「夏バテ」の症状はご存知ですか?対策や予防についても解説!医師が監修!
公開日:2023/06/23
暑い季節になると心配されるのが夏バテです。
夏バテは体が暑さに順応できないために起きるものですが、近年では室内と屋外の温度差による自律神経の乱れが原因となるものも増えています。
しっかり対策をしないと不調が長期化する場合もあるので、対策や予防法を知り、未然に防ぎましょう。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
目次 -INDEX-
夏バテの症状や原因
夏バテにはどのような症状がありますか?
代表的なものは全身の疲労感・体のだるさ・食欲不振です。他にも熱っぽさ・立ちくらみ・下痢などの症状が出ることもあります。
特に幼児や高齢者は脱水症状や熱中症を併発して衰弱しやすいため、家族や周囲の人の配慮が欠かせません。
特に幼児や高齢者は脱水症状や熱中症を併発して衰弱しやすいため、家族や周囲の人の配慮が欠かせません。
夏バテの原因を教えてください。
高温多湿な日本の気候と、自律神経の乱れが大きな原因です。通常私たちの体は暑さを感じると発汗し、体温の調整を試みます。
日本の夏は30℃以上の猛暑が続くために大量の汗をかきやすく、汗をかくことでナトリウムやミネラルなどの栄養素が失われてしまいます。また湿度が高いために汗が気化しづらく、体温調整もスムーズにいきません。
その結果体力が消耗して夏バテの状態になってしまいます。そして自律神経の乱れによる夏バテも増加傾向です。涼しい室内と暑い屋外の温度差で自律神経が乱れ、夏バテの症状につながります。
日本の夏は30℃以上の猛暑が続くために大量の汗をかきやすく、汗をかくことでナトリウムやミネラルなどの栄養素が失われてしまいます。また湿度が高いために汗が気化しづらく、体温調整もスムーズにいきません。
その結果体力が消耗して夏バテの状態になってしまいます。そして自律神経の乱れによる夏バテも増加傾向です。涼しい室内と暑い屋外の温度差で自律神経が乱れ、夏バテの症状につながります。
夏バテになりやすいのはどのような人ですか?
慢性的に運動不足・睡眠不足の状態が続いている人です。暑いからとあまり活動しない生活を続けていると、筋力はもちろんそのほかの体の機能も低下します。特に体温調整機能が低下すると、夏場の室温と外気温の差に耐えられません。
体は体温調整にかなりのエネルギーを消耗するため、体力低下や体調不良を起こしやすくなります。消化機能も低下した場合、食欲不振による栄養不足の可能性もあるでしょう。
また、睡眠不足は体力回復の機会を奪うものです。夏は1年の中でも最も体力を消耗しやすい季節ですから、翌日の活動に備えて十分な休息を取る必要があります。
体は体温調整にかなりのエネルギーを消耗するため、体力低下や体調不良を起こしやすくなります。消化機能も低下した場合、食欲不振による栄養不足の可能性もあるでしょう。
また、睡眠不足は体力回復の機会を奪うものです。夏は1年の中でも最も体力を消耗しやすい季節ですから、翌日の活動に備えて十分な休息を取る必要があります。
夏バテと間違えやすい病気はありますか?
脱水症・熱中症とは特に間違いやすいので注意してください。脱水症の初期の症状は全身のだるさ・食欲不振などで、夏バテに似ています。
ただし「ただの夏バテ」と放置すれば症状が進行し、呼吸困難や意識障害などを引き起こす可能性があり危険です。近年では日常的に体内の水分が不足している状態の「かくれ脱水」も問題になっています。これは熱中症にもつながる症状です。
熱中症は徐々に進行する夏バテとは異なり、急激に体調が悪くなります。また気分の落ち込みなどの精神的な症状をともなう場合、うつ病の疑いがあることも覚えておいてください。
特に夏場に現れるうつ症状は「夏季うつ病」とも呼ばれます。悪化すれば生活に支障をきたすこともあるため、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
ただし「ただの夏バテ」と放置すれば症状が進行し、呼吸困難や意識障害などを引き起こす可能性があり危険です。近年では日常的に体内の水分が不足している状態の「かくれ脱水」も問題になっています。これは熱中症にもつながる症状です。
熱中症は徐々に進行する夏バテとは異なり、急激に体調が悪くなります。また気分の落ち込みなどの精神的な症状をともなう場合、うつ病の疑いがあることも覚えておいてください。
特に夏場に現れるうつ症状は「夏季うつ病」とも呼ばれます。悪化すれば生活に支障をきたすこともあるため、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
夏バテの受診や治療方法
夏バテになったら何科を受診すればよいですか?
