「陰嚢水腫」とは?特徴・症状・原因・治療方法も解説!
出生後の男児に比較的よく見られる陰嚢(いんのう)の病気「いんのう水腫」をご存じでしょうか?陰嚢の腫れや大きさにより違和感を伴うものの、通常は経過観察を行います。しかし、大人になって発症することもあり、日常生活に影響がある場合には手術を行うこともある病気です。
今回は、いんのう水腫とはどのような病気か、症状や原因、検査方法、治療法などを解説します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
いんのう水腫とは
いんのう水腫とはどのような病気ですか?
いんのう水腫は生まれたばかりの男児では、比較的高頻度で起こっており、基本的に痛みはありません。しばしば、鼠径ヘルニアと間違われることもあり、病態が似ているのが特徴です。
乳児にみられる先天性と、大人になって発症する後天性があります。
先天性のいんのう水腫
先天性のいんのう水腫の特徴を教えてください。
通常は2〜3歳くらいまでに、お腹の中と陰嚢内部の内部の通り道が自然にふさがります。そのため、特別な治療は行わず、経過観察を行うのが一般的です。
また、似た病気に「鼠径(そけい)ヘルニア」があります。鼠径ヘルニアは、お腹の中の腸が陰嚢に向かって降りてきてしまう病気で、同様の原因で起きるため、先天性のいんのう水腫と鼠径ヘルニアはしばしば同時に存在することになります。
後天性のいんのう水腫
後天性のいんのう水腫の特徴を教えてください。
いんのう水腫の症状
いんのう水腫はどのような症状が現れますか?
先天性の場合は、内部の液体がお腹と陰嚢を行き来するため、日や時間によって腫れや大きさが変化することがあります。特に痛みはありませんが、水腫が大きくなると歩行時の違和感や圧迫感が起こる場合があります。
いんのう水腫だと思っていたのに、急に陰嚢が腫れたりお腹や陰嚢の痛みがあったりする場合は、精巣捻転や鼠径ヘルニアを合併している場合や、腸閉塞などが疑われます。腫れや痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
いんのう水腫の原因
いんのう水腫の原因は何ですか?
後天性のいんのう水腫は鼠径ヘルニアや炎症、腫瘍などによっても起こりますが、はっきりとした原因は分かっていません。
いんのう水腫の受診科目
いんのう水腫の疑いがあれば何かを受診すればよいですか?
いんのう水腫で行う検査
いんのう水腫ではどのような検査を行いますか?
触診と視診
触診や視診ではどのようなことを行うのですか?
また、腫れている陰嚢にペンライトなどで光をあてて、袋が透けて見えるかどうかを確認します。液体の場合は、陰嚢に光をあてると透けて見えますが、腫瘍がある場合は物体の存在を確認できるでしょう。
そして、視診では陰嚢の大きさを目視で確認します。通常のサイズと比べて極端に大きくないか、左右差はあるかなどを目視で確かめます。
エコー検査
エコー検査ではどのようなことを行うのですか?
CT検査
エコー検査ではどのようなことを行うのですか?
いんのう水腫の性差・年齢差
いんのう水腫に性差・年齢差はありますか?
いんのう水腫の治療法
いんのう水腫ではどのような治療法を行うのですか?
先天性のいんのう水腫の治療法
先天性のいんのう水腫の治療法について詳しく教えて下さい。
後天性のいんのう水腫の治療法
後天性のいんのう水腫の治療法について詳しく教えて下さい。
水腫が大きくなったり左右差が気になったり、違和感や圧迫感があったりして日常生活に支障をきたしている場合は、陰嚢に液体が溜まらないようにする手術を行います。
また、注射器を使って陰嚢の中に溜まっている液体を抜く治療法もあります。ただし、
この治療法の効果は一時的なものであるため、そのうちまた液体が溜まってしまいます。そのため根治はできません。
先天性のいんのう水腫には、この治療法は行いません。
編集部まとめ
いんのう水腫は、精巣の周りに液体が溜まることで陰嚢が膨らんだ状態です。基本的に痛みはありませんが、左右差が出たり通常よりも大きくなったりすることで違和感や圧迫感を覚えることがあるでしょう。
いんのう水腫には、子どもに起こる先天性と大人に起こる後天性がありますが、基本的には経過観察を行い、気にならなければそのまま過ごすことも多くなります。ただし、3~4歳を過ぎても自然閉鎖しない場合や日常生活に支障をきたしている場合は手術を行うこともあります。
鼠径ヘルニアと間違いやすい病気であるため、陰嚢のサイズや左右差が気になるときは小児科や泌尿器科を受診しましょう。
参考文献