目次 -INDEX-

  1. Medical DOC TOP
  2. 医科TOP
  3. 栄養素
  4. 「マンガンが不足すると現れる3つの症状」は?過剰摂取の症状も管理栄養士が解説!

「マンガンが不足すると現れる3つの症状」は?過剰摂取の症状も管理栄養士が解説!

 公開日:2026/04/16
「マンガンが不足すると現れる3つの症状」は?過剰摂取の症状も管理栄養士が解説!

マンガンが不足すると現れる症状とは?一日の摂取量・効果・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法について管理栄養士が徹底解説!

堀越 千聡

監修管理栄養士
堀越 千聡(管理栄養士)

プロフィールをもっと見る
病院で委託栄養士として調理業務を担当。その後管理栄養士の資格を取得後身体障害者支援施設で、多職種と連携しながら食事介助やミールラウンドを通じて、利用者の食事状況を観察し、直接的にフィードバッグを得ることで、利用者一人ひとりに合わせた食事を提供し、より適切な栄養管理を行っています。

目次 -INDEX-

「マンガン」とは?

マンガンとは?

マンガンは成人の体内に約10〜20mg存在する必須微量ミネラルであり、その約25%は骨に、残りは肝臓・膵臓などを中心に全身へ広く分布しています。体内では主に酵素の構成成分および補因子として働き、アルギナーゼやピルビン酸カルボキシラーゼ、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)などの酵素機能を支えています。これによりエネルギー代謝、尿素回路、抗酸化防御などの生体機能に関与します。特にMn-SODはミトコンドリア内で活性酸素の除去に関与する重要な抗酸化酵素であり、細胞の恒常性維持に寄与しています。

マンガンの一日の摂取量

マンガンの一日の摂取量目安

日本人の食事摂取基準(2025年版)によれば、18歳以上の成人の一日あたりの目安量は、男性で3.5mg、女性で3.0mgとされています。通常の食事を摂っていれば大きく不足することは稀ですが、食事からの摂取が著しく少ない場合には注意が必要です。一方で、サプリメント等による過剰摂取を避けるための指標として、耐容上限量は男女ともに11mgと定められています。

マンガンの効果

マンガンの主な効果

エネルギー代謝を支える働き

マンガンは、食事から摂取した糖質、脂質、タンパク質をエネルギーへ変換する過程で重要な役割を果たします。特に、糖新生(糖質以外の物質からエネルギー源を作る仕組み)やアミノ酸の代謝に関わる酵素の構成成分や補因子として機能し、細胞内のミトコンドリアにおける効率的なエネルギー産生をサポートしています。特定の疾患を直接的に改善するものではありませんが、日々のスムーズなエネルギーづくりを内側から支える不可欠なミネラルです。

骨の健康と体の土台作りを支える役割

マンガンは、骨の土台となるコラーゲンやヒアルロン酸などの合成に関わる「糖転移酵素」を活性化させる働きがあります。これにより、骨の石灰化(骨が硬くなる過程)に関与するとされており、骨や関節、結合組織といった体の基礎となる組織の健康維持に関わるミネラルの一つと考えられています。

抗酸化システムによる防御機能の維持

マンガンは、細胞内のミトコンドリアで発生する活性酸素に対処する抗酸化酵素「マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)」の構成成分として働きます。この酵素は、体内で生じる酸化ストレスへの防御機構の一部として機能しており、細胞環境の安定した維持に関与していると考えられています。マンガンはこのような仕組みを通じて、体内のコンディション維持を支える微量ミネラルの一つとされています。

マンガンの多い食品

マンガンを多く含む食品

(※含有量は「日本食品標準成分表2023年版(八訂)」の可食部100gあたりの数値です)

「茶葉類」

茶葉そのものはマンガンを極めて豊富に含んでいますが、お湯で抽出した飲料としての含有量は茶葉の状態と比較すると控えめになります。しかし、日常的な水分補給として取り入れることで、日々の摂取量を着実に積み上げることができます。
・玉露(茶葉) :71.0mg / 100g
・玉露(浸出液):4.60mg / 100g
・煎茶(茶葉) :55.0mg / 100g
・煎茶(抽出液):0.31mg / 100g

「香辛料・種実類(ナッツ)」

少量を料理に加えるだけで、マンガンを効率よく補えるのが香辛料とナッツ類です。一度に食べる量は少なくても、継続的に取り入れることでミネラル補給に役立ちます。
・ シナモン(粉)  :41.0mg / 100g
・ くるみ(いり)  :3.44mg / 100g
・ アーモンド(いり):2.46mg / 100g

