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「血餅(けっぺい)」をご存知ですか?取れた場合や白くなる原因も解説!

 更新日:2023/05/10
「血餅(けっぺい)」をご存知ですか?取れた場合や白くなる原因も解説!

血餅(けっぺい)をご存じでしょうか?血餅とは、抜歯後にできるかさぶたのようなものです。

血餅は歯茎の自然治癒機能により起こる現象で、放っておいても問題ありません。しかし、血餅が剥がれると「ドライソケット」という状態になり、痛みが出ます。

抜歯を経験したことがない方の多くは、これらの用語について馴染みがないほか、抜歯後のケアなどについて不安に思うかもしれません。

そこでこの記事では、抜歯後の血餅について、その特徴・注意点・取れるまでの時間などを解説します。

抜歯を予定している方は是非とも最後まで読んでいただき、適切なケアの参考になれば幸いです。

酒向 誠

監修歯科医師
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)

血餅(けっぺい)とは

?マークを示す医師

血餅(けっぺい)とはどのような症状でしょうか?

冒頭で述べたとおり、血餅は抜歯後にできるかさぶたのようなものです。
抜歯後の窪みには血液がたまり、血液中の血小板の凝固作用で出来上がるのが血餅です。血餅によって患部の止血・保護がなされ、自然治癒が可能となります。
しかし血餅ができないケースもあり、その場合はドライソケットと呼ばれ、骨がむき出しになり痛みが伴います。また炎症も起こりやすくなるのです。
なお、血餅は口内にできるため乾燥しづらく、柔らかいのが特徴です。

抜歯後どのくらいで血餅(けっぺい)ができますか?

血餅は、早い方だと抜歯後4分程度で形成が開始されます。そのため丸1日経てば血餅が出来上がっているはずです。
血餅の形成から1ヶ月程度で歯肉が形成されていきますが、その過程で血餅は自然に剥がれます。ただし形成から間もない時期は血餅が剥がれやすいため、舌や指でいじるなどの行為は控えましょう。

血餅(けっぺい)の色が白いのですが…。

始めのうち血餅は赤黒い血の塊になっていますが、数日すると白くなります。血餅が白くなるのは、順調にかさぶたを形成している証拠です。
抜歯から3〜5日程度で白っぽいブヨブヨした物質が形成されますが、この物質は7〜10日程度で自然に剥がれ落ちるため放っておいて問題ありません。歯茎の自然治癒には必要なプロセスです。
血餅が自然に剥がれ落ちるまでは細菌などの侵入を防ぐ重要な役割を果たしているため、無理に取り除くのは避けましょう。

血餅(けっぺい)がどんどん大きくなるのは問題ないでしょうか?

血餅が大きくなりすぎるのは問題です。抜歯後は一定の出血量で血餅が形成されますが、止血がうまくいかずに大量の血が固まると、大きな血餅ができてしまいます。このような血餅は炎症につながる可能性があるのです。
特に肝臓病や白血病の方など血液に疾患がある方は、止血がうまくいかずに血餅が大きくなる傾向にあります。血餅の大きさが気になる場合は診察を受け、適切な処置をしてもらうのが良いでしょう。

血餅(けっぺい)とドライソケット

頬を押さえる女性

血餅(けっぺい)を取ってしまうとドライソケットになると聞きましたが…。

血餅が取れて窪みが露出している状態をドライソケットといいます。
抜歯後2〜3日の血餅は形成過程にあるため取れやすいです。このタイミングで強い歯ブラシ・うがいなどを行うと血餅が取れてしまう可能性があります。そのため抜歯直後の口内は特に慎重なケアをしましょう。
なお、ドライソケットを治すには抗生物質を服用し、血餅の再形成によって自然治癒するまで待つ必要があります。それでも血餅がうまく再形成されない場合は、意図的に出血させ、血餅を形成する処置を行います。
血餅を人為的に形成するには、歯科医師による処置を再度行わなければなりません。そのため、血餅の形成時期はなるべく剥がれないようにケアするのが望ましいといえます。

ドライソケットにはどのようなリスクがありますか?

