目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 病気Q&A(胃・腸・肛門)
  5. 「腸閉塞を予防」する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?避けるべき食べ物も解説!

「腸閉塞を予防」する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?避けるべき食べ物も解説!

 公開日:2025/09/18
「腸閉塞を予防」する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?避けるべき食べ物も解説!

腸閉塞の予防には、正しい食事が大切です。腸の健康を維持し、腸閉塞のリスクを減らすためには、摂取する食品に注意を払い、避けるべき食品を理解することも必要です。

本記事では腸閉塞を予防するための食事について以下の点を中心にご紹介します。

  • 腸閉塞とは
  • 腸閉塞の検査
  • 腸閉塞予防の食事

腸閉塞を予防するための食事について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

プロフィールをもっと見る
昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

腸閉塞とは

腸閉塞とは

腸閉塞はどのような病気ですか?

腸閉塞とは、腸のなかで食物や消化液の流れが止まる病気のことを指します。手術後の癒着や胆石、腫瘍などで、腸管が塞がれてしまい、腸内に溜まっていくことで、腸閉塞が発生する可能性があります。 腸閉塞は、小腸や大腸の内容物が正常に通過できなくなり、重症化すると緊急手術が必要になることもあり、特に腹部手術を受けた方は腸閉塞を発症しやすい傾向があります。

腸閉塞の主な症状を教えてください

腸閉塞の主な症状には、腹部の痛みのほか、便秘や嘔吐、腹部膨満、発熱、頻脈などがあります。腹痛は軽度のものから強烈な痛みまで幅広く、絞扼性(こうやくせい)イレウスでは持続的な痛みが特徴となります。腹膜に炎症が起きた場合には、腹膜刺激症状が現れることもあります。

腸閉塞の原因として何が考えられますか?

腸閉塞の原因としてどのようなことが考えられるのでしょうか。以下で解説します。

1.腸の癒着 腸閉塞の主な原因の一つは、過去に行った腹部手術後の腸の癒着です。特に、盲腸の手術後に見られることがあります。手術によって腸同士が癒着し、腸がぺたっとくっつくことで腸管が狭まり、結果として通り道が塞がれる場合があります。

2.大腸がん 腸閉塞は、大腸がんによっても引き起こされることがあります。がんが腸内で進行し、大きくなることで腸の通路を塞いでしまい、腸内の内容物が通過できなくなります。

3.便秘 長期間にわたって便が出ない便秘も腸閉塞の原因になることがあります。便が大腸に長時間とどまることで、便から水分が吸収され、硬くなります。 便が極端に硬くなると、大腸内で便が詰まってしまい、最終的に腸閉塞を引き起こすことがあります。

4.食事 食事が腸を塞ぐ原因となることもあります。食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうと、消化がうまくいかず、腸内で詰まることがあります。 また、入れ歯などの人工の歯を使用している場合や、胃の手術を受けた人も、腸閉塞を起こしやすいリスクがあります。

腸閉塞の検査・治療・予防

腸閉塞の検査・治療・予防

腸閉塞を診断するためにどのような検査が行われますか?

腸閉塞の検査の内容は、まず、患者さんの症状や病歴を確認するために問診が行われます。腹痛の程度と発症時期や、過去の腹部手術歴、がんやクローン病などの既往歴、現在服用している薬の有無などの確認も含まれます。

また、腸の動きや腹部の膨らみ、腹膜刺激症状、腸の音を確認し、また鼠径部(そけいぶ)の観察も行われます。 イレウスが疑われる場合は、血液検査で脱水症状の有無を確認した後、腹部のX線検査が実施されます。腸管が拡張しているか、また腸内にガスと液体が溜まり、鏡面像として映し出される特徴的な所見が確認されます。

さらに、X線検査で確定診断ができない場合には、造影CT検査が行われます。造影CTでは、腸閉塞の位置や程度、血行障害の有無をより詳細に評価できます。もし造影CTが使用できない場合、単純CT検査も行われます。

腸閉塞の治療方法を教えてください

腸閉塞の治療方法は、症状の程度や原因によって異なります。主に保存療法と手術が治療法として考えられます。

1.保存療法 軽度の腸閉塞の場合、まず保存療法が試みられます。保存療法では、食事や水分摂取を一時的に中止して胃を休めます。その間、必要な水分や栄養は点滴を通じて補給されます。 また、鼻からチューブを挿入し、腸内の内容物を吸引して圧力を下げる方法もあります。よって、腸管の圧力が軽減され、自然に腸内の流れが改善することを目指します。

2.手術 保存療法で改善が見られない場合や、血行障害を伴う重度の腸閉塞(特に絞扼性イレウス)には手術が必要です。腫瘍が原因で腸閉塞が発生している場合、まず腸内の減圧を行い、その後腫瘍を切除します。 もし腸の一部を切除した後も腸をつなげることが可能とされるならば、腸管同士を再接続します。吻合ができない場合は人工肛門を造設することがあります。

また、腸が癒着していることが原因で腸閉塞を起こしている場合は、癒着を剥がす手術が行われます。ただし、腸管に大きな損傷がある場合は、損傷部分を切除する必要があります。

血行が悪化した腸では、腸のねじれや曲がり部分を修正して血流を回復させますが、腸が壊死してしまっている場合は、その部分を切除して再接続する手術が行われます。

腸閉塞を予防するために食事以外で気を付けることはありますか?

