「低体温症」の症状・対処法・放置するとどうなるかご存知ですか?医師が監修!
低体温症は寒冷の環境化で発症します。深部体温が低下し、身体機能に様々な支障が生じる病気になります。
悪化すると心肺停止などが起こることから、非常に危険性が高いです。そのため、発症を防ぐことや、初期の段階で体温を回復させることが重要です。
本記事では、低体温症の基礎知識に加え、予防方法や発症した時の対処方法などを紹介します。
低体温症は誰にでも発症する可能性があります。必要な知識を身につけ、いざという時に適切な対応ができるようにしておきましょう。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
低体温症の症状
低体温症とはどんな病気ですか。
深部体温が35〜32℃で軽度・32〜28℃で中等度・28℃以下で高度の低体温症と診断されます。偶発的な事故や事態の状況下で発症した低体温症は、偶発性低体温症とも呼ばれます。
低体温症の症状はなんですか。
また、末梢血管が収縮し、血液が手足などの末端に運ばれにくくなります。それによって指先が動かしにくくなったり、うまくしゃべれなくなったりします。さらに症状が進行すると、意識の低下が生じるでしょう。反応が鈍くなっていき、高度低体温症になると昏睡に陥ることもあります。
また、一度体温が低下すると代謝機能が働かなくなるため、自力で体温を上げることが困難です。それにより、急激に体温が低下するといった症状もみられます。治療で低体温が解消されても、合併症が起こる可能性があります。例えば、不整脈・心不全・血栓症などです。合併症によって命を落とすこともあり得るでしょう。
低体温が起こりやすいのはどんな場面ですか。
運動中でも発症することがあります。そのため、スキーなどの冬季のレジャーでは注意が必要です。日常生活の中で発症する場合もあるでしょう。寒冷の環境であれば、室内であっても発症します。特に飲酒や睡眠薬の服用をしている状況下で起こりやすいです。
さらに、高齢者や乳幼児は体温調節がうまくできないため、発症する確率が高いでしょう。疾患が低体温の誘因となる場合もあるので、持病がある方も注意が必要です。
低体温症を放置するとどうなりますか。
身体の体温を上げるための機能が停止するため、外部から対策を行わなければ体温は自然に低下していきます。体温が28℃以下になると高度低体温症になり、24℃より低下すると心肺停止などの重篤な症状がみられます。
低体温症の診断方法と対処方法
低体温症はどうやって診断されますか。
低体温症になった時の対処方法を知りたいです。
1つ目は、空気中の温度を上げる方法です。室内で行える対処方法で、暖房器具を利用することで室温を高めます。
。2つ目は、熱源となるものを身体に直接当てて温める方法です。電気毛布や温水などを利用します。また、水難によって発症した場合、濡れた服はすぐに脱がせるようにしましょう。濡れた衣類は体温を奪うため、温めても体温の上昇が起こらない可能性が高いです。
身体を温める時の注意点はありますか。
直接温める方法では、熱源を当てられた末梢血管が温められます。その際に冷えた血液が深部に流れ込み、深部体温が下がってしまうこともあるでしょう。その際に、心室細動が引き起こされるリスクがあります。防ぐためには内部から温めることが必要なので、重症である場合は病院で処置を受けるようにしましょう。
低体温症の予防方法
レジャー・スポーツ時の対策を教えてください。
寒さを感じていなくても上着を着るなどの防寒対策や、定期的に温かい部屋に入るといった行動は欠かさないようにしましょう。また、体調が万全ではないことが発症のリスクを高めます。レジャー・スポーツを行う前には睡眠をしっかり取り、体調を整えて臨むようにしましょう。
日頃からできる低体温の予防方法はありますか。
住居は温かい環境にすることを意識しましょう。家族や知り合いに定期的に訪れてもらうことも有効です。また、低体温症は他の疾患をもっていることによっても発症しやすくなります。持病がある方はそのことを知っておき、積極的に予防することが大切です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
対処ができる環境化であるならば、症状がみられたらすぐに身体を温めましょう。しかし、対処をすることが難しい場合や、気づいたら病状が悪化していたこともあり得ます。このことから、低体温症は予防が大切な病気であるといえます。
特に高齢者の方や、持病がある方は注意が必要です。日頃から低体温症のリスクを考え、予防を積極的に行いましょう。家族や周辺の方に発症のリスクが高い方がいるならば、発症した際に対処ができるように気を配ってあげてください。
編集部まとめ
低体温症は深部体温が低下することで発症します。深部体温が35℃以下になることが、低体温症の特徴です。
症状として、シバリング・末梢血管の収縮・意識の低下などが挙げられます。体温が低下するほど悪化し、病状が進展すると心肺停止が引き起こされるでしょう。
一度発症すると、対処をしない限り病状はすぐに進行します。そのため、軽症のうちに適切な対処方法を行うようにしてください。
また、予防をすることも大切です。室内や春・秋といった季節でも発症することがあるため、特に高齢者などの発症のリスクが高い方は積極的に予防に取り組むようにしましょう。
低体温症は命を落とす危険がある恐ろしい病気ですが、対策を講じることで命を守ることが可能です。正しい知識を身につけ、発症や悪化のリスクを回避できるようにしてください。