲炎の症状が歯肉の腫れだけであれば、市販薬を使って症状が緩和されることもあります。
症状を放置した場合、一時的な症状消失や慢性転化、細菌数の低下などにより、痛みや炎症が和らぐ場合がありますが、完全に治った（再発しない状態になった）とは言えないでしょう。

洗浄や抗生物質を内服すれば早く治すことが可能になります。家で洗浄する際にはうがい薬を使用し、痛みには消炎鎮痛剤を内服します。腫れが引かない場合、または進行して顔の腫れが出てしまう場合には抗生物質の点滴が必要です。
頬部蜂窩織炎は重症なので大学病院や総合病院へ入院し、CRPが下がるまで安静や点滴治療などの管理が望まれます。智歯がある限り炎症は再発するため、症状が軽くなってから抜歯することで完治が可能です。治療中は疲れがでるような行動は避け、体を休めるように過ごしましょう。

薬について

歯医者の治療では炎症を抑えるために抗生物質やうがい薬が処方され、痛みには消炎鎮痛剤も有効です。ただ、抗生物質や消炎鎮痛剤は、細菌との相性が合っていないと腫れが引かないこともあります。炎症が強いときにはジスロマックという抗生物質が処方される場合があります。
第一選択では、ペニシリン系の抗生物質を処方しますが、炎症が強い時はマクロライド系の抗生物質のジスロマックを処方することもあります。

痛み止めにはロキソニンやボルタレンを使いますが、スッキリと痛みがなくなるわけではありません。どちらも腫れや痛みに対する治療で、智歯が残っている以上、根本的な解決にはなりません。

痛みや腫れへの対処法

智歯周囲炎が軽症であれば1週間ほどで一時的に症状が落ち着くことが多いです。痛みや腫れのピークは3～4日です。
どうしても歯科を受診できないときには、市販のうがい薬や痛み止めを使って対処しましょう。ほかにも腫れや痛みのある部位を冷やすと痛みや腫れが少し楽になります。体の抵抗力を上げるためにも、しっかりと体を休めるようにしましょう。

智歯周囲炎の予防方法

智歯周囲炎にならないための対策としては、智歯の周囲を丁寧に歯磨きして歯医者で定期的に状態をチェックすることです。根本的に対策するのであれば、症状が落ち着いているときに抜歯をする必要があります。体の抵抗力が落ちると智歯周囲炎を発症しやすくなるため、日頃からしっかりと休息をとってバランスの良い食事をするなど、体調を整えておくようにしましょう。

もしかして智歯周囲炎？初期症状・気になる症状を解説

ここでは智歯周囲炎の初期症状や、智歯周囲炎の疑いのある症状、病院へ行くべき目安や対処法などを解説します。

奥歯が腫れている、奥歯に痛みや違和感がある

炎症が軽い智歯周囲炎は、体調がよければ硬いものを噛んだときに痛みが出てくる程度です。智歯周囲の腫れや痛みに加えて頭痛や熱を伴うようであれば、急速な炎症が起こっている初期症状の可能性があります。歯ぐきや頬が腫れたり、口が開きにくかったりするのであれば、早めに歯医者を受診しましょう。

喉が腫れている、喉に痛みや違和感がある

智歯周囲炎が悪化すると、喉の腫れや違和感を感じることがあります。痛み止めで一時的に痛みが和らいだとしても、喉の腫れや違和感は気道が狭まっている重症な状態かもしれません。放置せずに早めに受診しましょう。

まとめ

智歯を持っている人は、日頃から智歯の周囲はとくに丁寧に歯磨きをし、健康的な生活を意識して予防を心がけましょう。智歯周囲炎は入院が必要となる重症な状態を引き起こす可能性があります。気になる症状があらわれたときには放置せず、歯医者を受診して治療してもらうことです。智歯周囲炎を繰り返すときには、根本的な治療となる抜歯も検討しましょう。

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