「夢遊病」は子供に起こりやすい?症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/06/28

しっかり寝ているはずなのに、疲れが取れないなんてことはあるでしょうか。身に覚えのない形跡や体にあざがついていたという方もいます。 そのような方はもしかすると、夢遊病になっているからかもしれません。日本では、何らかの睡眠に問題を抱えている方がなんと約5人に1人といわれています。 睡眠は日常生活の質を保つ、非常に大切なものです。睡眠に問題があると日常生活の質が低下するだけでなく、生活習慣病やうつ病のリスクが高まってしまいます。 今回は数ある睡眠問題の中で、夢遊病に注目して紹介しましょう。夢遊病について知りたい方の有益な情報になりますので、ぜひご一読ください。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
プロフィールをもっと見る
専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
夢遊病の原因や症状
夢遊病の原因は?
夢遊病は寝ている状態のまま、夜中になると動き回る睡眠障害の1つです。夢遊病は別名、睡眠時遊行症ともいいます。夢遊病が発症する原因は、睡眠のサイクルが上手く機能していないからです。
睡眠時には、眠りが浅くなり夢を見るレム睡眠と深い眠りに入って脳を休めるノンレム睡眠が約90分間隔で変動する働きをしています。しかし、夢遊病が起こる場合の睡眠時では、深い眠りに入って脳を休めているはずのノンレム睡眠時に体だけが起きるという中途半端な状態です。脳は眠っているが体は起きている状態なので、動いていても意識は朦朧としているため、声をかけても反応しないという特徴があります。
脳は深い眠りに入っているので、この状態で目覚めさせるのは非常に難しいです。夢遊病を発症する可能性は、いくつかあります。
睡眠時には、眠りが浅くなり夢を見るレム睡眠と深い眠りに入って脳を休めるノンレム睡眠が約90分間隔で変動する働きをしています。しかし、夢遊病が起こる場合の睡眠時では、深い眠りに入って脳を休めているはずのノンレム睡眠時に体だけが起きるという中途半端な状態です。脳は眠っているが体は起きている状態なので、動いていても意識は朦朧としているため、声をかけても反応しないという特徴があります。
脳は深い眠りに入っているので、この状態で目覚めさせるのは非常に難しいです。夢遊病を発症する可能性は、いくつかあります。
- 睡眠機能が未熟
- 心身のストレス
- 睡眠時無呼吸症候群
- 遺伝によるもの
- 認知症
- その他の病気に関連するもの
症状を教えてください。
夢遊病は、脳が寝ている状態で体だけが起きている状態です。夢遊病の症状はいくつかあります。
- 夜中にベットから起き上がる
- 寝ながら歩き回る
- 寝ながら食事をはじめる
- クローゼットで排尿する
- 行動中に声をかけても反応がない
- 寝ながら暴れだす
- 寝ている間ずっと泣き叫び続ける(夜驚症)
- 本人は夢や遊行していたことを全く覚えていない
夢遊病は子供に起こりやすいのですか?
3~9歳の子どもによく見られる現象ですが、思春期も終わりを迎えて来る頃には睡眠機能が発達すると同時に自然と夢遊病は落ち着いていくのが一般的です。睡眠サイクルが未発達の子どもの中でも、幼児期は女児に多く夢遊病の症状がみられます。成長すると成人男性に多くみられる傾向です。
さらに、睡眠サイクルが未発達の子どもすべてに夢遊病がみられるわけではありません。脳の発達や性質の個人差だけでなく、遺伝的な要素も影響すると考えられています。
さらに、睡眠サイクルが未発達の子どもすべてに夢遊病がみられるわけではありません。脳の発達や性質の個人差だけでなく、遺伝的な要素も影響すると考えられています。
夢遊病以外の睡眠時随伴症の症状を教えてください。
睡眠時随伴症とは、睡眠中に突然起きてしまう病気の総称です。寝言や寝ぼけた行動などもこの睡眠時随伴症に入ります。睡眠時随伴症の症状は、以下の通りです。
- ぼんやりした状態で部屋中を歩き回る(夢遊病)
- 悲鳴や叫び声をあげる(夜驚症)
- 怒鳴ったり急に凶暴化したりと夢の内容を現実でも行う(レム睡眠行動障害)
夢遊病の診断や治療方法
夢遊病は何科を受診すればよいですか?