「全粒穀類・豆類」

白米や精製された小麦粉ではなく、精製度の低い「全粒」のものを選ぶと、マンガンがより多く含まれます。
・ 黒米      :4.28mg / 100g
・ 強力粉(全粒粉):4.02mg / 100g
・ いり大豆(全粒):3.24mg / 100g
・ 玄米(めし)     :1.04mg / 100g
※玄米ごはんをお茶碗1杯(約150g)食べると約1.56mgのマンガンを摂取できます。主食として1日2〜3食取り入れることで、マンガンの摂取量を補いやすくなります。また、玄米特有の食感が苦手な場合は、白米に「黒米」などの雑穀を混ぜて炊く方法もあります。

マンガンが不足すると現れる症状

マンガンが不足すると現れる症状

ヒトにおいてはマンガン摂取不足による明確な健康障害の報告はほとんどなく、通常の食生活において代謝機能の低下が顕著に現れるケースは稀とされています。また、欠乏に関する知見の多くは実験動物に基づくものであり、ヒトへの影響については限定的なエビデンスにとどまる点にも留意が必要です。

糖質や脂質の代謝効率の低下

マンガンはピルビン酸カルボキシラーゼなどの代謝酵素の構成成分や補因子として働き、糖新生や脂質代謝などのエネルギー産生過程に関与しています。そのため、マンガンが不足した場合にはこれらの酵素活性に影響が及び、代謝機能が十分に発揮されにくくなる可能性が示唆されています。

骨の成長や構造維持への影響

マンガンは、骨の石灰化や、骨の土台となる結合組織(コラーゲンやヒアルロン酸など)の合成に関わる酵素の重要な「補因子」です。不足状態が続くと、骨の新陳代謝や構造の安定化が妨げられることが示唆されています。特に、成長期や組織の修復が必要な時期において、骨格の強健さを維持する機能が十分に発揮されなくなるリスクがあります。

防御機能の低下と皮膚のコンディション不良

細胞内のミトコンドリアでは、活性酸素に対処する抗酸化酵素「Mn-SOD(マンガン-スーパーオキシドジスムターゼ)」が重要な役割を担っています。この酵素はマンガンを必要とするため、体内のマンガンが不足すると抗酸化機構の働きに影響が及ぶ可能性があります。その結果、体内の酸化ストレスへの対応が十分に行われにくくなり、全身のコンディション維持や皮膚の状態に影響を与える可能性が示唆されています。

マンガンが不足しやすい人の特徴

マンガンが不足しやすい人の特徴

精製食品への偏りと副菜不足

マンガンは穀類の胚芽や外皮、種実類、野菜、茶葉などに多く含まれています。白米や白いパン、精製された菓子パンなどは、精製の過程でこれらのマンガン源が取り除かれるため、摂取量が少なくなる場合があります。現代の食生活では、お茶や豆類、副菜などから少量ずつ補うことでバランスを取ることができますが、加工食品や精製された糖質に偏った食事が続くと、マンガンの摂取量が不足しやすい状態になる可能性があります。

水分補給を「水や清涼飲料水」のみで行う習慣のある方

マンガンは穀類や豆類、茶葉などに含まれており、特に煎茶や紅茶などの茶類は日常的な摂取源の一つとされています。一方で、水や清涼飲料水を中心とした飲料習慣では、茶類由来のマンガンを摂取する機会が相対的に少なくなる可能性があります。

鉄分などの特定ミネラルを過剰に摂取している方

マンガンは鉄と同様に「DMT1(二価金属輸送体1)」を介して小腸で吸収されるため、両者は吸収過程で競合する性質があります。そのため、鉄サプリメントや強化食品を長期間かつ過剰に摂取している場合には、マンガンの吸収効率が低下する可能性が示唆されています。ただし、通常の食事における摂取量では大きな影響が生じることは少なく、主にサプリメントの過剰利用など特定の条件下で注意が必要とされます。特定の栄養素のみを過度に補給するのではなく、微量ミネラル全体のバランスを考慮した摂取が重要です。

マンガンを過剰摂取すると現れる症状

マンガン過剰摂取のリスク

中枢神経系への影響と運動機能の不調

マンガンの過剰摂取において最も注意すべきは、脳をはじめとする中枢神経系への蓄計です。脳内の基底核と呼ばれる部位にマンガンが過剰に溜まると、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の緩慢さといった運動機能に関わる症状がみられる可能性があり、神経系への影響が懸念されています。これは、マンガンが神経伝達物質のバランスや神経細胞の維持機能に干渉するためであり、一度発症すると回復が難しい場合もあるため、サプリメント等による安易な多量摂取には細心の注意が必要です。

