「小脳出血」の前兆となる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
ひどい頭痛・めまい・ふらつきなどが頻繁に起こると、脳の病気ではないかと不安になる方もいるでしょう。
脳で起こる脳血管障害(脳卒中)には、脳出血・脳梗塞・くも膜下出血があります。
そして脳出血は出血の部位によってさらに分類されます。なかでも、小脳で起こる脳出血が小脳出血です。
こちらでは、小脳出血の原因・前兆・症状・治療方法などについて詳しくご紹介します。小脳出血について知りたい方はぜひチェックしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
小脳出血とは?
小脳出血とはどのような病気でしょうか?
脳出血は出血の部位によっていくつかに分類することができ、小脳出血はその中のひとつです。小脳出血は脳出血の中で頻度は低めなものの、死亡率が17~27%と高めなのが特徴です。
小脳で出血した場合、少量の出血でも症状が悪化しやすいとされています。
症状を教えてください。
一方で、小脳出血では頭痛・後頭部の痛み・めまい・嘔吐などの症状が現れるのが特徴です。
小脳は身体のバランスや平衡感覚などをつかさどる働きをしているため、小脳の機能が障害されるとふらつきやまっすぐ立っていられないといったことが起こりやすくなります。
発症する原因は何でしょうか?
そのほか、先天性の脳血管の異常がある方の場合は、高血圧などの症状がなくても脳出血が起こるケースもあるでしょう。また、心房細動や糖尿病といった持病がある方も、小脳出血が起こる危険があります。
症状は日中、運動中や入浴中などに起こることが多いのも特徴です。日本人の脳出血は、1970年代ごろと比べて近年では減少しつつあります。
昔は血圧を下げる降圧剤がなかったことや塩分の多い食事によって血圧が高くなりやすく、脳出血が起こりやすかったと考えられているのです。
小脳出血に前兆はありますか?
そのほか、物が二重に見える・まっすぐ歩けない・激しい頭痛などが起こった場合には、小脳出血を含む脳卒中の前触れの可能性があるため早めに医療機関を受診しましょう。
小脳出血の治療とリハビリ
小脳出血の治療方法を教えてください。
ただし、小脳の場合には比較的少量の出血でも手術に踏み切ることも多いです。出血は数週間で吸収されるため、降圧剤による血圧のコントロールを行い、止血剤や脳のむくみを抑える薬を使用するのが一般的です。
また、出血の部位や血腫の量によっては、外科的手術が行われることもあります。血腫を取り除く手術方法は、全身麻酔で行う開頭血腫除去術や内視鏡的血腫除去術などです。
入院期間はどのくらいでしょうか?
軽度の場合は数週間程度と比較的早く退院できると考えられますが、重度の場合には入院期間が長期に及ぶこともあります。
リハビリが必要な場合にはリハビリのできる病院に転院することになり、入院期間も長くなりがちでしょう。
生存率を教えてください。
脳出血全体の5年生存率は、約50~60%程度と考えられます。
どのようなリハビリを行うのでしょうか?
リハビリの内容は作業療法・理学療法・言語聴覚療法などが行われることが多く、症状に合わせて行っていきます。回復期に入ったら、歩行など日常的な動作ができるようになることを目標に行います。
リハビリは、小脳出血による後遺症を少なくするために有効です。基本的には入院中のみではなく退院してからも行われることが多いでしょう。
小脳出血の予後
小脳出血は完治するのでしょうか?
後遺症を少なくして完治した状態に近づけるには、なるべく早い段階でリハビリを開始することが大事です。
後遺症は残りますか?
小脳出血でもこのような後遺症がみられる可能性がありますが、症状・疾患の状態・年齢などによっても起こりやすい後遺症は変わってくるでしょう。なるべく早期に治療を受け、適切な時期に必要なリハビリを行うことで、機能回復を目指していきます。
小脳出血などの脳血管障害(脳卒中)にかかってしまうと、長期にわたってこのような後遺症に悩まされる可能性が高くなります。そのため、事前の予防を心掛けることが非常に大事です。
特に高血圧にならないようにすることが重要です。塩分の摂りすぎ・過度の飲酒・喫煙・ストレスなどに十分注意しましょう。
再発することもあるのでしょうか?
再出血を防ぐために薬が処方されているなら、しっかりと飲み続けることが大事です。ひとりひとりの病気の状態によっても再発を防ぐための注意点が変わってくるので、気を付けるべきことを医師に確認し、再発しないように心掛けましょう。
日ごろから塩分の摂りすぎに注意し、高血圧にならないように気を付けることも必要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
食事で摂取する塩分を控えめにし、規則正しい生活を心掛けましょう。ふらつき・頭痛・吐き気などいつもと違う異変を感じたら、早めに病院で診察を受けてください。
人によって症状・対処法・注意点なども違ってくるため、医師に相談をしてアドバイスをもらうことをおすすめします。
編集部まとめ
頭痛・めまい・ふらつき・吐き気などが突然起こり、明らかに普段と違うと感じたら脳血管障害(脳卒中)を疑う必要があります。
小脳出血は脳出血のひとつで、小脳で起こる出血です。死亡率は脳出血の中でも比較的高めです。
原因は多岐にわたりますが、大きな原因となるのが高血圧です。高血圧が続くことで脳の血管がもろくなり、脳内で出血が起こってしまいます。
重症の場合には後遺症が残ることもあり、最悪の場合寝たきりになったり、死に至ったりする危険もあります。
塩分の多い食事は高血圧につながるため、心当たりのある方は食生活を改善し、生活習慣・飲酒・喫煙などにも注意しましょう。
いつまでも健康的な生活を送るために、小脳出血の発症予防を心掛けてくださいね。
参考文献