腸閉塞を予防するためには、食事以外にもいくつかのポイントがあります。 まず、適度な運動が大切です。運動をすることで腸の動きが活発になり、腸閉塞を引き起こすリスクを減らせます。例えば、ウォーキングなどの無理のない運動を日常生活に取り入れることをおすすめします。

腸閉塞予防の食事

腸閉塞予防の食事

腸閉塞を予防するための食事のポイントを教えてください

腸閉塞を予防するための食事にはいくつか大切なポイントがあります。以下で解説します。

1.一度に大量に食べない 腸管が狭くなっている場合、一度に大量の食事を摂ることは消化不良を引き起こし、腸が詰まる原因となります。食事量は少量ずつ、腹八分目を意識して摂りましょう。

2.早食いを避ける 早食いは腸に大量の食べ物を流し込むことになり、腸閉塞のリスクが高まります。食事はよく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食べるようにしましょう。

3.手術後は軟らかい食事を選ぶ 手術後1~2ヶ月程度は、お粥やうどんなど消化に優しい食事を選び、腸に負担をかけないようにします。その後、体調を見ながら、徐々に油を使った料理や繊維質の食品を取り入れていきましょう。

4.ガスが発生しやすい食品を控える にんにくや炭酸飲料、香辛料、アルコールなど、腸を刺激する食品やガスを発生させる食品は控えめにしましょう。手術後はお腹が張りやすくなることがあるため、これらの食品を避けることが予防につながります。

5.食物繊維の摂取に注意 食物繊維は便秘解消によいとされていますが、腸の手術を受けた方には注意が必要です。繊維質の多い食材(ごぼうやさつまいも、山菜など)は腸に詰まりやすいので、量を控えめにし、調理時に皮や筋を取り除くなど工夫をしましょう。

6.水分をしっかり摂取する 便秘予防のためには、水分をこまめに摂ることが大切です。1.5–2 L/日を目標にします。水分が不足すると便が硬くなり、腸閉塞のリスクが高まります。

どのような食品を摂取するのがおすすめですか?

腸閉塞を予防するためには、どのような食品を摂取するのがいいのでしょうか。 以下で解説します。

1.消化のいい食品 術後は脂質や食物繊維が少ない消化のいい食品を選びましょう。例えば、主食としてはお粥やパン粥、煮込みうどんなど、消化にいいものを選びます。主菜には鶏ひき肉やささみ、白身魚、半熟卵、豆腐、豆乳などがおすすめです。 副菜としては、やわらかく煮たかぶ、かぼちゃ、ほうれん草、大根、人参などがいいでしょう。果物では、りんごやもも、バナナがおすすめです。

2.お腹の調子を整える食品 腸内環境を整えるためには、乳酸菌飲料やヨーグルトなどの発酵食品がおすすめです。消化がよく、腸内フローラをサポートする働きがあります。食後のおやつやデザートとして積極的に摂りましょう。味噌や甘酒、やわらかいチーズもおすすめです。

3.市販食品 消化がいい市販食品には、卵豆腐、豆腐、茶碗蒸し、インスタントのポタージュスープなどがあります。また、プリンやヨーグルト、ゼリーも簡単に摂取できて、腸に優しい食品です。

4.栄養補助食品 少量でエネルギーやたんぱく質、その他の栄養素を摂取できる栄養補助食品も有効とされています。これらはドラッグストアや通信販売で購入でき、主治医の指示があれば処方されることもあります。

避けるべき食品はありますか?

腸閉塞を予防するためには、避けるべき食品があります。以下で解説します。 (大量摂取・咀嚼不足がリスクになります。)

1.柿 柿は腸閉塞を引き起こす可能性がある珍しい食材の一つです。柿に含まれるシブオールという成分が、胃酸と反応すると石のように固まり、胃石として腸に詰まることがあります。これが腸に進んで詰まると、腸閉塞を引き起こす原因になります。

2.こんにゃく こんにゃくは消化にいい食品とされていますが、腸閉塞の原因になることもあります。特に、糸こんにゃくや玉こんにゃくなど、丸呑みしやすいこんにゃくは注意が必要です。これらを十分に噛まずに飲み込んでしまうと、腸で詰まることがあります。

3.おもち おもちも腸閉塞の原因となる食品の一つです。おもちの特徴は、温かいとやわらかく、冷えると硬くなることです。この性質により、食べた後に胃を通過したおもちが冷えることで硬くなり、腸で詰まりやすくなることがあります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

腸閉塞は早めの発見と正しい予防が重要な病気です。食事は腸の健康を維持するために大きな役割を果たします。腸閉塞を予防するためには、消化に優しい食品を選び、食べる量や食べ方にも工夫を加えることが大切です。 また、適度な運動や水分補給も忘れずに取り入れ、腸を健康に保つための習慣を日常生活に取り入れていきましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで腸閉塞を予防するための食事についてお伝えしてきました。 腸閉塞を予防するための食事についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 腸閉塞とは、腸のなかで食物や消化液の流れが止まる病気のことを指す
  • 腸閉塞の検査の内容は、腸の動きや腹部の膨らみ、腹膜刺激症状、腸の音の観察などがある
  • 腸閉塞を予防する食事法は、一度に大量に食べない、早食いを避ける、ガスが発生する食事を避けることなどが大切

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師