「外陰がん」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
外陰がんは、女性の生殖器である外陰部に発生するがんです。症状には、外陰部の痛み・出血・痒み・腫れがあります。また、排尿や排便にも支障をきたします。ただし症状の全くない人もいる病気です。
この病気の原因ははっきりわかっていませんが、人口統計により、喫煙や過剰なアルコール摂取・過度の肥満・過剰な日光浴・不妊症治療・ホルモン補充療法などががん発生の原因となっている可能性が示唆されています。
女性特有の病気であり、50歳から60歳の女性が多く罹患することが知られている病気です。
今回はこの外陰がんについて、主な症状や発症の原因・診断方法について紹介します。治療後の生存率についても触れますので、ぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
外陰がんの症状と原因
外陰がんとはどんな病気ですか?
この病気は、子宮内膜癌、卵巣癌と同様に女性の生殖器に関連するがんの1つです。症状には痛みや出血、痒み、腫れがあります。また、排尿や排便にも支障をきたします。
しかし症状がない場合もあるため、病気を発見するためには自覚症状がなくても、定期的に婦人科で診察を受けることが重要です。
外陰がんになるとどんな症状が表れますか?
- 陰部の痛み
- 陰部の出血や排血
- 陰部の腫れ・痒み
- 排尿や排便の障害
- 陰部に形成された腫瘍
ただし症状がない場合もありますので、定期的な婦人科診察を受けることが重要です。具体的な事例として、50歳から60歳の女性が多く罹患します。
特に外陰部の出血は外陰がんの兆候の1つであり、がんの治療は早期発見が重要です。そのため、定期的な婦人科診察を受けることをおすすめします。
外陰がんになる原因を教えてください。
またHPVが外陰部の細胞に感染し、がんの発生に繋がることがあります。ほか、遺伝的要因で、家族にがん歴がある場合、外陰がんのリスクが高くなります。
外陰がんにはどんな人がなりやすいですか?
- 年齢が高い人。外陰がんは、女性が年を取るほどリスクが高くなる病気です。50歳以上の女性は、外陰がんのリスクが高いと考えられます。
- HPV感染がある人。HPVは外陰部の細胞に感染し、がんにつながることがあります。HPVワクチンを接種していない人や性行為をする人は、HPV感染のリスクが高いと考えられるでしょう。
- タバコやアルコールをよく飲む人。タバコやアルコールは、がんリスクを高めることが知られています。タバコやアルコールをよく飲む人は、外陰がんのリスクが高いと考えられます。
- 紫外線を浴びることが多い人。長期間日光浴をすることで、外陰部の細胞が傷つきやすくなり、がんになる可能性が高まります。例えば日光浴や旅行など、紫外線を浴びることが多い人は、外陰がんのリスクが高いと考えられます。
- 遺伝的要因がある人。家族にがん歴がある場合、外陰がんのリスクが高くなります。特に、母親や姉妹が外陰がんの経験がある場合は、リスクが高くなります。
ただし、これらの要因があっても必ずしも外陰がんになるとは限りません。また逆に、これらの要因がなくてもこの病気になることもあります。
外陰がんの診断・治療方法
外陰がんと診断するポイントを教えてください。
事例を紹介しましょう。50歳の女性が、下痢・腹部膨満感・排卵期の外陰部の痛みを訴えて受診しました。触診で子宮外膜に病変を発見し、病理学的に検査したところ、外陰がんであることが判明しました。
このように症状が複合的な場合も、医師が触診や病理学的な検査で原因を発見していきます。
どの診療科で相談すればいいですか?
婦人科医は、女性の生殖器に関する疾患を専門に扱っており、このがんについても適切な診断・治療を行うことができます。婦人科医では触診や病理学的検査を行い、外陰がんであることが確認された場合は治療方針を決定します。
治療方法は手術だけですか?
手術は、外陰部全摘除術・子宮部分摘除術・子宮全摘除術などが主な方法です。病変の大きさや進行度、患者の年齢や健康状態などを考慮し最適な手術を選択します。外陰がんと診断された時に病変が小さく、手術が可能な場合は外陰部全摘除術を行います。
しかし病変が大きく進行しており、手術だけでは治療が困難な場合は、放射線療法や化学療法を併用することも少なくありません。
外陰がんの治療についての注意点
外陰がんの治療についての注意点を教えてください。
放射線療法は、がん細胞を殺すために放射線を当てる治療のことです。外部放射線療法と内部放射線療法があり、外部放射線療法は外から放射線を当てる方法で、内部放射線療法は、放射線を挿入して内部から当てる方法です。
化学療法はがん細胞を殺すために、薬を服用することを指します。一般的には、複数の薬を併用して服用します。
注意点としては、手術はがんが広がっていない場合に限り可能です。ステージ1の外陰がんの場合、手術が最も一般的です。放射線療法や化学療法はがんが広がっている場合に有効ですが、治療中は副作用が出る場合があります。また治療後も再発のリスクがあるため、定期的なチェックアップが必要です。
ただし、治療の選択肢は、病状、年齢、健康状態などによって異なります。 病気に対する適切な治療を選ぶためには、医師に相談することが重要です。
外陰がんになった場合の生存率はどれくらいですか?
ステージ2の場合、5年間の生存率は約58.8%です。 手術によって癌を取り除くことができ、放射線療法や化学療法を受けることで、再発を防ぐことができます。
ステージ3・ステージ4の場合、5年間の生存率は約13~43%です。 これは癌が広がっているため、手術だけでは治療できないため、放射線療法や化学療法を受けることで症状を緩和できます。ただしこれらは統計的な数字であり、個々の患者の生存率は異なる可能性があります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
特に自覚症状がなくても、婦人科で定期的な検診を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
外陰がんは女性の生殖器に発生するがんです。
50代以上の女性に多く、出血や腫れなどの症状を伴う場合もあれば、全く自覚症状なくがんが進行する場合もあります。
がんの治療は早期発見によって、手術で完治することができ、再発の危険性も低くなります。
女性は定期的に婦人科検診を受け、がんの早期発見に努めましょう。
参考文献