”カリウム”など「じゃがいもの栄養」をムダにしない調理法は?管理栄養士が解説!

じゃがいもに含まれる栄養素は?メディカルドック監修医が健康効果・食べ過ぎて現れる症状・保存方法などについて解説します。

監修管理栄養士:
堀越 千聡(管理栄養士)
目次 -INDEX-
じゃがいもとは?

じゃがいも(馬鈴薯)は、ナス科ナス属の多年草の植物で、その地下茎(塊茎)を食用とする世界的な主要作物です。
主成分がでんぷんで、主食とにもなる野菜として世界中で栽培されています。ビタミン類も豊富なことからフランスでは「大地のりんご」と呼ばれています。
日本での代表的な品種は、ホクホクした粉質系の男爵やキタアカリ、そして荷崩れしにくい粘質系のメークインです。
じゃがいもに含まれる栄養素

炭水化物
じゃがいもの炭水化物の大部分は「でんぷん」です。でんぷんはブドウ糖が多数結合した多糖類で、効率の良いエネルギー源となります。
ビタミンC
じゃがいもは、フランス語で「地上のリンゴ(Pomme de terre)」と呼ばれるほどビタミンCが豊富です。
・含有量: 生のじゃがいも100gあたり 28mg。リンゴ(約5mg/100g)の約5.6倍に相当
・成人の1日あたりの推奨量は100mg。大きめのじゃがいも1個(約150g)で1日の約4割を摂取できる計算になります。
カリウム
じゃがいもは、野菜類の中でも極めてカリウム含有量が多く、効率的に摂取できる「高カリウム食品」の代表格です。
| 状態(100gあたり) | カリウム含有量 |
|---|---|
| 生(皮なし) | 410mg |
| 蒸し(皮なし) | 400mg |
| 水煮(皮なし) | 340mg |
体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を促し、血圧の維持やむむくみの解消を助ける働きがありますが、水溶性のため、切って茹でると流出しやすいので、カリウム摂取を目的とするなら「蒸す」「焼く」「煮汁ごと食べる(スープ)」が推奨されます。
食物繊維
じゃがいもには、お腹の調子を整える「不溶性」と血糖値の急上昇を抑える「水溶性」の2種類の食物繊維がバランスよく含まれています。
じゃがいも100gあたりの食物繊維総量は約 1.2g〜1.5g です。
不溶性食物繊維は、じゃがいも1個当たりの割合は約2/3量の含有量が含まれ、便の水分を吸収してカサを増やし、腸のぜん動運動を促し、便秘解消につながる働きがあります。
また、水溶性食物繊維には約 1/3の含有量があり、糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖値上昇を抑え、コレステロールの排出の働きがあります。
ビタミンB6
じゃがいもにおけるビタミンB6は、数ある野菜の中でもトップクラスの含有量を誇り、「たんぱく質を筋肉や血に変える」という非常に重要な役割を担っています。
| 食品名 | ビタミンB6含有量(100gあたり) |
|---|---|
| じゃがいも | 0.2mg |
| 玉ねぎ | 0.16mg |
| ほうれん草 | 0.14mg |
| キャベツ | 0.12mg |
| トマト | 0.08mg |
| きゅうり | 0.05mg |
お肉や魚などのたんぱく質を体内で分解し、筋肉、皮膚、髪、血液などを作る手助けをします。また、脂質や炭水化物を効率よくエネルギーに変えたり、免疫機能を正常に保ち、肌荒れや口内炎を防ぐ役割もあります。
含有量は、100gあたり約 0.2mgで、 中サイズのじゃがいも1個(約150g)を食べるだけで、大人が1日に必要なビタミンB6の 約20〜30% を補うことができます。
| 性別 | 年齢 | 推奨量(1日あたり) |
|---|---|---|
| 男性 | 18歳以上 | 1.4mg |
| 女性 | 18歳以上 | 1.1mg |
じゃがいもの皮に含まれる栄養素

食物繊維
じゃがいもの皮には主に不溶性の食物繊維を多く含み、じゃがいもの食物繊維の約 30%〜50% は皮とその周辺に集中しています。皮ごと食べることで、むいた場合よりも摂取量を約1.5倍に増やすことができます。
ポリフェノール
じゃがいもの皮やその周辺には、「クロロゲン酸」というポリフェノールが含まれています。コーヒーなどにも含まれる成分で、強い抗酸化作用があります。じゃがいもを切ったあとに放置すると黒ずむことがありますが、それはこの成分が酸化するためです。本来、紫外線や外敵から自分を守るために皮に蓄えられている成分で、体内の活性酸素を除去して細胞の老化を防ぎます。
カリウム
カリウムの約 20% が皮に含まれ、残りの約 80% は中身に含まれていますが、皮の周辺には特に濃縮されているのが特徴です。また、カリウムには水に溶け出しやすい性質があるため、皮をむいてから茹でると、せっかくの栄養素が半分近くお湯に流れ出てしまいます。
しかし、皮をつけたまま調理をすることで、皮が天然のバリアの役割を果たし、中身に含まれるカリウムの流出を最小限に食い止めることができます。さらに、皮そのものを食べることで、むいた場合よりも摂取量を約2割ほど底上げすることが可能です。
じゃがいものゆで汁に含まれる栄養素

