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「神経膠腫(グリオーマ)」の症状・原因・予後はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/06/07
「神経膠腫(グリオーマ)」の症状・原因・予後はご存知ですか?医師が監修!

神経膠腫(グリオーマ)とは、脳や脊髄の神経膠細胞から発生する悪性腫瘍で、痙攣・頭痛・意識障害などを引き起こす病気です。

悪性度の低い腫瘍の場合は摘出手術を、悪性度の高い腫瘍の場合は放射線治療化学療法が必要になります。

今回の記事では、神経膠腫(グリオーマ)とはどのような病気?症状・検査・治療・手術について詳しく解説します。

この病気に関して詳しく知りたい方や、症状に関して不安のある方は記事の内容を参考にしてください。

気になる症状のある場合は、お近くの医療機関にご相談ください。

上 昌広

監修医師
上 昌広(医師)

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東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

神経膠腫(グリオーマ)の症状や原因

顔を覆う女性

神経膠腫はどのような病気ですか?

神経膠腫とは、の神経膠細胞から発生する悪性腫瘍の総称です。
脳腫瘍の中でも最も一般的な種類のひとつであり、この病気には多くの種類があります。部分的に発生することが多く、脳や脊髄を圧迫し、頭痛・意識障害・痙攣などの症状があらわれます。
腫瘍の種類によっては、比較的良性であるものもあります。しかし、多くの場合は進行性の悪性腫瘍で、周囲の脳組織に浸潤し、正常な機能を奪います。
また、腫瘍の転移は稀で、脳内での増殖が主体となります。治療には摘出手術・放射線治療・化学療法などがあり、治療の方法は症状の出方・腫瘍の種類・進行状況によって異なります。

神経膠腫の原因はなんですか?

神経膠腫の原因は、現在のところ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関係している可能性があります。原因としていわれていることの1つ目が、遺伝子の異常です。
一部の遺伝子の変異が病気の発症と関係していることが報告されています。また、遺伝的な傾向がある人に発生する場合もあります。
2つ目が環境的な要因です。放射線の被ばくが病気のリスクを増加させることが知られています。また、一部の研究では、農薬・化学物質・電磁波の影響なども神経膠腫のリスクに関連する可能性が示唆されています。
3つ目が、生活習慣です。生活習慣に関する要因としては、喫煙・過度なアルコール摂取などが、発症のリスクに関連することが報告されています。しかし、神経膠腫が発生する正確な原因は不明のままであり、今後の研究が必要です。

神経膠腫の症状を教えてください。

神経膠腫の症状は、腫瘍の大きさ・位置・腫瘍の種類によって異なります。 以下に一般的な症状をいくつか挙げます。

  • 頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 意識障害
  • 視覚異常
  • 言語障害

頭痛は、腫瘍が脳や脊髄を圧迫し、脳内の圧力が上昇することによって起こります。このような頭痛は、神経膠腫の初期症状でよくあらわれるので注意が必要です。
吐き気や嘔吐も、腫瘍が周囲の組織を圧迫して脳圧が増加して起こります。また、腫瘍が脳の深部に存在する場合、意識障害や錯乱状態が生じてしまうのです。
ほかに、視覚に関する問題は、腫瘍が視神経や視覚中枢に影響を与えることによって起こります。また、神経膠腫が言語中枢に影響を与える場合もあり、それによって言語障害が起こる可能性もあるのです。
これらの症状が現れた場合は、早期発見と治療が重要となります。

それぞれのグレードの特徴を教えてください。

神経膠腫のグレードは、腫瘍がどの程度の悪性かを表す指標となります。 病理診断上は悪性度に応じてグレードが4段階に分類されています。

  • グレード1(毛様細胞性星細胞腫)
  • グレード2(星細胞腫・乏突起神経膠腫)
  • グレード3(退形成星細胞腫や退形成乏突起神経膠腫など)
  • グレード4(膠芽腫)

グレード1〜2に比べて、3〜4は悪性度が高く、3と4のものは悪性神経膠腫といわれます。
とくに悪性神経膠腫は一般的な画像診断で確認されるよりもはるかに広範囲でかつ早期から腫瘍細胞が拡大している場合がほとんどです。
グレード4のものが最も悪性度が高く、切除が困難な場合が多く、再発や転移が頻繁に起こり、予後は極めて不良であるとされています。
こういった神経膠腫の指標は、治療法や予後を決定する上で非常に重要な情報となります。

神経膠腫(グリオーマ)の検査や手術

ノートとペン

神経膠腫はどのような検査が行われますか?

