「湿疹(皮膚炎)」の原因・薬の選び方や注意点はご存知ですか?医師が監修!
湿疹(皮膚炎)は皮膚トラブルの中でも特に身近な病気であり、日常生活を送る上で1度は経験したことのある方が多いのではないでしょうか。
湿疹(皮膚炎)といってもあらわれる症状には個人差があります。最初はかゆみ程度であったとしても、適切な治療をしないと悪化する可能性が大きく、注意が必要です。
皮膚の炎症状態によって重症度や治療法も異なりますので、湿疹(皮膚炎)ができるとどうなるのか?原因・症状・治療法・予防法について詳しく紹介していきます。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
湿疹(皮膚炎)の原因と症状
湿疹(皮膚炎)はどんな病気ですか?
湿疹(皮膚炎)にもアトピー性皮膚炎・接触皮膚炎(かぶれ)・乳児湿疹・じんましん・薬湿(薬が原因で湿疹が現れる)などの多くの種類があり、虫やダニなどに刺されたり噛まれたりすることで湿疹(皮膚炎)が出る場合もあります。
湿疹(皮膚炎)を引き起こす原因はなんですか?
これらは皮膚に対して外側から刺激が加わることにより炎症反応を引き起こし、症状があらわれます。湿疹(皮膚炎)を引き起こす内的要因としては、皮膚のバリア機能の低下・遺伝的な要因・ストレスや飲酒などの生活習慣によるものなどです。
皮膚には本来バリア機能というものが備わっており、皮膚の水分を保ったり外からの異物が体内に入るのを防いだりする防御の役割を担っています。皮膚の角質の異常・表皮の異常などで皮膚のバリア機能が正常に働かなくなってしまうと防御する力が低下し、少しの刺激でも湿疹(皮膚炎)を引き起こすようになるのです。
湿疹(皮膚炎)はどのような症状があらわれますか?
これらの症状はアトピー性皮膚炎の診断基準にもなっており、多くの方にあらわれる症状です。湿疹(皮膚炎)は症状がみられている範囲・皮膚の炎症状態の重症度の双方を総合的に判断します。
必要がある症状があらわれた際にはなるべく早く治療を開始し、軽症のうちに治して悪化させないことが重要となります。
湿疹(皮膚炎)はどれくらいの期間で治りますか?
湿疹(皮膚炎)の原因や皮膚の炎症状態・重症度によっても治るまでの期間は異なりますので、治癒の目安は皮膚科の医師に確認するようにしてください。
また、市販薬を使用する場合は経過観察をしっかりとおこない、数日経過しても改善が見られない時や、かゆみや赤みなどの症状が強い時にはなるべく早めに皮膚科へ受診するようにしましょう。
湿疹(皮膚炎)の治療法
湿疹(皮膚炎)は市販薬での治療はできますか?
湿疹(皮膚炎)の治療にはステロイドや抗ヒスタミン・抗アレルギーなどの成分が入った薬を使用するため、これらが配合されている市販薬を使用することで皮膚の症状が改善されるでしょう。
しかし、皮膚の状態を観察して適切な市販薬を選ぶことは難しいですし、間違った市販薬を使用してしまうと症状が悪化する可能性もあります。市販薬を使用しても改善がみられない・症状が重い・原因がはっきりと分からない場合は医師の診察が必要になりますので、なるべく早く、軽症の段階で皮膚科に受診するようにしてください。
湿疹(皮膚炎)にはどんな治療が効果的ですか?
ステロイドは細胞の中に入り込み炎症に関係している遺伝子を調節する働きがあるといわれているため、皮膚の炎症を鎮めるのに効果的です。アトピー性皮膚炎などかゆみの症状が強く出る場合は、かゆみや炎症を抑える抗ヒスタミン・抗アレルギー作用のある内服薬が処方されます。
薬物療法と同時にすすめていくのが、皮膚のバリア機能の正常化と原因物質の除去です。低下している皮膚のバリア機能を上げるために皮膚を清潔に保つ・スキンケアを欠かさずおこなう・食事や睡眠のバランスを整えるなど、毎日の生活習慣を規則正しくすることで治療の効果を高めます。
また、湿疹(皮膚炎)を引き起こす原因がはっきりと分かっている場合は原因となるものになるべく触れないようにしたり、他のもので代用したりして避けるようにしましょう。原因物質を除去することで症状の改善につながり、再発防止にもなります。
湿疹(皮膚炎)が治療薬で治らない場合はどうすればよいですか?
湿疹(皮膚炎)を引き起こしている原因や、皮膚の炎症状態により治療も変化していきますので、医師とよく相談して根気よく治療を続けていきましょう。
湿疹(皮膚炎)の薬の選び方と注意点を教えてください。
ステロイドの副作用として皮膚の萎縮・多毛・ニキビ・毛細血管拡張・アレルギー性接触皮膚炎(ステロイドに対してアレルギー反応が起こる)・易感染性(免疫が抑えられることで細菌やウイルスに感染しやすくなる)などがみられます。
副作用があらわれるかどうかは個人差があるため、気になる症状がある場合は医師に相談してください。また、ステロイド外用薬で症状が改善された場合でも、自己判断で薬をやめることは避けましょう。
皮膚の表面上は治ったようにみえても皮膚の内側に炎症が残っている場合もあり、薬をやめると症状がぶり返す可能性も高くなります。皮膚の炎症が軽度の場合はステロイドが含まれていない薬で改善されることも多いので、非ステロイド系消炎外用薬などを使用するのも選択肢の1つです。
湿疹(皮膚炎)の予防
湿疹(皮膚炎)を放置するとどうなりますか?
しかし、皮膚が炎症を起こしている原因には様々な要因が考えられるため、改善されない場合や皮膚の症状が悪化している場合は早めに治療をおこなうようにしましょう。
湿疹(皮膚炎)を予防するにはどうすればよいですか?
このバリア機能が低下すると刺激を受けたり炎症が起きやすい状態になってしまうため、スキンケアで皮膚のバリア機能を高めることが大切です。皮膚を清潔に保ったり、クリームなどで保湿したりしましょう。
また、刺激になるものやアレルギー物質など、湿疹(皮膚炎)の原因がはっきりと分かっている場合には原因物質を避けることで症状の改善や再発予防にもつながります。代用品を使用するなど生活の工夫をし、原因物質をなるべく避けるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
皮膚の炎症を落ち着かせるためステロイド外用薬による治療が一般的ですが、副作用もあるため使い方に気をつけましょう。
皮膚の炎症をきちんと治療しないと症状が改善されてもすぐにぶり返したり、強い薬を使わなければいけなかったり、治るまでの期間が長くなってしまったりするので注意が必要です。皮膚の炎症状態やあらわれている症状によって治療薬も異なりますので、少しでも不安や疑問な点がある場合は医師とよく相談してください。
編集部まとめ
今回の記事では湿疹(皮膚炎)ができるとどうなるのか?湿疹(皮膚炎)の原因・症状・治療法・予防法についてまとめてお伝えしました。
湿疹(皮膚炎)は悪化して重症化すると治りにくくなってしまう可能性があるため、皮膚の炎症状態に合わせた適切な治療が必要になります。
市販薬でも症状を改善できますが、改善がみられない・症状が悪化している・湿疹(皮膚炎)の原因が不明な場合はなるべく早めに皮膚科を受診するようにしてください。