「結膜炎」になると現れる症状はご存知ですか?医師が解説!
皆さん一度は耳にしたことがある「結膜炎」、目に関する病気の中でも件数が多い病気の一つです。
そのため、結膜炎は軽い病気と軽視されやすいです。しかし、治療が不十分な場合は再発のリスクや結膜炎の感染を広げてしまう可能性があります。
結膜炎は適切な治療を必要とする病気です。
この記事では結膜炎の種類・症状・原因・治療方法などについて解説しています。また予防方法や注意点など、普段の生活で気をつけることをお伝えします。
結膜炎は軽い病気と思わずに、正しい知識を身につけて対峙しましょう。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
結膜炎の原因や症状
結膜炎とはどのような病気ですか?
結膜は外界に触れることが多いため異物が溜まりやすく細菌やウイルスが繁殖しやすい場所です。結膜炎はこの半透明の膜で覆われた結膜に細菌やウイルスが侵入して炎症を起こすことで発症します。子ども〜高齢者まで様々な年齢層で発症する目の病気です。
結膜炎の種類にはどのようなものがありますか?
- 細菌性結膜炎
- ウイルス性結膜炎
- アレルギー性結膜炎
結膜炎は3種類あります。ウイルス性結膜炎は流行性角結膜炎(はやり目)・咽頭結膜炎(プール熱)・急性出血性結膜炎、アレルギー性結膜炎は通年性と季節性に分類されます。
結膜炎にはどのような症状がありますか?
- 充血(目が赤くなる)
- 目やに
- 涙の増加
- 目のコロコロした感じ(目に異物が入っている感じ)
- 目の痛み
- 目の腫れ
- 目の痒み
結膜炎の種類に応じた特徴を解説します。細菌性結膜炎は、粘りのある目やにや充血が出現し、目以外の症状が出ることはありません。症状の出現は片目から発症し、進行に伴って両目に出現してくることもあります。
ウイルス性結膜炎は大量の目やにや充血が出現します。片目からの発症でも数日で両目に症状が出現してくることもあるため注意をしましょう。
また咽頭結膜炎ではのどの痛み・発熱・倦怠感など目以外の症状が出現することもあるため注意が必要です。アレルギー性結膜炎は目やまぶたの強い痒みが特徴として挙げられます。
また鼻水や倦怠感などの全身症状も伴うことがあります。アレルギー性では1年を通じて症状が出現したり、季節に合わせて症状が出現することが多いです。
結膜炎の原因を教えてください。
黄色ブドウ球菌は人の鼻や皮膚など様々な部位に付着して常に存在しています。感染力が弱いため感染のリスクは低いのですが、免疫力が低下していたり、目が傷ついていたりしているときなどに感染しやすくなります。
ウイルス性結膜炎はアデノウイルスやエンテロウイルスなどのウイルス感染が主な原因です。アレルギー性結膜炎は通年性と季節性により原因が分かれます。
通年性ではダニ・カビ・ハウスダスト・動物の毛など季節に関係なく発症し、季節性では花粉が原因で発症するため飛散する時期に症状が出現します。
結膜炎の診断方法や治療
受診の目安を教えてください。
- 目の痛みがある
- 充血や目やにの程度が強い
- 周囲で結膜炎が流行っている
- 結膜炎を繰り返す
上記のような症状が出現した場合には早急な受診をお勧めします。
結膜炎はどのように診断されますか?
どのような検査が行われますか?
結膜炎の治療方法は?
