「緊張型頭痛」とは?治療法・症状・原因についても解説!【医師監修】
更新日:2023/07/13
日頃から頭痛に悩まされている方は意外と多いものです。頭痛はひどくなると何もする気になれないくらい辛いため、早めに対処をする必要があります。
頭痛には種類があり、頭痛に対処するには、自分の頭痛のタイプを知っておくことが大切です。
なかでもよく耳にするのは緊張型頭痛と偏頭痛ではないでしょうか。
今回は、緊張型頭痛の原因・症状・治療・自分でできる対処法をまとめていきます。偏頭痛との違いも記述しているため、対処する際の参考にしてみてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
緊張型頭痛の症状と偏頭痛との違い
緊張型頭痛はどのような病気でしょうか。
- 緊張型頭痛は身体的・精神的なストレスが原因です。
- 無理な姿勢の維持やパソコンの長時間の使用などによって、頭・首・肩の筋肉に緊張が起こります。筋肉に緊張が起こると、血流が悪くなり疲労物質が溜まっていくのです。
- この疲労物質が神経を刺激して頭痛を引き起こすと考えられています。
- また、精神的に緊張した状態が長く続くと、脳の中の痛みを引き起こす機能が不具合を起こして、緊張型頭痛を引き起こす可能性もあるのです。
- 首の筋肉が弱い方は、頭部を支える力が弱いため頭痛を起こしやすいとされています。
緊張型頭痛の症状を教えてください。
- 緊張型頭痛の特徴は、じんわりと鈍い痛みです。重苦しく・頭を締め付けられているような痛みがあります。
- 我慢できないほどの痛みが起こることはほとんどありません。
- 数時間~数日に繰り返して起こるタイプと、毎日のように頭痛が続くタイプがあります。頭痛の際に首・肩のこりを伴う方も多いです。
- 動いても痛みが悪化することや、嘔吐を伴うほどの痛みがでることはほぼありません。
偏頭痛とはどのように違うのでしょうか。
- 偏頭痛の特徴はズキンズキンと波を打つような痛みです。
- 緊張型は頭を圧迫されるような痛みで、じんわりした痛みを感じますが動けないほどの痛みを伴うケースはほとんどありません。しかし、偏頭痛は動くと痛みが強くなることが多いです。
- また、偏頭痛では嘔吐や光・音・臭いに過敏になるなど頭痛以外の症状もみられます。
- 痛みがピークになると我慢できない状態になるのも緊張型頭痛との違いです。
ストレスが原因となるのですね。
- 緊張型頭痛には反復性と慢性があります。反復性緊張型頭痛は、頭から肩にかけて筋肉が緊張して血流が悪くなることが原因で起こることが多いです。
- 一方、慢性緊張型頭痛は、心配事や不安などの精神的なストレスから起こっているケースが多いとされています。
- 生真面目な性格の方・几帳面な方は精神的なストレスが原因の緊張型頭痛を起こしやすいです。
緊張型頭痛の診断と治療方法
緊張型頭痛はどのように診断されるのでしょうか。
- 緊張型頭痛の診断をするには、まず問診で患者さんの状態を確認することからはじめます。
- その後、頭痛を引き起こす別に疾患と区別するために頭部CT・MRI・レントゲン・血液検査・尿検査などの検査を患者さんの状態に応じて行うことがあります。
- ただ、緊張型頭痛を確定できる検査はありません。患者さんによる症状の説明と診察で判断を行うことが多いです。
- 何が原因で頭痛を引き起こしているかも同時に探っていきます。
緊張型頭痛の治療方法を教えてください。
- 緊張型頭痛の治療は鎮痛剤など薬の処方・運動療法・精神療法が主です。
- 筋肉の緊張が原因の場合は、ストレッチやトレーニング・入浴など心身のリラクゼーションを中心に治療を行います。薬は鎮痛剤が処方されることが多いです。
- 筋肉の緊張が強い場合は、筋弛緩薬や抗不安薬が処方されます。
- 精神的なストレスが原因で頭痛が起こっている慢性緊張型頭痛の場合は、抗不安薬が有効に働くケースも多いです。
薬が効かない場合があると聞きましたが…。
- 反復性緊張型頭痛は、肩こりなど身体的なストレスから起こるため、鎮痛剤や筋弛緩薬が有効に働く可能性があります。
- しかし、慢性緊張型頭痛は精神的なストレスが原因で誘発されるため、鎮痛剤があまり効かないケースがあるのです。