カリウム
ゆで汁に含まれる栄養の代表格です。カリウムは非常に水に溶けやすく、皮をむいて茹でた場合、じゃがいもに含まれるカリウムの約40%〜50%がゆで汁に移動してしまいます。血圧を下げたり、むくみを取ったりする効果を期待するなら、この汁を活用するのが効率的です。
ビタミンC
じゃがいものビタミンCはでんぷんに守られているから壊れにくいと言われますが、熱には強くても水には溶け出します。そのため、ゆで汁には中身から流出したビタミンCも含まれています。
ビタミンB群
エネルギー代謝を助けるビタミンB群も水溶性のため、加熱中にお湯の中へ溶け出します。特に、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6や、疲労回復に役立つビタミンB1などは、茹でる工程でその一部が失われてしまいます。
じゃがいもの健康効果

高血圧予防とむくみの解消
じゃがいもには、野菜類の中でも極めて多くのカリウムが含まれています。カリウムは、私たちの体内で「天然の降圧剤」のような役割を果たします。
カリウムには、塩分(ナトリウム)を摂りすぎた場合、体は血中のナトリウム濃度を下げようとして水分を蓄え、それが血圧を上げる原因となります。カリウムは、この余分なナトリウムを尿と一緒に体外へ排出する働きがあるため、血圧を正常な状態に保つのに役立ちます。また、体内にナトリウムが溜まると、細胞の周りに余分な水分が溜まり「むくみ」が生じます。カリウムを摂取することで、細胞内の水分浸透圧が調整され、溜まっていた水分が排出されるため、特に足や顔のスッキリ感につながります。
免疫、美肌サポート
じゃがいもが「大地のりんご」と称される最大の理由は、豊富に含まれるビタミンCにあります。一般的にビタミンCは熱に弱く、加熱調理で壊れやすいのが難点ですが、じゃがいもの場合は主成分である「でんぷん」がビタミンCを包み込んで保護しているため、煮たり焼いたりしてもその多くが体内にまで届けられます。
このビタミンCは、「免疫力アップ」において中心的な役割を果たします。体内に侵入したウイルスや細菌と戦う白血球の働きを活性化させ、抵抗力を高めることで、風邪や感染症にかかりにくい体づくりをサポートします。また、じゃがいもに含まれるビタミンB6は、免疫に関わる細胞の代謝を助けるため、ビタミンCとの相乗効果でより強固なバリア機能を築くことができます。
一方、「美肌効果」においてもじゃがいもは非常に優秀です。ビタミンCは、肌のハリや弾力を支える「コラーゲン」の生成に欠かせない成分であり、シワやたるみの予防に直結します。さらに、メラニン色素の沈着を抑える働きがあるため、日焼けによるシミやそばかすを防ぐ「飲む日焼け止め」のような役割も期待できます。加えて、じゃがいもの皮に多く含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」には、強力な抗酸化作用があります。これが細胞の酸化(錆びつき)を防ぐことで、肌の老化を遅らせ、若々しい質感を保つのに貢献します。
腸内環境を整える
じゃがいもは、腸内の善玉菌を増やし、お掃除をする機能が非常に優れています。
皮付近に多い「不溶性食物繊維」が便のカサを増やして腸の動きを活発にし、中身に含まれる「水溶性食物繊維(ペクチン)」が便を柔らかくしてスムーズな排出を助けます。
「難消化性でんぷん」とも呼ばれるレジスタントスターチが、小腸で吸収されずに大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌のエサになります。善玉菌がこれを分解する際に生じる「短鎖脂肪酸」は、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の増殖を抑え、腸の粘膜を守るバリア機能を強化してくれます。また、一度加熱したじゃがいもを「冷やす」ことでこの成分が増え、血糖値の上昇を抑える低GI食品のような性質に変化するため、ダイエットや血糖値対策にも効果的です。
胃腸の健康維持
じゃがいもはアルカリ性食品であり、胃酸過多を抑えて胃の炎症を和らげる働きがあります。私たちの食生活の主役である肉類や穀類(米やパン)の多くは、体内で「酸性」として作用します。これらに偏った食事は胃酸の過剰分泌を招き、胸焼けや胃粘膜へのダメージを引き起こす要因となります。
これに対し、じゃがいもはカリウムなどのミネラルを豊富に含む強アルカリ性食品です。摂取することで過剰な胃酸を化学的に中和し、酸性へ傾いた胃内の環境を穏やかに整える「緩衝材」の役割を果たします。食後、胃が重く感じやすい人にとって、じゃがいもは体内バランスをリセットしてくれます。
じゃがいもを食べ過ぎて現れる症状

