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「飛蚊症」の危険な見え方・原因はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/04/28
「飛蚊症」の危険な見え方・原因はご存知ですか?医師が監修!

視界に細かい粒や糸くずのような物が見えて不快に感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。

このように、視界に様々な物体が見える症状のことを「飛蚊症」といいます。

飛蚊症は、眼の内部を満たしている硝子体というゼリー状の物質に、何らかの物体が浮遊することで視野に影響が及ぶことが一般的です。

その他にも加齢で硝子体が縮小し網膜と解離することや眼の炎症により引き起こされることもあります。

今回は、飛蚊症の症状・危険な見え方・原因・治療方法・予防方法などを詳しくご紹介します。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

飛蚊症の症状と原因

目痛い

飛蚊症の特徴を教えてください。

飛蚊症とは、視界の中に小さな点・線・円などが見える症状のことです。
まず眼球の中には硝子体というゼリー状の物体があります。通常、光が目に入る際には角膜・水晶体・硝子体を順に通過し、網膜へと達します。この際に硝子体の内部に何らかの浮遊物が生じると、それが視界に現れてしまうのです。
このように、何らかの物体が視界に浮かんでいるように見えるのが飛蚊症です。
飛蚊症は病気とは関係なく起こることもあるため、経験したことがある方も多いかもしれません。

どのような症状がみられますか?

飛蚊症の主な症状は、先にも述べましたが視界に何らかの物体が浮かんでいるように見えることです。
この見え方は様々で、小さな点や粒が見えることもあれば、糸くずのような線状の物体が見えることもあります。
その他にも、虫のような物体が見えることや煙草の煙のように円状の物体が見えることもあります。
どちらにしても、まばたきをしたり目薬をさしたりしても消えることはありません。
これらは目を動かしてもついてくることがあり、消えたり現れたりを繰り返すことが一般的です。
飛蚊症が時折みられる程度であれば問題の無いことが多いですが、常にみられる場合や、急に増加してきた場合は網膜剥離の前駆症状や、目に炎症が起こっている症状である可能性もありますから、受診をお勧めします。

危険な見え方があると聞きましたが…。

飛蚊症の症状自体は、一般的にそこまで危険ではありません。しかし、以下のような症状がある場合には早めに眼科医の診察を受けることが重要です。

  • 視力が下がったように感じる
  • 目が赤くなり痛みがある
  • 光がまぶしく感じる
  • 視界が霧がかったように見える
  • 視界の一部一部が欠けたり歪んだりしている

目が赤くなり痛みがあるなどの症状の場合、強い炎症が考えられます。放置すれば視力が低下する恐れもあるため注意しましょう。
また、視界の一部が欠けたり歪んだりしている場合、網膜剥離を発症している可能性があります。早急に眼科医へ受診してください。

発症する原因を教えてください。

飛蚊症の原因は様々です。生まれつき硝子体に組織が浮遊していることもあります。
また、加齢によって硝子体が萎んでしまい、網膜と解離してしまうことがあります。
このような場合、もともと網膜と密着していた部分が視界に現れることがあるのです。
硝子体が網膜と解離することによって起こる飛蚊症の場合、40歳以上の中高年の方によくみられます。また、年齢に関係なく近視が強い方にも起こりやすいのも特徴です。
さらに、網膜の解離により引っ張られる力が強くなれば、網膜円孔や網膜裂孔という危険な状態が引き起こされることもあります。
この状態では網膜剥離のリスクが高まるため、早期に受診する必要があるでしょう。
その他にも、糖尿病や高血圧症などの基礎疾患による硝子体からの出血が原因で飛蚊症が現れることもあります。
さらに、細菌やウイルスにより眼の炎症が起きた場合にも、飛蚊症を感じることがあるでしょう。この場合、硝子体が濁り視界がかすんでしまうこともあります。

飛蚊症の治療

医師と患者

検査方法を教えてください。

飛蚊症の原因を調べるためには「眼底検査」を行う必要があります。眼底検査では、硝子体の状態や網膜の状態を確認し、詳しい原因を調べます。眼底検査は、瞳孔を散大するための点眼薬を用いて行われることが一般的です。
瞳孔を散大すると視界がぼやけてみえにくくなるため、自分で車を運転して受診することは控えるようにしてください。
また、炎症が原因と考えられる際には、眼底検査に加え、蛍光眼底造影検査・血液検査・レントゲン検査・CT検査などを行うこともあります。検査に時間を要することがあるため、時間に余裕を持って受診するのがおすすめです。

