「横紋筋融解症」とは？症状・原因・治療についても解説！【医師監修】

その筋肉の成分により腎臓の尿細管がダメージを受け、急性腎不全を引き起こすこともある怖い病気です。ときには呼吸筋が影響を受け、呼吸困難になる場合もあります。

また、多臓器不全などを併発して命に関わる場合や、回復しても重篤な障害を残す可能性があるため軽視できない症状です。

これらの症状を放置すると、歩行や起き上がることが困難になることもあります。さらに腎不全などを合併し、回復に長期間を要することがあるため、気が付いたら早めに医療機関を受診しましょう。

また、その他の原因では過度のアルコール摂取、過度の運動、熱中症、薬の副作用などさまざまです。特に夏場は熱中症による横紋筋融解症が多くなるといわれています。できる対策はしておきましょう。

さらに、感染症（EBウイルスやインフルエンザウイルスなど）も横紋筋融解症の原因となります。

救出されたときに元気であっても、救出されることで筋肉への圧迫が解除されるため、傷害を受けた筋肉から血液中に大量の筋肉成分が流れ出します。そのため、圧迫されていた場合は挫滅症候群を疑うこともあります。

運動によって起きる横紋筋融解症を運動誘発性横紋筋融解症といいます。

夏場は特に熱中症での横紋筋融解症が増えるといわれています。まずは自分でできる熱中症対策をしておきましょう。

そのほか、抗菌薬（ニューキノロン系）、抗精神病薬・抗パーキンソン病薬（ハロペリドールなど）、抗てんかん薬（バルプロ酸など）、麻酔薬が原因となります。原因となりうる薬の種類は多く存在します。

これらの薬を服用して起こる場合もあるので、体調に変化がある、すぐれないときはかかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。

服用中止や、輸液療法、血液透析などを行い腎機能の保護をはかります。すみやかに回復の可能性を高める必要があるのです。

免疫抗体法では、ミオグロビン尿やミオグロビン血症の診断ができますが、迅速診断には向きません。

試験紙法や尿沈渣ではミオグロビン尿とヘモグロビン尿との区別がつかないため、迅速な両者の鑑別が必要な場合には硫安塩析法を行います。しかし、多くの場合は血液検査所見との組み合わせで鑑別が可能です。

また、異常所見が認められるときには経過観察をするのにCTスキャンやMRIを行う場合もあります。

急性腎不全が進行してしまった場合には、血液透析をする必要があります。回復しない場合は血漿交換を行い、原因医薬品や血中ミオグロビンの除去を行うケースもあります。

横紋筋融解症では、それぞれの症例や重症度ごとに異なる治療が必要なのでしっかり専門医と治療法を検討していくことが大事です。何よりも重症化する前に早期発見することが重要です。