消化器系の不調(食物繊維の影響)
じゃがいもの主成分であるでんぷんや食物繊維を大量に摂取すると、腸内ででんぷんが分解される際にガスが発生しやすく、お腹が張りやすくなります。便秘気味の方が食べ過ぎると不溶性食物繊維の影響でさらにお腹が張る事もあれば、逆に消化しきれず下痢っぽくなる事もあります。
血糖値上昇
じゃがいもは高GI食品であり、毎日大量に摂取し続けると急激な血糖値の上昇を招き、インスリンの過剰分泌が繰り返されることで糖尿病や肥満のリスクを高めるだけでなく、特に揚げ物としての摂取は高血圧などの心血管疾患リスクにも関与するため、主食(炭水化物)との置き換えを意識しながら、1日150g(中1個)程度に留めるのが適切です。
カリウムの過剰摂取による「高カリウム血症」
じゃがいもは100gあたり約410mgとカリウムが非常に豊富であるため、過剰摂取は手足のしびれや筋力低下、不整脈などを引き起こす高カリウム血症を招く恐れがあり、特にカリウム排出能力が低い腎機能低下者にとっては心臓への深刻な影響を及ぼすリスクがあるため、摂取量には厳重な管理が必要です。
じゃがいもを効率的に摂取する方法

蒸して食べる
じゃがいもに含まれるビタミンCやカリウムは水に溶けやすいため、「茹でる」よりも「蒸す」ほうが栄養の流出を最小限に抑えられ、さらに皮ごと蒸すことで損失を防ぎつつ風味豊かなホクホクとした食感を楽しめるようになります。
冷ましてから食べる
加熱したじゃがいもを一度冷やすことで、糖質の吸収を抑える「レジスタントスターチ」が増加するため、血糖値の急上昇を緩やかにしつつ腸内環境を整える整腸効果も期待できるようになり、ダイエットや健康維持に非常に効果的です。
たんぱく質や脂質と食べる
じゃがいもを肉・魚・卵などのたんぱく質やオリーブオイルなどの良質な脂質と一緒に摂取することで、糖質の消化吸収スピードが緩やかになり、血糖値の急上昇を抑えながら腹持ちを良くして過食を防ぐことができます。
じゃがいもの保存方法や期間

常温保存:風通しの良い冷暗所
じゃがいもにとって最も自然な常温保存は、泥付きのまま洗わずに新聞紙で包んで風通しの良い冷暗所に置くことで約2ヶ月から4ヶ月(夏場は1週間程度)維持できますが、光が当たると天然毒のソラニンが増えるため、必ず遮光して保存することが重要です。
冷蔵保存:野菜室を活用
室温が15度を超える夏場や長期保存に適した冷蔵保存は、乾燥と低温障害を防ぐために新聞紙やキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、冷蔵室よりも少し温度が高い「野菜室」を活用することで、傷みを抑えながら約1ヶ月から3ヶ月ほど保存することが可能です。
冷凍保存:カットまたはマッシュ
じゃがいもを冷凍保存する場合は、生のままでは食感が損なわれるため、使いやすい大きさに切って水気を拭き取るか、加熱してマッシュ状にしてから冷凍用バッグで密封することで、約2週間から1ヶ月程度保存でき、調理の際は凍ったまま使用するのが効率的です。
「じゃがいもに含まれる栄養素」についてよくある質問

ここまでじゃがいもについて紹介しました。ここでは「じゃがいもに含まれる栄養素」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
じゃがいもは1日何個まで食べて良いでしょうか
堀越 千聡
じゃがいもは野菜に分類されますが、主成分はでんぷんであり、摂取量が多くなると炭水化物の過剰摂取につながりやすいです。また、主食と併せて食べることでエネルギー量や血糖負荷が高くなる可能性もあります。一方で、適量であればビタミンCやカリウム、食物繊維を効率よく補給できるため、1日1〜2個程度が栄養バランスの面から適切といえます。
まとめ
じゃがいもは、炭水化物や加熱に強いビタミンC、カリウムなどを豊富に含む「大地のりんご」とも呼ばれる優れたエネルギー源ですが、その恩恵を安全に受けるためには、芽や緑色の皮に含まれる天然毒素「ソラニン・チャコニン」による食中毒(吐き気や腹痛)を避けるための適切な下処理が欠かせません。また、調理法においても注意が必要で、揚げる・焼くといった120℃以上の高温調理を長時間行うと、成分の一部が変質して発がん性が疑われる「アクリルアミド」が発生するため、過度な加熱を避けることが推奨されます。栄養面では、たんぱく質が少ないという特徴を理解し、肉や魚、大豆製品などのたんぱく源と組み合わせて摂取することで、免疫力を高めるバランスの良い食事へと進化します。高GI食品であるため、食べ過ぎや偏った摂取による血糖値への影響には注意が必要ですが、特定の食材に頼りすぎず、正しい知識を持って多様な食材と組み合わせることで、じゃがいもの持つ高い栄養価を日々の健康づくりに賢く取り入れていきましょう。
「じゃがいも」と関連する病気
「じゃがいも」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
循環器系の病気
- 高カリウム血症
「じゃがいも」と関連する症状
「じゃがいも」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

