「子宮筋腫」の自覚症状・原因・発症しやすい年齢はご存知ですか?医師が監修!
成人女性に多く見られる子宮筋腫は、女性ホルモンの作用によって成長するといわれている良性の腫瘍です。
30歳以上の女性の20~30%に発生し、45歳までに少なくとも1つの子宮筋腫が発生する女性の割合は約70%とされており、女性にとっては身近な病気の一つといえるでしょう。
ここでは子宮筋腫によって引き起こされる自覚症状や検査や診断の方法、発生した際の治療方法に加え、予防や注意点、妊娠・出産への影響についても解説しています。
子宮筋腫の正しい知識を身に着けて、予防や発生した際の対応にお役立てください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
子宮筋腫の自覚症状や原因
子宮筋腫はどんな病気ですか?
子宮は内側から順に粘膜・筋肉・漿膜で構成されており、子宮筋腫はいずれの場所にも発生し、粘膜にできる粘膜下筋腫・筋肉にできる筋層内筋腫・漿膜にできる漿膜下筋腫と、発生する場所によって3種類に分類されます。
子宮筋腫には自覚症状はありますか?
次に多いのが、大きくなった子宮筋腫が周囲の臓器を圧迫することによって現れる症状で、頻尿や排尿困難・便秘・腰痛などが挙げられます。また、不妊や流産しやすくなるといった症状が現れる可能性があることも覚えておきましょう。
子宮筋腫の原因は何ですか?
子宮筋腫になりやすい年齢は?
30歳以上の女性の20-30%が少なくとも1個の子宮筋腫を持っているとされており、女性ホルモンの分泌が少なくなる閉経後はゆるやかに縮小しますが、消えて無くなることはありません。
悪性になることはあるのですか?
また、子宮筋腫とは別のまれな疾患に子宮肉腫という悪性の腫瘍があります。症状は子宮筋腫と似ていますが、画像所見が一般的な子宮筋腫と違っている場合や、閉経後に急激に腫瘤が大きくなるといった症状が現れる場合は、子宮肉腫の疑いがあるので注意が必要です。
子宮筋腫の診断や治療方法
子宮筋腫はどんな検査を行いますか?
その結果、筋腫が大きいなど手術も検討しないといけないようなケースでは、更に詳しく調べる為に後日MRI検査や子宮鏡検査などの追加検査を行います。
子宮筋腫の診断方法を教えてください
- 問診……問診票を元に行い、月経の状態や月経痛・貧血・お腹の張り・便秘・頻尿などについては更に詳しく問診をします。
- 内診……子宮の大きさや硬さ、筋腫の有無や数・位置・大きさなどを視診や触診によって診察します。
- 超音波検査……超音波を当てて跳ね返る反射波を画像解析することで、子宮筋腫の大きさや位置、数などがわかります。
- 血液検査……子宮筋腫そのものの検査ではなく、貧血や子宮筋腫以外の病気の兆候がないかを確認します。
- MRI検査……子宮筋腫の位置や大きさなどをより詳しく確認することができます。悪性の病気との鑑別も行いますが、手術でしか確定診断を得られないケースもあります。
- 子宮鏡検査……子宮に生理食塩水を入れて膨らませ、子宮鏡という内視鏡を入れて子宮内部の状態を確認します。
子宮筋腫の治療方法はどんなものがありますか?
薬物療法には、薬剤によって女性ホルモンの分泌を一時的に抑えて月経を止め、子宮筋腫の症状を軽減する方法と、症状に合わせて鎮痛剤や止血剤・鉄剤・漢方薬・ホルモン剤などの投与による対症療法があり、手術療法には、子宮筋腫のみを摘出する保存療法と、子宮を全摘出する方法があります。
手術を行う場合の筋腫の大きさの目安は?
ただし、開腹を伴わない腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術を行う場合は、それぞれに対応できる筋腫の大きさの目安があります。
子宮筋腫の予防法や注意点
子宮筋腫を予防する方法はありますか?
ホルモンバランスの乱れは月経周期の乱れや生理不順にもつながっています。食事や生活習慣を整え、ストレスをため過ぎず身体的にも精神的にも安定した状態を維持することで、女性ホルモンと上手に付き合っていきましょう。
日常生活で気を付けることはありますか?
また、筋腫の発生や成長にエストロゲンが関係していることから、ホルモン補充療法や女性ホルモン作用のあるサプリメントを摂取している場合は、症状の悪化に注意が必要です。
子宮筋腫があっても妊娠は可能ですか?
子宮筋腫があっても妊娠中に何も起こらず経過することもありますが、流産や早産を引き起こす場合や、筋腫の大きさや位置によっては分娩障害の原因になることもあります。
妊娠中に見つかった子宮筋腫に対しては、多くの場合で保存療法か経過観察を行いますが、手術をする場合は、必要性とリスクについて担当医と十分に話し合う必要があるでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
他の病気と同様早期発見が望ましいですが、最初のうちは自覚症状がなく気が付きにくいので、定期検診を受診することをおすすめします。
編集部まとめ
女性にとって身近な病気である子宮筋腫は、多くの場合重篤な症状に進展しない良性の腫瘍です。
しかし筋腫が大きくなると、月経の変化や臓器の圧迫などの不快な症状を伴うことがあり、場合によっては不妊や分娩障害につながることもあるので注意しておきましょう。
普段の生活では特別気を付けることはありませんが、不摂生を避けて生活習慣を整えるとともに、早期発見のために定期的に検診を受けることをおすすめします。
参考文献