本人に自覚症状が出ない夢遊病ですが、治療方法などはあるのでしょうか。夢遊病で受診する際は、精神科や心療内科などの専門医に相談しましょう。ストレスから夢遊病を発症している可能性も多くあります。ですが、不眠障害として受診するのであれば、かかりつけ医のいる内科がおすすめです。
ほかにも、病院やクリニックによっては睡眠外来を設置しているところもあります。睡眠外来では、専門医による適切な診断や治療を受けられるでしょう。睡眠障害の専門的診療を行う一般的な施設は以下の通りです。
ほかにも、病院やクリニックによっては睡眠外来を設置しているところもあります。睡眠外来では、専門医による適切な診断や治療を受けられるでしょう。睡眠障害の専門的診療を行う一般的な施設は以下の通りです。
- 睡眠障害専門の病院やクリニック
- 睡眠ポリグラフィー検査ができる診療所やクリニック
- 総合病院の睡眠外来
- 大学病院の睡眠医療部門
夢遊病はどのように診断されるのですか?
一般的には本人ではなく、ご家族から症状の聞き取りを行って夢遊病を診断します。診断の基準は、以下の通りです。
- 寝ながら動き回ることがたびたびある(遊行)
- 遊行中に声をかけても反応がない
- 表情がうつろで覚醒しない
- 遊行が睡眠の前半に多くみられる
- 覚醒後に本人は遊行をおぼえていない
- 夢の内容をほとんどおぼえていない
治療方法を教えてください。
夢遊病の治療は、自宅の環境を整えることが重要になります。精神的なストレスが大きいと判断された場合、心理療法を行うことが一般的です。症状が重い場合は、抗不安薬の使用を一時的に検討されるでしょう。
夢遊病を完全に治療する薬はありませんので、環境を整えることや心身のケアが中心となります。
夢遊病を完全に治療する薬はありませんので、環境を整えることや心身のケアが中心となります。
夢遊病の予防と注意点
子供の夢遊病は年齢が上がれば自然に治るのですか?
自分の意思とは関係なく、行動してしまう夢遊病を予防する方法はあるのでしょうか。先述していますが、夢遊病は3~9歳の子どもによく見られる現象です。しかし、思春期の終わりを迎える頃には睡眠機能が発達すると同時に、自然と夢遊病は落ち着いていくのが一般的とされています。
子どもの夢遊病には、日頃から心身のケアと生活リズムを安定するように見守ってあげましょう。また、ケガをしないように部屋をキレイにしたり、カギをかけたり、階段を降りられないようにしたりと環境を整えてあげることが大切です。
子どもの夢遊病には、日頃から心身のケアと生活リズムを安定するように見守ってあげましょう。また、ケガをしないように部屋をキレイにしたり、カギをかけたり、階段を降りられないようにしたりと環境を整えてあげることが大切です。
予防する方法はありますか?
夢遊病を予防するためには、心身のストレスを改善する必要があります。睡眠サイクルをしっかり取れるよう生活リズムを整えることが夢遊病の予防につながるでしょう。
日頃から無理をせず、自分の言葉を外に吐き出す習慣をつけるのがおすすめです。必要に応じて心理療法を受けられる環境が理想といえます。
日頃から無理をせず、自分の言葉を外に吐き出す習慣をつけるのがおすすめです。必要に応じて心理療法を受けられる環境が理想といえます。
日常生活での注意点を教えてください。
とにかく、生活リズムを整えてストレスを溜め込まないことが大切です。夢遊病かもしれないと思ったら、床に物を置かないなどケガをしないための対策を取りましょう。
家族と話し合う時間を作ることも、夢遊病には有効といえます。
家族と話し合う時間を作ることも、夢遊病には有効といえます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
子どもに多くみられる夢遊病ですが、一般的には睡眠機能の成長と共に症状が改善していきます。不安になるかもしれませんが、焦らず落ち着いて見守りましょう。子どもとのコミュニケーションや生活を見直す、良い機会だとポジティブに捉えてください。
また、成人してからでも心身のストレスによって一時的に夢遊病を発症することがあります。疲れているんだ、ストレスがあるんだと捉えて発散する方法を見つけましょう。そうすれば夢遊病も改善されていきます。それでも不安がある場合は、医師に相談しましょう。
また、成人してからでも心身のストレスによって一時的に夢遊病を発症することがあります。疲れているんだ、ストレスがあるんだと捉えて発散する方法を見つけましょう。そうすれば夢遊病も改善されていきます。それでも不安がある場合は、医師に相談しましょう。
編集部まとめ
日本人の睡眠問題を抱えている方が、約5人に1人といわれています。睡眠は日常生活の質を保つ、非常に大切なものです。
良い睡眠を得るために、適度な運動など生活習慣を見直していきましょう。
心を軽くしてくれるアイテムを使用するのもおすすめです。夢遊病だけに囚われず、根本的な部分を改善していくことが症状改善の近道になるでしょう。




