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健康診断の異常値は警告のサイン!自覚症状が出る前に早期発見、早期診断、早期治療を。

 更新日:2023/03/27

生活習慣病の改善から人工透析まで。地域の健康を守る
生活習慣病の改善から人工透析まで。地域の健康を守る

糖尿病や高血圧などの『生活習慣病』は、それが引き金となって起きる病気も多々ある。人が生きていく上で重要な役割を持つ「腎臓」にも悪影響を及ぼすため、適切な診断・治療が求められている。そこで今回は、腎臓内科を専門とする医師として豊富な経験・実績を誇る『医療法人よしとみ内科クリニック』の吉冨亮太院長に、腎臓に関わる疾患や治療法、またその予防などについて詳細をお伺いした。

Doctor’s Profile
吉冨 亮太
医療法人よしとみ内科クリニック 院長

2006年、山口大学医学部医学科卒業。九州大学病院 腎高血圧脳血管内科・松山赤十字病院腎臓内科を経て、2012年、父の代より地元の方々の信頼を集めてきた『医療法人よしとみ内科クリニック』副院長に就任。2016年からは同クリニックの院長として地域医療に広く貢献している。日本腎臓学会・腎臓専門医。日本内科学会・内科認定医、総合内科専門医、医学博士。

腎臓はとても大切な臓器と聞きました。その役割や機能についてお教えください

腎臓は、24時間営業の『血液の浄化装置』のようなものといえます。腎臓は私たちの血液から尿をつくっており、大きく分けて3つの役割を持っています。
1つ目は「水分の調節」です。人は大量に水を飲むと、たくさん尿が出ます。反対に、大量に汗をかいた後などは、尿が少量になり濃くなります。これは、腎臓の「体内の適切な水分量を保つ」という働きによるものです。
2つ目は「ミネラルの調節」。たとえば、ミネラルのひとつである塩分(ナトリウム)は、料理の味付けなどによって摂取する量が変わります。体内の塩分量を一定に保つため、腎臓は余分な塩分を尿の中に混ぜて外に出したり、足らないときは排出量を抑えたりしています。
3つ目は、「老廃物を体から排出すること」です。血液をろ過して老廃物や余分な塩分を尿として外へ排出してくれます。また体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしてくれます。
ほかにも細かな働きはたくさんありますが、主にこれらを24時間繰り返すことで、腎臓は血液の成分を一定に保っているのです。

腎臓が担っている重要な役割。その機能が低下すると起こる状態とは?

腎臓が機能不全になると、どのような問題が出てくるでしょうか?

体に水分がたまって全身がむくんだり、ミネラルのバランスが崩れて心臓などほかの臓器に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、体に毒素がたまって気分が悪くなったり、強い倦怠感を覚えたり、食欲がなくなったりといった症状があらわれます。これは『尿毒症』と呼ばれます。

腎臓が担っている重要な役割。その機能が低下すると起こる状態とは?

腎臓が悪くなる原因としてはどのようなことが挙げられますか?

腎臓が機能不全(腎不全)に陥った状態には、『急性腎障害』と『慢性腎臓病』(CKD)があります。一般には後者をイメージする方が多いようです。
原因としては、まず糖尿病や高血圧などの生活習慣病や『糸球体腎炎』と呼ばれる腎臓に特徴的な疾患があります。ほかにも遺伝性の疾患が原因になることや、また若い世代では、免疫の問題によって『慢性糸球体腎炎』と呼ばれる状態になることがあります。ほかにも遺伝性の疾患が原因になることや、過去に患った病気の治療経過が腎臓に負担を与えるものであった場合、結果的に腎不全になるケースもあります。しかし、現在最も多い原因は糖尿病で、そのあとに高血圧・腎炎と続きます。

重要な腎臓病の機能測定。早期の対応が悪化を防ぐ

重要な腎臓病の機能測定。早期の対応が悪化を防ぐ

健康診断などで腎臓の機能を測定するにはどのような方法がありますか?

健診に行かれた方は必ず『検尿』を受けるかと思います。腎臓病の有無を確認するために、これは非常に重要な検査なのです。「出てきてはいけないものが出てないか?」を確認するため、「尿潜血」「尿たんぱく」などを調べます。血液から尿をつくっているのに血液そのものが出てくるのは、何か問題があると考えられます。また、腎臓に負担がかかっている・炎症が起こっているというようなときも、本来は体外に捨てられないはずのたんぱくが漏れ出してくるのです。
『血液検査』では、「クレアチニン」という項目があり、これが腎臓の機能を評価するものになります。クレアチニンは筋肉から出てくる老廃物の一種で、ほとんどが腎臓を通じて捨てられます。この検査値が正常値より高い場合は、機能低下の可能性があると推測されます。

健診で異常値が出ても、すぐに治療を受けようとしない人が多いと聞きました

健診で指摘されても、自覚症状がなければ「放置してもよいのでは?」と考える人が多いのでしょう。
腎臓が悪くなった際に、「急におしっこが出なくなった」「むくみがひどい」「血尿が出た」などのわかりやすい症状が出ることもあります。そのような場合、もちろん予測は出来ないと思いますので、自覚症状が出てから受診しても決して遅くはありません。しかし一方で、生活習慣病によって腎臓の機能が低下したというケースでは、私たち専門医の立場からしても、もう少し早めに治療を開始できればよかったのにと感じる症例が少なくありません。生活習慣病そのものに対して「早期の対応が悪化を防ぐ」と考えられているように、『慢性腎臓病』も早期発見・早期診断・早期治療が重要です。
そのため、自覚症状がなくても、健診で指摘を受けた場合は早めに受診することをおすすめします。

生活習慣病を改善すれば腎臓の機能も改善しますか?