神経膠腫の検査方法は、以下の方法を用いて検査が行われます。

  • MRI(磁気共鳴画像法)
  • CT(X線断層撮影)
  • 脳波検査
  • 神経学的評価
  • 細胞の生検

通常、MRIやCTなどの画像診断が重要になります。そして場合によっては、脳波検査・神経学的評価・神経膠腫を引き起こす細胞の生検が行われることもあるのです。
こういった検査の結果から、腫瘍が発生した部位・腫瘍のタイプ・グレード・適用になる治療法などを判断します。

神経膠腫の治療方法を教えてください。

神経膠腫の治療法は、腫瘍細胞の種類・グレード・位置・患者の年齢・症状などによって選択されます。治療法には以下のようなものがあります。

  • 外科手術
  • 放射線治療
  • 化学療法

外科手術は腫瘍の悪性度が低く、手術が可能な部位に発生したものである場合に適用になります。
また、手術後の再発または手術不可能な場合、放射線療法が行われる場合があります。放射線療法は腫瘍を縮小させる効果があるため、手術前にも行われる場合があるのです。
他に、放射線療法や手術の補助的な治療として化学療法が行われることがあります。化学療法は、腫瘍細胞を死滅させる効果があるのです。
これら3つの治療法を解説しました。ただし、病状によってはこれらとは異なる治療法が選択される場合があります。
詳細な情報は、専門医に相談することをおすすめします。

神経膠腫の手術について教えてください。

神経膠腫が部分的に、または完全に切除可能な場合は手術が適用になります。手術によって腫瘍を摘出した場合でも、再発のリスクがあります。
また、手術には周囲組織を傷つけるリスクがあり、すべてを摘出するのは困難な場合が多いです。

神経膠腫(グリオーマ)の予後や注意点

医者と患者

神経膠腫の予後について教えてください。

神経膠腫の予後は、腫瘍の大きさ・グレード・発生部位・患者の年齢・症状などによって異なります。一般的に、高いグレードの場合は低いグレードのものよりも予後が悪い傾向にあるのは事実です。
そして治療には、摘出手術・放射線治療・化学療法などがありますが、これらの治療法でも完全な治癒ができない場合があります。腫瘍が完全に切除された場合でも、再発する可能性があります。
このように、病気に対してできる限りの治療を行っても悪性神経膠腫の予後は不良といわれます。
WHOによって提唱されている分類のグレード3である退形成星細胞腫の5年生存率は20〜40%です。
グレード4に該当する神経膠芽腫であれば、発症からの生存期間は平均1年程度です。2年生存率は30%以下になり、5年生存率は10%以下となっています。

手術後の生活で注意するべきことはありますか?

神経膠腫の手術後には生活の中で注意が必要な場合があります。 以下に、手術後に気を付けるべきことをいくつか挙げます。

  • 健康的な食事
  • 経過観察
  • 薬の服用
  • 理学療法

健康的な食事を摂ったり、経過観察をしながら薬の服用を続けたりすることによって症状を悪化させないことが重要です。
また、理学療法によって身体の動きにくさ・むくみ・痺れなどを改善させる効果があります。
こういった手術後のケアは、患者の状態や手術の内容によって異なるため、専門医と相談しながら適切な処置を行うことが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

神経膠腫は脳や脊髄の神経膠細胞から発生する悪性腫瘍で、症状として痙攣・頭痛・意識障害などを引き起こす病気です。
ケースによっては摘出手術が困難な上に、再発のリスクがあります。
また、神経膠腫と診断されると、なぜ自分がこのような病気になってしまったのかと思いつめてしまう方も多いです。しかし、神経膠腫の発生要因はほとんど明らかになっていません。
また、適切な治療を行えば寿命を延ばせる可能性があります。
気になる症状のある場合は、早期に医療機関にご相談ください。

編集部まとめ

笑顔の看護師
ここまで、神経膠腫(グリオーマ)とはどのような病気なのか、症状・検査・治療・手術について解説しました。

神経膠腫とは、脳や脊髄にできる腫瘍によって痙攣・頭痛・意識障害を呈する病気です。

場合によっては手術が困難であったり、再発したりするリスクがあります。

非常に辛い病気で原因も不明なため、神経膠腫と診断されると、なぜ自分が神経膠腫になったのかと思いつめてしまう場合もあるかと思います。

しかし、適切な治療を早期に行うことで寿命を延ばせる可能性があります。

気になる症状のある場合は、お近くの医療機関までご相談ください。

この記事の監修医師