先述したとおり、血餅の役割は抜歯後の患部に細菌が入らないように保護することです。しかしドライソケットになると細菌が入り、炎症を起こしてしまう可能性があります。炎症を起こすと2週間程度続く場合があるでしょう。
また、ドライソケットは口臭の原因にもなります。細菌が患部に入って炎症を起こすと、化膿するおそれがあるからです。
なお、ドライソケットの膿には「メチルメルカプタン」という物質が含まれており、歯垢などによる口臭よりも強い悪臭を放つ傾向があります。生ゴミのような独特な異臭なので、自分自身はおろか、周りの方へも不快感を与えることになりかねません。

血餅(けっぺい)が取れたとき、歯科へ行くべき症状を教えてください。

血餅が取れた場合、痛みや出血が続かなければ問題ないのですが、多くの場合は先述したように炎症を起こす可能性があります。炎症がひどくなると膿が出てくることがあります。その場合は歯科医師によって膿を取り除く必要があるほか、抗生物質を服用して安静にすることが大切です。
特に喫煙者がドライソケットになると、炎症・化膿が起こりやすい傾向があります。タバコにはニコチンなどの有害物質が含まれており、傷の治りを遅くする働きがあるからです。抜歯直後は喫煙を控えましょう。

血餅(けっぺい)の注意点

注意点を示す医師

血餅(けっぺい)を取れにくくするために注意することを教えてください。

抜歯後の血餅は取れやすく、適切にケアする必要があります。その上で注意したいのは、「血液の流れを促進するような行動を控える」ことです。
血液の流れを促進する行動としては、主に入浴・飲酒・激しいうがいなどの行為が挙げられます。
血液の流れが促進されると止血がうまくいかず、血餅の形成が不安定になります。不安定な血餅だと剥がれやすいため、抜歯後のケアが難しくなるのです。また、血液の流れが促進されると、痛みがひどくなる場合もあります。これらを避けるためにも、抜歯後の行動には注意しましょう。

血餅(けっぺい)が自然に取れるまでどのくらいの時間がかかりますか?

先述したように、血餅は抜歯の当日に形成され、3〜5日程度で白っぽい物質になります。抜歯後7〜10日ほど経つと自然に取れてなくなるため、それまでは上記の注意事項を踏まえて適切にケアしましょう。
なお、抜歯後の窪みが気になり、舌や指で直接触れてしまって血餅が取れるような事例もあります。抜歯後は痛み・違和感があるかもしれませんが、10日間は我慢して患部が自然治癒するまで待ちましょう。

血餅(けっぺい)が歯茎になるまでどのくらいかかりますか?

血餅が自然に取れて歯茎を形成するまでには100日程度かかります。抜歯後10日程すると血餅が自然に取れることは既に述べましたが、抜歯後30日程で表層の歯肉が形成され始めます。抜歯後50日では骨髄が形成され始め、抜歯後100日程で骨の形態変化が完了するという流れです。
抜歯後の歯茎は自然治癒に注力しています。だからこそ、抜歯直後の不安定な患部に細菌が入らないように細心の注意を払う必要があるのです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

抜歯後の歯茎では出血により血餅が形成され、時間をかけて自然治癒します。放っておけば元通りの歯茎になりますが、抜歯後の行動次第では血餅が剥がれ、ドライソケットになる可能性があります。
ドライソケットの発症頻度は比較的少ないですが、ドライソケットになると中長期的に痛みを伴うほか、化膿すると強烈な口臭の原因になるため患者にとって好ましくはないでしょう。
このような事態を避けるため、抜歯直後は血流を安定させるように行動しましょう。血流が安定しなければ止血がうまくいかず、血餅の形成が不安定になるからです。特に入浴・飲酒・激しいうがいなどの行動は避けましょう。また、痛みや化膿が起こった場合には早めに歯科医師へ相談しましょう。

編集部まとめ

笑顔の女性
この記事では抜歯後にできる血餅について、その特徴・注意点・取れるまでの時間などについて解説しました。

また、歯科医師に相談すべき症状についても詳しく解説しました。

血餅は抜歯後に自然に起こる症状で、歯茎の治癒には不可欠な存在です。そのため、無理に剥がそうとするのではなく、取れないように細心の注意を払いましょう。

抜歯後の症状には馴染みが薄い方も多く、ドライソケットになる方は一定数存在します。少しでも判断に困ることがあれば、遠慮せずに歯科医師へ相談しましょう。

歯茎の自然治癒が適切かつ早期に完了すれば、その後の矯正など、各種治療をスムーズに進められます。

この記事の監修歯科医師