「高血圧(高血圧症)」の基準・症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
4000万人以上の日本人が治療をしているといわれている「高血圧症」について解説します。
高血圧症は、塩分の摂りすぎ・肥満・喫煙などの生活習慣が原因となって引き起こされる「生活習慣病」のひとつです。
自覚できる症状がないため気付かないうちに動脈硬化が進み、脳血管障害などのリスクが高くなってしまうこともあります。
放置すれば命の危険にも繋がる危険な病気ですので、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
高血圧(高血圧症)とは?
高血圧(高血圧症)とはどのような病気でしょうか?
しかし、高血圧症では血圧が常に高い状態となります。この状態が続くことで動脈硬化が進み、将来的な脳卒中のリスクへと繋がることもある、注意が必要な病気です。
塩分の摂りすぎ・肥満・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が原因となります。味の濃い物が好きな人や運動不足の人は特に注意が必要です。基本的に自覚できる症状はないため、定期的な健康診断が早期発見に繋がります。
高血圧(高血圧症)の基準を教えてください。
血圧について「上」や「下」といういい方を耳にしたことがある人は多いでしょう。この「上」といわれているのが「収縮期血圧(最高血圧)」のことを指します。一方、「下」といわれているのが「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。
まず、心臓がドキドキする様子をイメージしてみてください。心臓がドキドキして動くときには、小さくなったり大きくなったりをくり返していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。心臓は小さくなる、つまりギュッと収縮するときに血液を送り出しています。そして血液を送り出していないときには拡張します。このように血管の中を血液が通るときに、通常よりも強い圧力がかかっているのが高血圧という状態です。
どのような症状がみられますか?
自覚症状が現れないため、気付かないうちに動脈硬化が進み血管の弾力が失われていきます。血管の弾力が失われれば、血圧はさらに上昇し、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や脳の血管が破れる「脳出血」を起こすこともあります。また、高血圧により心臓に負担がかかることで心肥大を起こし、心不全に繋がるリスクにも注意が必要です。
高血圧症は、自覚症状が現れないまま身体が危険な状態に陥ってしまうことから「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。そのため、定期的な検査がとても重要です。
原因は何でしょうか?
高血圧症と診断される人のほとんどが本態性高血圧です。本態性血圧は原因が明らかではないもののことを指し、生活習慣や遺伝などが関係しているといわれています。いわゆる「生活習慣病」のひとつです。
以下は、本態性高血圧症の主な原因です。
- 塩分の多い食事
- 加齢
- 肥満
- 運動不足
- 睡眠不足
- ストレス
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 遺伝
一方、二次性高血圧症とは、何らかの病気を患っていることが原因で高血圧を引き起こしている場合を指します。腎臓の疾患や内分泌異常などが原因となります。
遺伝するのでしょうか?
高血圧(高血圧症)の診断と治療
初期症状はどのようなものがありますか?
その他にも、自宅で毎日血圧測定を行うことが病気の早期発見に繋がります。
さまざまな病気を引き起こすと聞きましたが…。
その他にも、心臓の筋肉に血液を供給する血管が狭くなることで酸素供給が阻害され、胸の痛みや息苦しさを感じる狭心症が挙げられます。狭心症は、進行すると突然死の原因ともなる心筋梗塞に移行しやすい恐ろしい病気です。
どちらにしても最悪の場合は命に関わる危険が考えられるため、高血圧の治療は早めに始める必要があります。
診断基準を教えてください。
また、高血圧症は血圧の数値によってⅠ度~Ⅲ度の3段階に分類されます。診察室血圧と家庭血圧では基準値が異なりますのでご注意ください。
- Ⅰ度高血圧
診察室血圧(mmHg):収縮期血圧140-159かつ/または拡張期血圧90-99
家庭血圧(mmHg):収縮期血圧135-144かつ/または拡張期血圧85-89 - Ⅱ度高血圧
診察室血圧(mmHg):収縮期血圧160-179かつ/または拡張期血圧100-109
家庭血圧(mmHg):収縮期血圧145-159かつ/または拡張期血圧90-99 - Ⅲ度高血圧
診察室血圧(mmHg):収縮期血圧180以上かつ/または拡張期血圧110以上
家庭血圧(mmHg):収縮期血圧160以上かつ/または拡張期血圧100以上
治療方法はどのようなものがありますか?
また、ストレスも高血圧の原因となります。そのため、適度なストレス発散や積極的に休息を行うことが重要です。
生活習慣の改善をしても血圧が高い場合には、血圧を下げるためのお薬を内服します。
高血圧(高血圧症)の薬について教えてください。
現在はカルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、利尿薬、直接的レニン阻害薬、α遮断薬、β遮断薬、αβ遮断薬など様々な降圧剤がありますが、患者さんそれぞれの基礎疾患・合併症の有無や身体の状態などに合わせてお薬を処方します。また最近はこれら薬剤の配合錠ですぐれた降圧効果がある薬剤の使用が可能となっています。
またご高齢な方などでは一度に血圧を下げるのではなく、徐々に血圧が下がるように行っていくことがあります。初めのうちはなかなか数値が変わらないと感じることもあるでしょう。しかし、効果が出ないからといって自分の判断でお薬を中止することは避けるようにしてください。薬物治療と生活習慣の改善により、徐々に血圧が正常値まで下がっていきます。
高血圧(高血圧症)の改善のための生活習慣
改善のために生活習慣で意識することはありますか?
ポイントは毎日続けることです。運動を毎日続けることで血圧を下げるホルモンの増加・血圧を上げるホルモンの減少・肥満の改善などが期待できます。運動の強度としては、少し脈が速くなる早歩き程度のウォーキングがおすすめです。
その他にも、お酒を控える・禁煙・ストレスの発散などを心がけるようにしましょう。
食事で注意することはありますか?
その他には、野菜や果物に含まれるカリウムや乳製品に含まれるカルシウムを摂取することも大切です。カリウムは塩分を身体の外に尿として排出してくれる働きが期待できます。ただし、腎臓に病気がある人は主治医に相談しましょう。
また、カルシウムは血圧を安定させる効果が期待できるともいわれています。そのため、積極的に食事に取り入れるようにしてみてください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
血管障害は命の危険に関わることが多い病気ですので、早めに治療を開始することが重要です。また、高血圧症は生活習慣を改善することで血圧の数値の改善が期待できます。日頃から減塩や適度な運動を心がけるようにしましょう。
編集部まとめ
自覚症状がないことからサイレントキラーとも呼ばれている高血圧症についての質問にお答えしました。
高血圧症は、遺伝に加え日々の生活習慣が原因となり引き起こされる生活習慣病のひとつです。
塩分の過剰摂取・運動不足・過度な飲酒などに心当たりがある人は、早めに病院で検査を受けるのがおすすめです。
また、その他に過度なストレスが原因となることもあります。できるだけこまめにストレスを発散し、身体への負担を減らすように心がけましょう。
参考文献