「レプトスピラ症」という感染症はご存じですか?感染経路や症状について解説!
レプトスピラ症といわれてもどのような病気か見当がつかない方も多いでしょう。しかしこの病気は実のところ、日本国内でも確認されている症状でもあります。
今回は意外と身近にみられるレプトスピラ症について、感染経路や対処法などをまとめながら紹介していきます。
行楽シーズンや海外旅行で海外に赴く前にはこの記事を一読していただけると、いざという時のための行動がしやすくなるのではないでしょうか。
ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
レプトスピラ症の症状と感染経路
レプトスピラ症の症状を教えてください。
症状は3〜14日の無症状の潜伏期間経過後に顕在するようになり、発熱・悪寒・各箇所の痛み・結膜の充血が生じ、重症化すると黄疸・出血・腎障害が現れるようになります。これらは4〜6日経つと次第に強く出現するでしょう。
出血箇所については、皮膚の下や鼻血のようなものから肺出血に至るまで広範囲にわたります。重症型については適切な治療がされなかった場合の致死率は2〜3割程度です。軽症で済んだ方の予後は良好ですので、該当する症状があれば医師の適切な治療を受けましょう。
初期のレプトスピラ症は、症状が風邪とよく似ているので初見だと見逃されやすいことが多いです。風邪だからと自己判断で市販の感冒症状に使われる内服薬を使うのではなく、症状が出ている状態であれば受診する必要がありますので、まずは最寄りの保健所に相談しましょう。
感染経路を教えてください。
また稀に汚染された飲食物から経口摂取により感染したり、さらに珍しいことですが尿を介して人から人へ感染したりするケースもみられます。
どの地域で流行していますか?
しかし日本でもレプトスピラ菌の感染は、2016年までに30都府県で症例が上がっており、現在でも沖縄で散発的な発生が確認されあまり珍しい感染症とはいえません。このことから病原体は国内にも広く分布しているものと思われます。
レプトスピラ症の発生状況を教えてください。
国内で罹患する場合は、大雨や洪水後の特に汚染水が溜まる環境でネズミに遭う機会が増加し、罹患する傾向にあります。国内でも度々レプトスピラ症が起こる背景にはこのような自然災害によるところがあるといえるでしょう。
もし大雨や洪水を体験するようなことがあれば、よりレプトスピラ症のような感染症に注意すべきです。
レプトスピラ症の診断と治療
レプトスピラ症はどのように診断されますか?
手法としては、まずレプトスピラ菌の分離を試みます。分離の培養には抗菌薬投与前の発熱していた時期の血液を使用し、採血後レプトスピラ培養培地に加えて30℃で数日から1ヶ月静置します。レプトスピラ菌は、顕微鏡を使うとひも状らせん型の回転する菌体として確認が可能です。
次に血清診断法を行います。顕微鏡下凝集試験法による、ペア血清(急性期と回復期の2点の血清を測定し抗体値が陽転か有意上昇するかで診断する方法)を用いたレプトスピラ菌の血清型の特異的な抗体の検出が確定診断には重要なポイントです。
ちなみに陽性とされるのはペア血清にて4倍以上の抗体価上昇が確認できた場合となります。またレプトスピラ菌は地域によって流行している血清型に違いがみられ、その数およそ230以上と決して少ないとはいえません。その中で、血清型を見極めるためのスクリーニング方法にはマイクロカプセル凝集法などの方法がとられます。
最後にレプトスピラ遺伝子のPCR検査による検出で、レプトスピラの16SrRNA遺伝子や構成成分の一つのflaB遺伝子などが検出されるとレプトスピラ菌に感染しているとの診断ができるのです。
潜伏期間を教えてください。
治療方法を教えてください。
これらはペニシリン投与の後、数時間で反応がみられ通常24時間で軽快します。
レプトスピラ症の対処法
レプトスピラ症の対処法を教えてください。
治療薬としてドキシサイクリンと呼ばれる抗菌薬の内服も予防効果が見込めますが、長期間の服用は耐性菌を生成する可能性が出てくるので治療が終わったら内服をやめましょう。
予防ワクチンや抗菌薬はあるのでしょうか?
そのため、ドキシサイクリンのような抗菌薬を投与しての治療が主流です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
またレプトスピラ症に罹患していても無症状の患者さんもまれに見掛けます。症状が顕在していなくとも保菌している可能性はあるので、同じように届出をすることが必要です。周りで海外旅行に行ってレプトスピラ症に感染した人がおり、かつ症状は出ていないけれど気になる方は保健所に相談することも賢明といえるでしょう。
編集部まとめ
ここまでレプトスピラ症について紹介してきました。
諸症状も風邪に類似しているため、一見風邪かと勘違いしてしまいそうです。
しかし深刻化すると命に危険が及ぶことも十分にあり得ますので、体調の変化にはくれぐれも注意しましょう。
海外で汚染されている水や土に触れるとかかるものかと思われがちですが、実は日本でも感染が確認されています。
日本では、洪水などの自然災害の後は水にそのまま入らないこと・入るときはゴム手袋などの対策を取ることが予防の条件といえます。
該当地域から帰国した場合で特徴的な症状が現れてきたら、一度保健所や医師の診察を受けましょう。