夏バテの代表的な症状である全身の疲労感・体のだるさ・食欲不振などの症状がある場合は、内科を受診しましょう。脱水症や熱中症にも対応が可能です。
ただし意識障害がある場合はもちろん、呼びかけに対する応答が不自然な場合は迷わず救急車を呼んでください。夏バテではなく、熱中症の重篤な症状である可能性があります。
ただし意識障害がある場合はもちろん、呼びかけに対する応答が不自然な場合は迷わず救急車を呼んでください。夏バテではなく、熱中症の重篤な症状である可能性があります。
治療方法を教えてください。
脱水症状の解消・栄養補給・生活指導が大きな柱となります。脱水症状が起きていると体の機能が著しく低下しているため、点滴で不足したミネラルなどを補給します。
食欲不振で栄養が不足している場合にはビタミン剤も有効です。特に体のだるさや疲労感が強いときには、炭水化物を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1が効果的だといわれています。
そして最も重要なのは、夏バテを繰り返さないための生活習慣の改善です。食事・睡眠・運動などの観点から総合的に指導を行います。
食欲不振で栄養が不足している場合にはビタミン剤も有効です。特に体のだるさや疲労感が強いときには、炭水化物を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1が効果的だといわれています。
そして最も重要なのは、夏バテを繰り返さないための生活習慣の改善です。食事・睡眠・運動などの観点から総合的に指導を行います。
夏バテの対策や予防方法
夏バテは事前に対策できますか?
夏バテは事前に十分対策できます。特に生活リズムと水分補給に気を付けるとよいでしょう。私たちの体には体内時計というものがありますが、これが狂うと体温調整機能の低下や体力の低下を招きます。
毎朝同じ時間に起床して朝日を浴び、リズムを整えましょう。体を目覚めさせるには、しっかり朝ごはんを摂ることも重要です。
水分補給は、とにかくこまめに行うことを心がけてください。体重の3%に相当する水分が失われると、脱水症状で体の機能が低下し始めます。のどの渇きを感じる前に水分を摂りましょう。
毎朝同じ時間に起床して朝日を浴び、リズムを整えましょう。体を目覚めさせるには、しっかり朝ごはんを摂ることも重要です。
水分補給は、とにかくこまめに行うことを心がけてください。体重の3%に相当する水分が失われると、脱水症状で体の機能が低下し始めます。のどの渇きを感じる前に水分を摂りましょう。
夏バテを予防するにはどのような食事を摂ればよいですか?
冷たい飲み物や食事を摂りすぎないようにしてください。冷たいものは胃腸を弱めて消化に負担がかかり、それだけで体力を消耗してしまいます。暑いとつい冷たいものばかり選びがちですが、意識的に温かい食事も摂るようにしましょう。
また食欲が落ちて栄養不足になることも、夏バテの大きな原因です。少しでも食欲が増すよう、普段の食事に香辛料や香味野菜を取り入れるのもよいでしょう。
カレーの香りに食欲をそそられた経験は、どなたにもあるのではないでしょうか。カレーパウダーはスーパーでも手に入るので、肉などの炒め物に振りかけるのも手軽な方法です。香味野菜では、特にしょうがや大葉はさまざまな食事に合い、取り入れやすいと思います。
汗で失われやすいビタミンやミネラル、疲労回復に有効なアミノ酸を含むたんぱく質も意識して摂取するとなおよいでしょう。ビタミンやミネラルは野菜・果物・穀類に多く、たんぱく質は肉・魚・たまご・大豆製品に多く含まれています。日々の献立の参考にしてください。
また食欲が落ちて栄養不足になることも、夏バテの大きな原因です。少しでも食欲が増すよう、普段の食事に香辛料や香味野菜を取り入れるのもよいでしょう。
カレーの香りに食欲をそそられた経験は、どなたにもあるのではないでしょうか。カレーパウダーはスーパーでも手に入るので、肉などの炒め物に振りかけるのも手軽な方法です。香味野菜では、特にしょうがや大葉はさまざまな食事に合い、取り入れやすいと思います。
汗で失われやすいビタミンやミネラル、疲労回復に有効なアミノ酸を含むたんぱく質も意識して摂取するとなおよいでしょう。ビタミンやミネラルは野菜・果物・穀類に多く、たんぱく質は肉・魚・たまご・大豆製品に多く含まれています。日々の献立の参考にしてください。
生活習慣で気を付けるべきことはありますか?