精神・認知機能面への影響の可能性

神経系への影響は運動面だけでなく、精神面や認知機能にも及ぶ可能性が示唆されています。初期の過剰状態では、気分の浮き沈みが激しくなったり、過度に攻撃的になったりといった情緒の不安定さが見られることがあります。さらに状態が進行すると、記憶力や集中力の低下といった認知機能に関わる症状の報告があります。これらは、マンガンが脳内の酸化ストレスを制御する酵素バランスに影響が及び、神経細胞機能の維持に関わる仕組みが十分に機能しなくなることと関連している可能性が示唆されています。

マンガンの効率的な摂取方法

マンガンの効率的な摂り方

サプリメントよりも「食事」を優先する

マンガンは通常の食事から摂取する分には、腸内で吸収量が調整されるため、過剰摂取となる可能性は高くないとされています。緑茶、穀物(玄米や全粒粉)、ナッツ類、豆類など、マンガンを含む食品を日々の食事に取り入れることが大切です。特に未精製の穀物はミネラルを比較的多く含む食品として知られており、日常の食事からマンガンを取り入れる方法の一つとされています。

「鉄分」と摂取時間をずらす

鉄分とマンガンは、小腸の同じ吸収経路(DMT1)を介して体内に取り込まれます。そのため、鉄分サプリメントとマンガンを多く含む食事(または緑茶など)を同時に摂ると、吸収の競合が起こり、効率が低下することがあります。鉄分を補いたい食事の前後1〜2時間は、マンガン豊富な緑茶やサプリメントの摂取を控えるのが賢い工夫です。

お茶を「タイミングよく」活用する

緑茶(特に煎茶や玉露)はマンガンを日常的に補給できる優れた供給源です。ただし、お茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収を妨げる側面もあるため、食後のすぐの飲用は避けましょう。マンガンを補給したい時は、食事の時間とは少しずらした「ティータイム」にゆっくり楽しむのが、鉄分とマンガンの両方を無駄にしない一つの工夫といえるでしょう。

「マンガンの不足で現れる症状」についてよくある質問

「マンガンの不足で現れる症状」についてよくある質問

ここまでマンガンの効果などを紹介しました。ここでは「マンガンの不足で現れる症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

マンガンが不足するとどのような症状が現れますか?

堀越 千聡堀越 千聡

マンガンが不足すると、エネルギー代謝に関わる酵素機能に影響が及ぶことで、ミトコンドリアでのエネルギー産生が十分に行われにくくなる可能性があります。
また、骨の石灰化や結合組織の形成に関わる酵素機能に影響が及び、骨や関節の健康維持に関連することが示唆されています。さらに、抗酸化酵素Mn-SODの活性に影響が及ぶことで、酸化ストレスへの対応機能が低下する可能性があり、体内のコンディション維持が十分に行われにくくなると考えられています。

マンガンが不足する方はどのような食品を摂取すればよいでしょうか?

堀越 千聡堀越 千聡

マンガン不足を補うには、玄米や全粒粉などの未精製穀類を主食として取り入れることが基本です。さらに、納豆や豆腐などの大豆製品、アーモンドやカシューナッツといった種実類を献立に加えると、マンガンを補いやすくなります。また、玉露や煎茶などの緑茶類を日常の飲み物として取り入れることも、摂取量を補う方法の一つです。

まとめ

マンガンは、エネルギー代謝や骨の健康、細胞を保護する仕組みなど、さまざまな生体機能に関与している必須ミネラルです。特別なサプリメントに頼るのではなく、玄米や豆類、緑茶などをバランスよく組み合わせる食生活を心がけてください。特定の食品に偏らず、多様な食材を摂ることこそが、マンガンの働きを最大限に活かす方法です。まずは、日々の主食や飲み物の選択を見直すところから始めてみましょう。

「マンガン」と関連する病気

「マンガン」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

神経・脳の病気

代謝・骨の病気

婦人科の病気

  • 排卵障害
  • 月経不順

「マンガン」と関連する症状

「マンガン」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。

運動機能に関する症状

  • 手足の震え
  • 筋強剛
  • 動作緩慢

全身・発達に関する症状

  • 疲労感
  • 肌荒れ
  • 発達遅延

この記事の監修管理栄養士