「腎不全」とは?症状・原因・治療法についても解説!
体内の老廃物を排せつする腎臓の機能が低下する「腎不全」をご存じでしょうか。悪化すると、透析や移植が必要になる可能性があります。
今回は腎不全の概要や、症状と原因、受診科目と検査、そして治療方法を紹介します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
腎不全とは
腎不全とはどのような疾患でしょうか?
腎不全は慢性腎不全と急性腎不全に分かれますが、慢性腎不全は腎機能の回復は見込めません。慢性腎不全がさらに進行すると末期腎不全になります
急性腎不全と、慢性腎不全の違いを教えてください。
急性腎不全は治療により改善する可能性がありますが、慢性腎不全になってしまうと治療による改善は見込めません。
末期腎不全とはどのような状態ですか?
末期腎不全では体内の老廃物を除去するため、血液透析や腹膜透析などの人工透析を行わなければなりません。根治治療として腎臓移植を行う場合もあります。
腎不全の症状
腎不全になると、どのような症状が現れますか?
主に現れる症状は、尿毒症の症状です。身体に老廃物がたまることで体内に酸がたまり、その後尿毒症の症状が現れます。
他にも身体に水分がたまることで心不全になったり、カリウムがたまることで高カリウム血症になったりなど、命に危険をおよぼす可能性があります
尿毒症では、どのような症状が現れますか?
また、全身のだるさ、動悸、息苦しさ、息切れなどの疲労感。ほかにも、食欲の低下や吐き気、高血圧や貧血、足や目の周りのむくみ、かゆみ、発熱などさまざまな症状が現れます。
腎不全の原因
どのようなことが腎不全の原因になりますか?
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症とは、どのような疾患ですか?
糖尿病性腎症の原因は複雑です。血液中のブドウ糖が増えることで血糖値が高まり、腎臓への血流が増えて圧力がかかります。高まった圧力により、細胞にダメージを与えて腎機能が低下するのが、1つの原因と考えられています。
慢性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎は、どのような疾患ですか?
しかし、その抗体が糸球体を傷つけて炎症を起こしてしまうと考えられています。
腎硬化症
腎硬化症は、どのような疾患ですか?
腎不全の受診科目
腎不全の症状が疑われる場合、何科を受診すればいいでしょうか?
軽度の腎不全では、自覚症状がないことが多いです。自覚症状が出るころには、かなり進行している可能性があるので、早急に受診しましょう。
また、市販の尿検査薬(試験紙)でも尿糖・尿タンパク・血尿をチェックできます。気になる方は、一度チェックしてみてください。
腎不全の検査
腎不全が疑われる場合、どのような検査を行いますか?
また、血清クレアチニン値も重要です。血清クレアチニンは老廃物の一種で、腎臓から尿に排出されるものですが、腎機能が低下すると尿に排出できず血液にたまってしまいます。
そのため、腎機能が低下していると、血液検査で血清クレアチニン値が正常より高くなります。
腎不全の治療方法
腎不全はどのように治療しますか?
保存期の治療方法を教えてください。
また、食事療法も重要です。タンパク質・カリウム・リンの摂取を制限しつつ十分にカロリーを摂取します。さらに塩分摂取を減らして適切な水分量を摂取することで、水分の蓄積を防ぎます。
透析期の治療方法を教えてください。
もしくは根治治療として、腎臓移植を行う場合もあります。
治療中に気をつけた方がいいことはありますか?
また、感染症も腎臓に負担をかけるので、手洗いうがいなどの感染症対策を行いましょう。
その他、腎不全の原因となった疾患を改善する必要があるので、そちらも主治医の指示に従ってください。
編集部まとめ
腎不全とは、腎臓の機能が正常の30%以下に低下した状態です。腎不全は慢性腎不全と急性腎不全に分かれます。慢性腎不全になると腎機能の回復は見込めません。慢性腎不全がさらに進行したのが末期腎不全です。
腎不全になると、主に尿毒症の症状が現れます。通常の色とは違う色の尿が出たり、尿の回数が増えたり減ったりすることが多いです。他にも全身のだるさ、動悸や息苦しさ、食欲の低下や吐き気、高血圧や貧血など、さまざまな症状が現れます。
慢性腎不全の治療は、主に慢性腎不全の「保存期」と末期腎不全の「透析期」に分かれます。保存器では投薬や食事療法などで腎不全の進行を遅らせます。
透析期では人工透析で老廃物を除去したり、血液をきれいにしたりしなければなりません。場合によっては、腎臓移植が行われます。
腎機能の低下は、進行するまで症状が現れにくいので、定期的な健康診断による早期発見が重要です。症状が現れた場合はすでに進行している可能性があるので、早急に腎臓内科を受診しましょう。