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「自然流産」の兆候となる症状はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「自然流産」の兆候となる症状はご存知ですか?医師が監修!

自然流産は、人工的に流産手術などを行って流産するのではなく、胎児や母体などの原因により起こる妊娠22週未満の流産のことを指します。

出血や腹痛などの痛みが事前に起こる場合もあれば、自分では気付かないうちに始まっていたケースもあります。

実際に流産した後は様々な処置等をって過ごす必要がありますが、初めて体験する人は分からない人も多いでしょう。

出血や腹痛などの症状が治まらない時は手術が必要な場合もあります。今回はそんな自然流産の始まり方や過ごし方などを紹介します。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

自然流産の特徴

妊娠中の体調不良

自然流産には種類があるのですか?

自然流産には完全流産・進行流産・稽留流産の3種類があります。それぞれ異なる症状を持っており、出血や腹痛を伴うものや、自覚症状がないものなど様々です。状況によっては手術が必要なものもあるため、しっかり把握したうえで対処可能なものは対策として役立てて下さい。

  • 完全流産
    出血や腹痛が起こり、子宮内容物が自然に排出される流産です。この完全流産が最も一般的な流産です。
    流産を終えるまでは出血や痛みが続きますが、子宮内から完全に排出されると徐々に治まっていきます。しばらくすると出血や腹痛による痛みは完全に治まるため、流産の後はしばらく安静にしておけば問題ありません。流産後に手術を受ける必要もないため、体の調子が回復したら再び妊活も行えます。
  • 進行流産
    出血が起こった状態で子宮内容物が外に排出されようとしている流産です。流産が始まっている最中であり、流産後の状態によって完全流産か不全流産かが判明します。
    子宮内容物が問題なく全て排出されたら完全流産です。逆に、子宮内容物が残ったままだと不全流産であり、出血や腹痛が続きます。痛みが継続して危険なため、不全流産の場合は手術を必要とする時もあります。まずは病院を受診しましょう。
  • 稽留流産
    子宮内にいる胎児が死んでしまった状態で子宮内に残っているのが稽留流産です。完全流産とは異なり、出血や腹痛などの痛みによる自覚症状がほとんど感じられません。そのため、病院などで診察を受けて初めて判明するケースが多いです。
    稽留流産が起こった時は、経過をみての自然排出による方法と子宮内容除去手術を行う方法があります。希望により好きなほうを選べたり、医師の判断によって決められる場合もあります。

考えられる原因を知りたいです。

自然流産が起こるのは、お腹の中にいる胎児が原因であるケースが多いです。胎児による染色体異常や遺伝病により、流産する可能性が高まります。
その他にも母体による子宮の病気や、夫婦による染色体異常なども流産の原因になる場合があります。胎児が原因で流産するのはどの女性にもありえるため、自分を責める必要はありません。

兆候はあるのでしょうか?

実際に流産が起こる予兆として、出血や腹痛といった症状が起こる場合があります。しかし、妊娠初期の段階では胎盤ができるために子宮内が傷つきやすい状態です。そのため、正常の状態でも出血しやすくなっています。
いつもより真っ赤な出血や、生理よりも出血が多い場合は流産の予兆かもしれないと考えましょう。その他にも基礎体温が下がったり、つわりが急に楽になったりした時も流産の兆候である可能性が考えられます。
また、流産の種類によっては出血や腹痛などの自覚症状がほとんど表れないものも存在します。処置の仕方なども異なるため、少しでも体に異変を感じたらすぐに病院に受診しましょう。

どのくらいの確率で起こりますか?

自然流産が起こる確率は約10〜20%です。6~7回の妊娠につき1回程度起こる計算です。妊娠時の女性の体質や状態は関係なく、全ての女性に当てはまります。
しかし、妊娠している女性の年齢が高いほど流産の起こる確率は上がります。高齢者のほうが若い層よりも、受精卵に染色体異常がみられる確率が高いためです。年齢が40歳以上の場合は最大で40%近くまで上がります。

自然流産の確認と処置の方法

妊婦を心配する男性

自然流産の確認方法はあるのでしょうか?

自然流産は確認するのが難しくて見落としやすい症状です。見極める方法としては、出血や腹痛が起きた時の症状で判断します。出血した際には血の色が通常より濃くないか、または生理の時よりも出血の量が多くないか確認しましょう。
また、妊娠中は子宮収縮が起こるため、腹痛を伴う回数が目立ちます。しばらく横になって治まるなら問題ないですが、症状が続くなら流産の危険性があります。
少しでも違和感を感じたら、
すぐに病院へ連絡し、受診が必要かどうか指示を仰ぎましょう。

手術が必要なケースはありますか?