食事以外の生活習慣では、睡眠不足・運動不足に気を付けてください。
まず睡眠ですが、夏の良質な睡眠には適度な冷房の活用が欠かせません。設定温度は環境省の推奨する28℃を目安にし、冷感機能のある寝具を併用してもよいでしょう。
また扇風機で空気の流れを作ることで、冷房効率も高まります。設定温度が高いと感じる方もいるかもしれませんが、冷やしすぎはかえって起床時のだるさを招きます。人間の体温は日中の活動に備えて明け方から上昇するのですが、室温が低すぎるとこの働きが妨げられてしまうからです。
日中も、外気温との差を5℃程度に抑えておくことをおすすめします。運動に関しては、軽く汗をかく程度のものを心がけましょう。汗をかくことで体温調整機能が改善し、厳しい夏の暑さへの耐性が備わります。
ただ、日中の気温の高い時間帯での運動は危険です。熱中症のリスクを避け、比較的涼しい朝や夕方以降のウォーキングなどを行うのがよいでしょう。特に朝の活動は朝日を浴びることにもつながり、体のリズムが整うのでおすすめです。
まず睡眠ですが、夏の良質な睡眠には適度な冷房の活用が欠かせません。設定温度は環境省の推奨する28℃を目安にし、冷感機能のある寝具を併用してもよいでしょう。
また扇風機で空気の流れを作ることで、冷房効率も高まります。設定温度が高いと感じる方もいるかもしれませんが、冷やしすぎはかえって起床時のだるさを招きます。人間の体温は日中の活動に備えて明け方から上昇するのですが、室温が低すぎるとこの働きが妨げられてしまうからです。
日中も、外気温との差を5℃程度に抑えておくことをおすすめします。運動に関しては、軽く汗をかく程度のものを心がけましょう。汗をかくことで体温調整機能が改善し、厳しい夏の暑さへの耐性が備わります。
ただ、日中の気温の高い時間帯での運動は危険です。熱中症のリスクを避け、比較的涼しい朝や夕方以降のウォーキングなどを行うのがよいでしょう。特に朝の活動は朝日を浴びることにもつながり、体のリズムが整うのでおすすめです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
夏バテの対策や予防法には目新しいものはなく、健康的な生活を送るための基本的なことばかりではないでしょうか。ただ、忙しい現代人の生活の中ではそれすら難しいことになりつつあります。
今回取り上げたポイントを参考に、無理なく取り入れられるものから試してみてください。実は最近は「秋バテ」という言葉も知られるようになっています。
秋は毎日の気温が安定しないことに加えて朝晩の寒暖差も大きく、体温調整のために自律神経が疲れ切ってしまうのです。これは夏に室内と屋外の温度差があることと同じ状況ですので、夏バテになりやすい人は秋バテにもなりやすい状況といえます。秋まで不調を引きずらないためにも、まずは夏バテにならない生活習慣を身に付けましょう。
今回取り上げたポイントを参考に、無理なく取り入れられるものから試してみてください。実は最近は「秋バテ」という言葉も知られるようになっています。
秋は毎日の気温が安定しないことに加えて朝晩の寒暖差も大きく、体温調整のために自律神経が疲れ切ってしまうのです。これは夏に室内と屋外の温度差があることと同じ状況ですので、夏バテになりやすい人は秋バテにもなりやすい状況といえます。秋まで不調を引きずらないためにも、まずは夏バテにならない生活習慣を身に付けましょう。
編集部まとめ
日本の夏は高温多湿で体力を消耗しやすく、そこに現代ならではの自律神経の乱れも加わって夏バテを引き起こしやすいことが分かりました。
しかし基本的な生活習慣を整えることで夏バテは未然に予防できます。今回取り上げたポイントが押さえられているかチェックしながら、夏を過ごしてみてください。
夏の不調や乱れた生活習慣を次の季節まで持ち越さないためにも、まずはしっかりと夏バテを予防していきたいですね。
参考文献