細菌性結膜炎は抗生物質と抗炎症作用のある目薬を使用することで、数日で治ることが多いです。
ウイルス性結膜炎に関してはウイルスが原因であるため有効な治療方法はありません。しかし、弱った目の二次感染を予防するために、抗生物質と抗炎症作用のある目薬を使用することがあります。基本的には体を休めて免疫力を高めることが治療の第一優先です。
また治癒期間の目安は流行性角結膜炎(はやり目)で2〜3週間・咽頭結膜炎(プール熱)で2週間・急性出血性結膜炎で10日程度となります。目安となりますので症状が長引く場合や治癒が遅い場合は眼科の受診が必要です。
アレルギー性結膜炎は抗アレルギー作用のある目薬を使用します。症状が強い時期にはステロイドが入った目薬が必要です。ステロイド入り目薬は使用方法によっては副作用により視神経に障害が出る恐れがあります。使用方法は眼科医の指示に従いましょう。
目薬使用時の注意点があります。目薬の使用前後は必ず手洗いをしましょう。また薬剤が目の表面にしっかり作用するために使用後はパチパチと瞬きをせず、軽く目を閉じて待つようにします。
市販の目薬でも治療できますか?
市販では「抗菌目薬」と記載されていることが多いです。抗菌目薬は抗菌作用や抗炎症作用があるため、細菌性結膜炎はもちろんのこと、ウイルス性結膜炎の二次感染予防にも効果を認めます。
アレルギー性結膜炎以外の結膜炎においては抗菌目薬が第一選択となります。アレルギー性結膜炎には抗アレルギー作用の目薬を使用しましょう。
市販では「アレルギー専用目薬」と記載されていることが多いです。アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑制する効果があります。2〜3日使用しても症状が改善しない場合は眼科受診を検討してください。市販の目薬に比べ、眼科で医師に処方してもらう目薬の方が治癒も早まります。
結膜炎の予防方法や注意点
結膜炎を予防する方法はありますか?
- 手洗いをする
- むやみに目を触らない
上記が2大原則です。具体的には結膜炎の種類により予防方法が異なります。細菌性結膜炎の主な感染経路は細菌感染です。免疫力が低下することにより、目に菌が感染しやすくなります。そのため、免疫力を高める必要があります。免疫力を高めるためのジョギングやウォーキングなどの適度な運動や、体をしっかり休めることで免疫力の低下を防ぐことも大切です。
ウイルス性結膜炎の主な感染経路は接触感染となります。ウイルスがドアノブやパソコンなどに付着して、触れた人が目を擦ったりすることで感染します。むやみに目を触らないことや、物に触れた後は手洗いやアルコール消毒をするようにしましょう。
アレルギー性結膜炎ではアレルギーに触れることで症状を引き起こします。アレルギーに触れない対策が必要です。花粉の多い時間帯を避ける・メガネやマスクで防御する・服の花粉を落とす・手洗いをする・コンタクトレンズの着用を避けるなどの対策をしましょう。最近では抗アレルギー剤を配合したソフトコンタクトもあるため、コンタクトを装着したい方は確認してみてください。
通年性では室内を清潔に保つことが基本の対策です。掃除機をかける・空気清浄機を使用する・空気の入れ替えを行う・布団を天日干ししてダニの繁殖を防ぐなどの対策をとりましょう。また、花粉などが飛散し始める2週間ほど前から抗アレルギー目薬を使用すると症状が軽くなります。これを初期療法といいます。是非試してみてください。
普段の生活で注意することはありますか?
コンタクトレンズ・アイライン・マスカラなどの使用により、両目に感染が広がる可能性もあるため注意が必要です。
学校や職場は休む必要が出てくるため、医師の指示に従う必要があります。細菌性結膜炎は周りに感染を広めることは滅多にありませんが、免疫力の低い乳幼児や高齢者がいる家庭は注意が必要です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
編集部まとめ
ここまで結膜炎について解説してきました。
結膜炎は大きく分けて3つの種類(細菌性・ウイルス性・アレルギー性)があります。
それぞれ特徴的な症状が出るため、症状に合わせて適切な対処をしましょう。
治療に関しては目薬を使用することが一般的となります。目薬は症状に合わせた目薬を選びましょう。どの目薬を使用しても良いのかわからないときは、医師や薬剤師に相談するのも一つの手です。
結膜炎は軽い病気と軽視せずに、症状が軽快しないときは早めに受診することが大切となります。
参考文献