- 精神的なストレスが原因の頭痛の場合は、痛みのある場所に作用する消炎鎮痛剤が効きません。精神的なストレスを取り除くことが大切です。
- 効かないからと、消炎鎮痛剤を多用してしまうと、かえって頭痛が取れにくくなります。
- また、病院で緊張型頭痛の薬をもらっていて急に治療薬を中止したとたん頭痛が悪化・発生することも多いです。
- そのため、病院で治療を受けている際の薬の使用は医師の指示に従うようにしてください。
緊張型頭痛の注意点
緊張型頭痛の治し方を教えてください。
- 緊張型頭痛は強い痛みは少ないですが、発作の頻度が高いと日常生活に支障がでる可能性があります。
- 頭痛を治す方法は鎮痛剤による痛みの緩和が中心です。他に筋弛緩薬や心を落ち着かせる薬も併用するケースもあります。
- また、薬を使わない治療法が行われることも多いです。マッサージ・ストレッチなどの理学療法や、催眠療法などの精神行動療法は、薬を使わない治療方法になります。
- 頭痛が頻発する場合や市販の鎮痛剤を10日以上使っても症状が緩和されない場合は、早めに受診をして正しい治療法を受けてください。
放置した場合のリスクを教えてください。
- 緊張型頭痛の原因の首や肩のこりが続くと血管が狭くなり、筋肉の血流が悪くなります。
- 血流が悪くなると筋肉が低酸素状態となってしまう結果、筋肉組織が栄養不足に陥って十分に機能を果たせなくなってしまいます。
- 痛みが続く状況は辛くストレスが溜まるものです。ストレスは血管を縮めるため筋肉が固く緊張が酷くなります。血管が縮むと血行も悪くなるため、冷え性・自律神経のバランスの崩れが起こる可能性が高くなるのです。
- また、鎮痛剤を長期間毎日服用し続けることで、症状が悪化する、あるいは症状が固定して慢性化してしまう状態を呈する、薬物乱用型頭痛に罹患してしまいます。
- 緊張型頭痛が頻発・長期間続いている方は、病院で相談をしましょう。
自分でできる対処方法はありますか。
- 緊張型頭痛を改善するためには、まず肉体面・精神面それぞれの緊張とストレスを軽減することが大切です。
- セルフケアのポイントとして下記の点を意識して過ごすようにしてみてください。
- ストレス解消を心がける
- 適度に運動をする
- 筋肉の緊張や収縮が長引かない工夫をする
- 精神的なストレスには、趣味を謳歌するのもよいです。ぬるめのお風呂にゆっくり入るのも身体を温めて筋肉の緊張をほぐす効果があります。/li>
- デスクワークなど同じ姿勢でいる時間が長い方は、できる範囲で背伸びやストレッチをして、体をほぐすようにしてください。スマホやパソコンの作業をする際は、適度に休憩をしましょう。
- 運動不足も緊張型頭痛の原因になるため、ウォーキングなど適度な運動をしてみるのもおすすめです。
- また、枕の高さが合わないことも肩や首のこりを引き起こし、頭痛を悪化させる可能性があります。
- 朝起きたときに肩や首が痛いなど不調を感じる場合は、枕を自分に合った高さのものに取り換えてみてください。
- 十分な休息と睡眠も緊張型頭痛の軽減に効果があります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 片頭痛ほどの強烈な痛みは少ないのが特徴の緊張型頭痛ですが、長く続く痛みは辛いものです。痛みがあること自体がストレスになりかねません。
- 痛みが少ないからと放っておくことはしないで、まずは自分でできる対処法を試してみてください。
- 我慢できない痛みには市販の鎮痛剤を使用しても大丈夫です。ただ、頭痛には心配な疾患が隠れているケースもあります。
- 緊張型頭痛は頭痛の専門医に相談をすれば、治療や薬で痛みのコントロールが可能です。
- セルフケアや鎮痛剤を10日以上服用しても症状が改善されない場合は、早めに受診をして正しい治療をするようにしましょう。
編集部まとめ
緊張型頭痛は、頭痛の種類の中でも片頭痛とともによく耳にする疾患でストレスなど生活習慣などが原因で起こりやすい頭痛とされています。
頭痛の改善には自身の頭痛のタイプを把握しておくことが重要です。緊張型頭痛に悩まされているなら、鎮痛剤を使いながら生活を見直す必要があります。
頭痛の専門医ならより正しい診断・治療が可能です。緊張型頭痛がセルフケアでも緩和されない場合は、病院を受診して適切な治療を受けましょう。
参考文献