出血や腹痛を伴う進行流産の場合は、そのまま待つことで自然に流産が完了することがほとんどです。
稽留流産の場合は自然排出を待つ方法と手術を行う方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。自然排出を待つ場合、手術を行わないため子宮に傷がつきにくいメリットがありますが、自然に排出されるまで受診回数や時間がかかることがデメリットとして挙げられ、流産の完了までに1〜2ヶ月以上要することもあります。
一方手術を行うメリットは早くに流産が完了することで、待機するよりも早くに次の妊娠にトライできることです。一方デメリットとしては手術による痛みや、費用、子宮に傷がつくことによる合併症などが挙げられます。
手術後や流産後はどのくらいの期間妊娠を控えるべきか明確なデータはありませんが、 一般的に流産後初回の生理が来るまでは子宮を休めたほうがよいでしょう。

妊娠期間によって処置方法が違うと聞きました…

妊娠期間が12〜22週未満で流産が起きた際は、普通のお産と同じように分娩を起こします。妊娠期間が12週未満だと、流産の種類によって処置方法が異なるため注意が必要です。
進行流産の場合は、子宮内に胎嚢が残っていないかどうか検査してみないと分かりません。何も残って無ければ、子宮内が回復するまで休養しましょう。胎嚢が残っているなら不全流産のため、手術が必要な可能性があります。
稽留流産だと自然に排出されるのを待つ方法と、手術により排出する方法があります。自然排出は手術代は掛かりませんが、いつ起こるか分からないのがデメリットです。手術するとなると約1万円の手術代が掛かります。選択できるなら日常生活の支障なども考慮して決めましょう。

自然流産後の注意点

説明をする医師

再び妊娠することは可能でしょうか?

結論からいうと流産が起こった後も妊娠は可能ですが、子宮の問題や抗リン脂質抗体症候群をはじめとする全身疾患など、母体に原因がある場合はやはり流産する可能性があります。まずはドクターに相談してみてください。
流産後一般的には生理を2,3回待って、子宮内の状態が安定してから妊活を再開することを進められる場合が多いです。3ヶ月以内に妊娠した場合でも妊娠自体に大きな影響があるという報告は乏しく、流産直後からの妊活を妨げる積極的な根拠はありません。
ご自身の年齢と精神・身体の状態に合わせて妊活を再開する期間を決めましょう。

心理的なストレスが不安です…

自然流産は妊娠した女性の10〜15%が経験している症状です。万が一流産してしまったとしても、どうか自分を責めないで下さい。流産の原因は染色体異常など、医師の力や自分の努力でも防げないものがほとんどです。この異常は健康な母体であっても一定の確率で起こります。
ご自身の精神面が落ち着いたところで、健康な状態で妊活を再開してくださいね。

日常生活で気をつけなければならないことを教えてください。

流産が起こる確率を下げるためには、普段の生活に気をつけましょう。妊娠中にタバコを吸っていると、染色体異常の卵子が増加する傾向がみられます。流産の危険性が高まるため妊娠中は禁煙するのが大事です。同様にアルコール摂取も流産の危険を伴ったり、産まれてきた赤ちゃんの身体に異常をもたらす場合があります。
また、妊娠中に性行為を行う際はコンドームの使用が必須です。安定期に入っている妊婦であっても、細菌感染による絨毛膜羊膜炎には気をつけましょう。流産の原因になりうる病気のため、清潔を保つためにもコンドームは絶対に使用して下さい。

最後に、読者へメッセージをお願いします

流産してしまったからといって、それはあなたの責任ではありません。無事に赤ちゃんを産むために普段から気をつけていても、流産を経験してしまう女性もいます。そんな時に自分を責めてしまうと余計にメンタルが保てません。決して自分を責めないで下さい。何度もいうように、自然流産はどの女性にも起こりうる症状であり、その原因はほとんどが染色体異常などご自身で防げるものではありません。流産後は肉体的にも精神的にも落ち込んでしまいますが、あまり考えこまないよう落ち着いて過ごして下さい。自分自身の健康を維持するためにも、少しずつ気持ちを切り替えていきましょう。

編集部まとめ

腹痛
今回は自然流産について紹介してきました。流産が起こる原因は様々であり、確実に処置するのが困難な症状です。

流産は病院の処置では基本的にほぼ防ぐことができません。

大変つらい経験であり、すぐには難しいですが少しずつ気持ちを切り替え、自分を責めずに落ち着いて日々を過ごしましょう。

この記事の監修医師