ドラマで話題となった「若年発症型両側性感音難聴」の症状・診断基準はご存知ですか?
難聴はさまざまなことが要因となり発症します。たとえば、外傷やウイルス感染なども要因の1つになるでしょう。
またなかには未だ原因が明らかになっていないもので、次第に両耳の聴力が低下してしまう病気があります。それが、若年発症型両側性感音難聴です。
若年発症型両側性感音難聴は、原因だけでなく治療法も未だ解明されておらず、日本では難病指定されている病気の1つです。
今回は、その難病指定されている若年発症型両側性感音難聴の症状・原因・治療法そして治るのかについても詳しく解説をしていきます。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
若年発症型両側性感音難聴の症状と原因
若年発症型両側性感音難聴とはどのような病気でしょうか?
また人によってはめまいや耳鳴りを起こすこともあり、今までの生活を送っていくのが難しくなる場合もあります。そして発症する原因や治療法は未だ分かっていない部分が多いのが現状です。
また発症自体も非常にまれで、診断されるには耳鼻咽喉科による聴力検査、そしてその他にも遺伝子検査などさまざまな検査を行う必要があります。
症状を教えてください。
- 両耳の聴力の低下や難聴
- 聴覚異常
- 耳鳴りやめまい
症状は人それぞれです。たとえば聴力の低下では、音が聞こえにくくなるよう感じる人もいれば、音が遠くに聞こえるよう感じる人もいます。
そして聴覚異常とは、幻聴や聴覚ハウリングなどです。また症状の重軽度にも個人差があります。そのため軽度の場合は気付きにくいこともあるでしょう。また一般的に、症状は進行していく場合が多いといわれています。
初期症状はどのようなものがありますか?
初期症状は、出る症状もその症状の程度も人それぞれですが、一般的にはちょっとした聞こえの悪さや聴力の違和感から発症するといわれています。
そして、症状によっては早めの治療が必要な場合もあるでしょう。また人によっては進行の速度が早い場合もあります。
若年発症型両側性感音難聴の発症は非常にまれだといわれています。しかし、耳に違和感を感じた際やいつもより聞こえが悪いと感じた場合は早めに耳鼻咽喉科を受診をするなどの対応を心がけると良いでしょう。
発症する原因は何でしょうか?
また原因となる遺伝子はいくつか確認をされていますが、その他にも原因となる遺伝子がまだあるとも考えられています。そしてそれらの遺伝子は未だ見つかっていません。また原因となる遺伝子の違いで発症する年齢や症状に違いが出ることもあります。
その他にもどのようなメカニズムで発症するかなど明らかになっていない部分も多く、研究が今もなお進められているのが現状です。また原因となっている遺伝子の中には遺伝性を伴う場合もあるので、遺伝が原因で発症する可能性もあるでしょう。
若年発症型両側性感音難聴の診断と治療
若年発症型両側性感音難聴の診断基準を教えてください。
- 発症が40歳未満という若年であること。
- 両耳に難聴の症状が出ている。
- 遺伝子検査の結果、原因といわれる遺伝子の変異が見つかること。
- 耳の中に外傷などの異常がないこと。
若年発症型両側性感音難聴の診断を受けるには、聴力が徐々に低下していくことを確認しなければなりません。そのため聴力検査を定期的に行いながら、進行の状況を確認していき、診断をしていくという形になります。
また、難聴はさまざまなことが要因となり起こります。そのためまずは、耳の中に異常がないか、ウイルスによる感染はないかなどさまざまな外的要因を除外するための検査を行う必要も場合によってはあるでしょう。
治療方法を教えてください。
また、症状の進行状況や必要に応じて副腎皮質ステロイド・血管拡張薬・ビタミン製剤などの薬物が使われることもあります。しかし薬物投与に関しては、若年発症型両側性感音難聴の症状への効果が明確にでるのかどうかは分かっていません。
症状の進行速度を教えてください。
なかには急速に難聴が進行してしまうような方もいるでしょう。また、難聴が進むと日常生活に支障をきたす場合もあります。
難聴や耳の違和感は、時にめまいや耳鳴りを発症させます。そしてそれらが遠因でうつなどになり精神を病んでしまう可能性もあるでしょう。そのため症状の進行速度によっては早期治療を必要とする場合もあります。
若年発症型両側性感音難聴は治る?
若年発症型両側性感音難聴は治りますか?
若年発症型両側性感音難聴は、人によっては急速に進行してしまいます。そのため進行が進む前に聴力を補うなどの適切な治療を行うことで生活を向上させることは必要でしょう。
人工内耳は必要でしょうか?
人工内耳とは、音を電気信号に変換し、耳に送り込むことで聴力を補うことを可能にする装置です。人工内耳が必要かどうかは、若年発症型両側性感音難聴の症状の程度や状況にもよります。
また、人工内耳をつけるには手術が必要となります。そのため、手術費はもちろんのこと、手術後のリハビリや治療、そしてどのような手術でもともなうリスクについても考えなければなりません。
人工内耳の治療を薦められた場合は、担当医とよく相談をし判断をすると良いでしょう。
遺伝するのでしょうか?
しかし両親ともに難聴であったとしても、子どもは難聴にならないケースもあります。逆に両親が難聴でないのにも関わらず、子どもが若年発症型両側性感音難聴の症状を発症してしまうこともあるでしょう。
また若年発症型両側性感音難聴の発症を防ぐことは現在の医学ではできません。しかし親が若年発症型両側性感音難聴の場合は、子どもの遺伝子を検査することで発症の可能性があるかどうかを調べることはできます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また、難聴の原因はさまざまです。なかには、早期治療を行う必要があるものもあるでしょう。そのため耳に違和感を感じた場合はためらわずになるべく早く耳鼻咽喉科を受診することを心がけるようにしましょう。
編集部まとめ
難聴はさまざまなことが要因となり起こる体の不調です。たとえばストレスなどの環境要因も難聴の原因となることもあります。つまり原因は人それぞれということです。
そしてなかには、難聴の原因が若年発症型両側性感音難聴と診断される方もいるでしょう。
若年発症型両側性感音難聴は未だ分かっていない部分が多い難病ですが、早期発見することで適切な治療を受けることも可能です。
また今後医学の発展により、明らかになる部分も増えていくでしょう。
難聴や耳の違和感は少なからず日常生活に支障をきたします。時にはめまいや耳鳴りなどにより精神的につらくなりうつを発症してしまうこともあります。
そのため日常生活が今までのように送れるようにするためにも、自分の体は自分で管理し、異常を感じた場合はなるべく早めに病院に行くなどの対処をすることが大切でしょう。