治療方法を教えてください。

飛蚊症の治療方法は、原因や症状の程度によって異なります。例えば、飛蚊症が生まれつきのものであれば、基本的に治療は行いません。
加齢による硝子体の縮小で網膜に負担がかかり、網膜裂孔や網膜円孔を起こしている場合には、手術の適用となるでしょう。
その他、糖尿病や高血圧症などの基礎疾患により硝子体出血を起こした場合には、基本的に吸収されるのを待つことが一般的です。吸収されることなく血が溜まってしまっているような場合には、レーザー治療や手術を行うこともあります。
さらに、細菌やウイルス感染による炎症の場合、炎症を抑えるためのステロイド点眼薬を使用します。炎症が強い場合には、免疫抑制剤を適用することもあるでしょう。早期に治療を開始しなかった場合、視力が低下したまま元に戻らなくなる可能性があるため注意してください。

市販の目薬は使用できますか?

一般的に、飛蚊症に対して市販の目薬は有効ではありません。飛蚊症は眼球表面に付着したゴミなどが原因で起こるわけではなく、硝子体の内に存在する何らかの物体が視界に映り込んでいるために生じる症状です。したがって、目薬で症状を改善することはできません。
ただし、目が疲れたり乾燥したりしている場合には、市販の目薬を使用することで症状を軽減できるでしょう。また、目の疲れを軽減するためには、適切な休息を取ることやパソコンやスマートフォンの使用時間を減らすことも有効です。
なお、市販の目薬を使用する場合でも、使用方法や用量は必ず守るようにしてください。また、症状がなかなか改善しなかったり悪化したりする場合には、眼科医の診察を受けることが重要です。

飛蚊症の予防方法

背伸び

飛蚊症は完治しますか?

飛蚊症は一時的に症状が軽減することがありますが、完治することはありません。症状が軽度であれば、治療を行わずに様子をみても問題ない場合がほとんどです。しかし、症状が重度で日常生活に支障をきたしたり視野に異常が生じたりする場合には、手術治療が必要となることもあるため注意しましょう。
ただし、飛蚊症が網膜剥離や網膜穿孔などの病気が原因で生じた場合には、原因の治療が適切に行われれば、症状が改善することがあります。飛蚊症の治療方法は、原因や症状の程度に応じて適切に選択されることが必要です。
いずれにしても、症状が長期間続く場合には、ストレスや不安感などの精神的な負担につながることがあります。飛蚊症の症状については、適切な診察や治療を受けることが重要です。

自然治癒するのでしょうか?

飛蚊症は、一般的に硝子体の内容物によって点や線などが見える病気です。そのため、基本的には自然治癒はしません。症状が軽度である場合には、時間が経つにつれて気にならなくなることもあるでしょう。
しかし、加齢による硝子体の変化により症状が起きている場合には、さらに網膜剥離を発症する恐れもあるため注意が必要です。また、飛蚊症の原因が感染症などの場合には、原因となる炎症を鎮めることで飛蚊症の症状がおさまります。
どちらにしても、飛蚊症の原因を調べ、適切な治療を受ける必要があります。自然治癒すると考えて放置するのではなく、早期に眼科医を受診することがおすすめです。

予防方法を教えてください。

飛蚊症は、主に年齢・基礎疾患・眼の疾患・怪我などによって生じることが多く、予防することは困難です。眼の負担を軽減することでリスク回避が期待できるでしょう。例えば、以下のような方法が有効です。

  • 規則正しい生活を送る
  • 長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用を避ける
  • 定期的な眼科検診を受ける

疲れ目やドライアイなどは眼に負担をかけてしまいます。そのため、眼を労わり、定期的な眼科検診を受けることが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

飛蚊症は生まれつき起こるものから眼の病気によって起こるものまで様々です。病気によるものでない場合には、気付くとなくなっていることがほとんどなので、あまり心配する必要はありません。
しかし、加齢や炎症に伴う飛蚊症の場合、治療が遅れれば視力が著しく低下してしまうこともあります。そのため、早期に原因を究明し、適切な治療を行う必要があるでしょう。

編集部まとめ

メガネ
視界にいくつかの粒や線状の物体が見える「飛蚊症」は、生まれつき硝子体に浮遊物があることが原因で引き起こされることもあります。

しかし、加齢により硝子体が網膜から解離してしまうことや炎症が原因の場合、視力が低下し、元に戻らなくなってしまうこともあるため注意が必要です。

飛蚊症と一言でいっても原因は様々なため、早期発見ができれば適切な治療により視力の低下や視野の欠損を防ぐことも可能です。
気になる症状があれば、眼科を受診しておくようにしましょう。

この記事の監修医師