糖尿病や高血圧の改善によって、腎臓病を発症するリスクは抑えられます。それらが原因ですでに腎臓病になっていても、生活習慣病の管理状況をよくすることが腎臓病の進行を抑制することにも繋がります。

腎臓に異常があるとわかった場合、どのような形で治療が進みますか?

まず、健診などで異常値が出た場合、問診などで情報を集め、腎臓病の診断に繋がるヒントがないか確認します。例えば、「糖尿病や高血圧をお持ちでないか」「ご家族で腎臓病の方はいないか」「過去の治療(既往歴)はどうなのか」「特徴的な自覚症状はないか」などです。
さらに、一般的な健診では評価しきれていない項目があれば、尿検査や血液検査を追加します。超音波検査(エコー検査)で腎臓の形を確認することも非常に有用です。たとえば、慢性腎臓病に特徴的な形(腎臓が硬く小さくなってしまっていないか)がないかを調べたり、腎臓そのものに結石や腫瘍など存在しないかを確認できます。
これらを組み合わせて、最終的な診断をしていきます。
『慢性腎臓病』ではその原因となる病気を診断した上で、その病気の治療を開始していきます。その過程で、たとえば「糖尿病に合併症がある」「より厳格なコントロールが必要」などがわかったら、その病気を専門とされている医師の先生方と連携をとって関わっていきます。
また、前述の『慢性糸球体腎炎』などが考えられる場合は、基幹病院で「腎生検」と呼ばれる入院が伴う検査を行い、診断をつける必要があるケースもあります。また『急性腎障害が強く疑われた場合は何かしらの原因があります。外来治療で対処可能な場合はそのまま治療を実施しますし、治療の緊急性が高い場合はやはり専門性の高い基幹病院にお願いするケースもあります。』
このように腎臓病は原因や治療法が色々と存在します。このため、より専門的な診断・治療を実現するために、当院は福岡市内の基幹病院や地域の開業医の先生方と密な連携を図っています。私個人としては、地域の腎臓病のゲートキーパーにとして貢献できればと願っています。

重要な腎臓病の機能測定。早期の対応が悪化を防ぐ

国の補助やさまざまな支援制度がある「人工透析」

国の補助やさまざまな支援制度がある「人工透析」

腎臓病の治療のひとつとされる「人工透析」(透析療法)についてお教えください

人工透析とは、慢性腎臓病で機能が低下してしまった腎臓に代わって、人工的に血液を浄化するという療法です。
しかし、腎臓の機能を完全に回復させるという治療ではなく、あくまでも生命維持・普通の日常生活を可能にするためのもので、生涯継続する必要があります。
透析療法は本来であれば非常に高額な医療費がかかります。このため、透析療法が普及し始めた1970年代などは、透析を受けられる方々が「お金の切れ目が命の切れ目なのでは?」といったご不安を感じられていたと伺っております。しかし現在は国の補助やさまざまな支援制度によって、医療費が透析療法を受けられる方の負担にならないようになっています。
ですから、透析療法が必要な方には、医療機関の方でそれらをしっかりお伝えし、手続きの説明なども行います。

国の補助やさまざまな支援制度がある「人工透析」

人工透析を受ける患者さんに対して、先生が何か意識していることはありますか?

人工透析は週3回・1回5時間が基本と当クリニックでは考えています。もちろんご年配の方や小柄な方などは、より短い時間で充分な透析を提供出来るように工夫させて頂いている方もいらっしゃいますが、いずれにしても、透析療法を受けられる上で日常生活の制限や精神的なプレッシャーも出てくるのではないでしょうか。
病院や医師と長いお付き合いになりますから、当院では、患者さんに「病院に行くことも生活の一部」と捉えていただき、少しでも心身の負担がないようさまざまな配慮を行っています。
何よりも重要視しているのは、しっかりとコミュニケーションをとり、信頼関係を構築することです。スタッフも医師も、患者さま一人ひとりに寄り添い、お悩みがあった場合も力になれるよう努めています。
当院の透析室は、天井が高く、明るくて開放的な空間にデザインされています。透析用のベッドには一台一台テレビや有線(ケーブルテレビ)が設置され、好きな番組を見ていただけるようになっています。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

健診で腎臓の異常を指摘されたときは、お気軽に受診されてください。大したことがなくて早めに安心できればそれに越したことはないですし、万が一、腎臓病の可能性がある場合も、医師がしっかり診断をつけて対応いたしますので、どうか遠慮なく頼っていただければと思います。

編集部まとめ

腎臓病には生活習慣病が原因となることもあり、その改善が大切になるということ、また経済的・身体的に負担が大きいというイメージだった人工透析に対して、現代ではさまざまな対応がなされていることなど、貴重なお話を伺うことができました。
健診結果や体の違和感などで腎臓に不安を抱えている方は、まずはお気軽に『医療法人よしとみ内科クリニック』にお問い合わせされてみてはいかがでしょうか。

医療法人よしとみ内科クリニック

医院名

医療法人よしとみ内科クリニック

診療内容

腎臓内科 一般内科 人工透析

所在地

福岡県福岡市西区姪浜駅南3-17-17

アクセス

JR筑肥線・地下鉄空港線「姪浜」駅より徒歩10分

この記事の監修医師