「心身症」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?
精神的なストレスが原因で身体的な不調が生じる「心身症」とはどのような病気なのか、気になる質問にお答えします。
全身に多種多様な症状が現れる心身症は、ときに日常生活に支障をきたす恐れもある病気です。
代表的な疾患としては、胃潰瘍・過敏性腸症候群・気管支喘息・アトピー性皮膚炎・メニエール病などが挙げられます。
日々のストレスが原因となり、つらい症状に悩まされる人も少なくありません。また、人によってはストレスに気付かずに過ごしていることもあります。
「最近、体調が優れないな…」とお悩みの人は、是非参考にしてみてください。
監修医師:
伊藤 直(医師)
著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法
心身症とはなに?
心身症とはどのような病気なのでしょうか?
分かりやすい例がストレスによる胃潰瘍です。また、器質的な異常が見当たらずに腹痛・便秘・下痢などの症状が現れる過敏性腸症候群も代表的な心身症のひとつです。
心身症にみられる症状は何でしょうか?
- 呼吸器系疾患:気管支喘息・過換気症候群
- 消化器系:消化性潰瘍・機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群
- 神経系疾患::偏頭痛・自律神経失調症
- 皮膚系疾患:アトピー性皮膚炎・慢性蕁麻疹・円形脱毛症
- 耳鼻科系疾患:メニエール病・耳鳴り
- 婦人科系疾患:月経異常・更年期障害
思い当たるような精神的なストレスが見当たらない場合でも、気付かないうちにストレスを溜め込んでいる可能性があります。身体の不調が続いている場合には、早めの受診するように心がけましょう。
心身症になりやすい人の特徴などはありますか?
ストレス耐性が高いのではなく、ストレスを認識することができていない可能性があります。この場合、働きすぎて過労死するような危険もあります。また、ストレスに対処するのが苦手な人は過食・拒食などをくり返す摂食障害などを引き起こすこともあるため注意が必要です。
心身症とうつ病など精神疾患を伴う身体症状はどのように違うのでしょう?
つまり、うつ病は心の病気であり、心身症は心の不調が引き起こす身体の病気です。うつ病でも心身症同様に倦怠感・不眠・食欲減退などの身体症状が現れることがあります。しかし、これらは身体が障害されることにより起こるわけではなく、うつ病により脳の働きに不調が出るために引き起こされるのです。
心身症を疑う場合の対処法と受診目安
心身症を疑う場合、どのように対処したら良いですか?
心身症には、自分の感情を抑圧して無意識に他人に合わせてしまうような性格が関連していることも多いです。医師の診察に加えて、臨床心理士のカウンセリングを行いながらストレスへの対処方法を一緒に身につけていきましょう。
病院を受診する場合、どのような症状が出た時点で受診すべきですか?
症状の出方は様々ですので、なんとなく身体がだるいという症状でも日常的に苦痛を感じているのであれば病院へ相談しましょう。
受診する際は何科を受診するのが良いのでしょうか?
また、ストレスを自覚しないまま身体的な不調が続くこともあります。思い当たる精神的な要因がない場合でも、身体的な不調に悩んでいる場合には我慢せずに受診するようにしましょう。
心身症を放置した場合のリスクなどあれば教えて下さい。
例えば、過敏性腸症候群の場合は腹痛や下痢が数か月にわたって続くことがあります。腸に器質的な異常がみられないとはいえ、長期的に腹痛や下痢が続くようであれば日常生活に支障が出ることになるでしょう。腹痛や下痢が続けば食欲減退や体重減少が引き起こされることもあります。
また、身体症状の悪化は精神的なストレスを増大することにも繋がります。そうするとさらに身体症状が悪化し、身体的にも精神的にも辛い状況が引き起こされる可能性があるので放置することは避けましょう。
心身症の診断や治療方法
心身症の診断はどのように行うのでしょうか?
具体的な内容は、主な症状・発症時期・思い当たる発症要因・どのようなときに症状が悪化するか・どのようなときに症状が楽になるかなどです。わかる範囲で書き留めておくと診察時に役立ちます。また、症状の経過だけでなく生活習慣・行動パターン・ライフイベント・学業や職業・家族歴・生育歴が疾患に影響を与えている可能性もあります。
それらに加え、血液検査・尿検査・心電図などの身体検査により他の病気との鑑別も必要です。症状に応じて、CTや消化管内視鏡検査を行うこともあります。
心身症に治療方法はありますか?
心理療法では、心の状態を整理することからスタートです。患者さん自らが心の中に抑圧された感情や心の動きを認識できるようにサポートしていきます。心身の不調の原因となるような行動・思考・生活習慣などがあれば、改善できるように一緒に対処法を考えていきましょう。
心身症を発症した際の過ごし方、気をつけることがあれば教えて下さい。
心身症は継続的な治療が必要なのでしょうか?
しかし、もともとの行動や思考のパターンが改善されていない場合には再び体調を崩す可能性が高いです。また、人によってはストレスから身を守るための心の反応が乏しいケースや、ストレスを自分自身で自覚できないケースもあります。
知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまうこともあるため、心理療法を行いながら継続的に付き合っていく必要があります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのため、自分の心と身体を理解することが非常に重要です。医師や臨床心理士などがサポートしますので、ひとりで抱え込まずに心療内科を受診してみてください。
編集部まとめ
精神的なストレスから身体にも症状が現れる心身症について解説しました。心身症は、心のストレスから胃腸症状・皮膚症状・めまいなどのつらい症状が現れる病気です。
長期的に付き合っていく必要がある病気ですが、ストレスに対する対処や生活習慣の改善により症状は回復していきます。
思い当たる原因がない場合でも、知らず知らずのうちに身体がストレスの影響を受けている可能性もあります。
身体に何かしら不調を感じている場合には、早めに専門機関を受診するようにしましょう。