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「ほうじ茶のカフェイン量」はどれくらいかご存じですか?管理栄養士が解説!

 公開日:2025/09/11
「ほうじ茶のカフェイン量」はどれくらいかご存じですか?管理栄養士が解説!

ほうじ茶のカフェイン量はどれくらい?メディカルドック監修医がカフェインの一日の摂取量・ほうじ茶の効果や就寝前や妊娠中に飲んでもいいのかなどを解説します。

中岡 紀恵

監修管理栄養士
中岡 紀恵(管理栄養士)

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短大卒業後、20年以上経って栄養士の職に就く。給食受託会社に勤務しながら管理栄養士の資格を取得。栄養指導に携わりたいという思いから、病院に転職。現在は慢性期病院で栄養指導、入院患者様の栄養管理、給食管理等を担当。生涯現役で、栄養相談を通じてたくさんの人を健康に導くのが夢であり、目標でもある。

「カフェイン」とは?

「カフェイン」とは?

コーヒーやお茶に含まれる苦み成分で、アルカロイドの一種です。カフェインには、適量摂取することにより、覚醒作用や疲労回復作用、利尿作用などがありますが、過剰摂取には注意が必要です。 日本国内でも、コーヒーやお茶として古くから飲まれてきました。 また、食品に添加されるカフェイン(抽出物)については、既存添加物名簿に収載され、厚生労働省により食品添加物として使用することが従来から認められています。更に、医薬品としても処方されています。現在では、この他にエナジードリンク、眠気覚まし用の清涼飲料水、サプリメント、ガムなど様々な製品に添加されています。

カフェインの一日の摂取量

カフェインの一日の摂取量

健康な成人におけるカフェインの一日あたりの摂取目安は、海外の基準を参考に最大400mg程度とされています。これは一般的なマグカップのコーヒーで約3~4杯分に相当します。妊娠中や授乳中の方、妊娠を予定している女性については、欧州食品安全機関(EFSA)により1日200mg以下が推奨されており、カナダやアメリカの保健機関でも同様の上限が示されています。 日本ではカフェインの一日あたりの摂取許容量に関する明確な基準は設けられていませんが、消費者庁や厚生労働省などがこれらの海外基準を参考として紹介しています。摂取量の目安として活用されることが多く、個人の体質や健康状態に応じた配慮が求められます。

ほうじ茶のカフェイン量はどれくらい?

ほうじ茶のカフェイン量はどれくらい?

ほうじ茶には浸出液100mL当たり20mgのカフェインが含まれています。ほうじ茶は、煎茶や番茶、茎茶などを強火で焙じて作られた緑茶の一種です。焙煎することにより、カフェインが一部揮発したり、茶葉に残る量が減少したりすると考えられています。ただし、すべてのカフェインが取り除かれるわけではなく、焙煎による具体的な変化は目に見えるものではありません。お茶農家さんによれば、焙煎時に立ちのぼる煙や変色から、成分の変化を感じ取ることがあるそうです。焙煎によって香ばしい香りが引き出され独特な風味が特徴的です。苦みや渋みが少なく、カフェインも控えめなので幅広い年齢層に好まれています。和食だけでなく、最近流行りのスパイスカレーとの相性も抜群です。

ほうじ茶とその他の飲み物のカフェイン量

ほうじ茶とその他の飲み物のカフェイン量

ほうじ茶に含まれているカフェインの量は20mg/100mL(浸出液に含まれる量、以下同様とする)コーヒーには60mg、緑茶では、玉露には160mg、煎茶20mg、エナジードリンクには32~300mg、製品1本当たりでは36~150mgのカフェインが含まれていますが、製品によってカフェインの量及び内容量が異なりますので食品成分表示を確認するなど、注意が必要です。

ほうじ茶の効果

ほうじ茶の効果

リラックス効果

ほうじ茶の香り成分である「ピラジン」には、リラックスを促す可能性があるとされています。香ばしい香りが心を落ち着かせることから、ストレスの軽減や気分の安定につながると感じる人も多く、間接的に睡眠の質向上にも役立つことが期待されています。なお、「脳波への影響」などについては今後の研究が待たれる分野です。

抗酸化作用

カテキンや焙煎によって生まれる「メラノイジン」は、強い抗酸化作用を持ち、活性酸素の除去や老化予防、生活習慣病のリスク低減に役立つとされています。

血行促進・冷え性改善

「ピラジン」や「カテキン」、「カフェイン」などの働きにより血流を促し、冷え性対策や疲労回復、むくみの改善にも効果が期待されます。

コレステロール・血糖値上昇の抑制

カテキンなどの成分は、コレステロール値や血糖値の上昇を抑制し、腸内環境を整えることで動脈硬化や糖尿病予防にもつながると考えられています。

抗菌・消臭作用

カテキンには抗菌作用・消臭作用があり、口臭や体臭の軽減にも利用されています。

ほうじ茶は寝る前に飲んでも大丈夫?

ほうじ茶は寝る前に飲んでも大丈夫?

ほうじ茶にはリラックス成分(ピラジン・テアニン)が含まれており、穏やかな香りや作用でリラックスや睡眠準備を助ける効果が期待出来ます。寝る前に飲んでも大丈夫ですが、いくつか注意点があります。ほうじ茶は他のお茶やコーヒーよりカフェインが少なめですが、完全にノンカフェインではありません。カフェインに敏感な方や寝つきが悪くなりやすい方は注意が必要です。お茶農家さんによると熱湯で抽出すると、カフェインの抽出量が増える可能性があるので、水出しするのがおすすめだそうです。水出しの場合、水1Lに対し茶葉10~15gを入れて、1~2時間でまろやかな味わいが楽しめます。就寝前はコップ1杯程度にすることが推奨されています。 カフェインが特に気になる場合や夜間のトイレが気になる方は、カフェインレスのほうじ茶や麦茶、もしくは白湯がおすすめです。

ほうじ茶は妊娠中に飲んでも大丈夫?

ほうじ茶は妊娠中に飲んでも大丈夫?

ほうじ茶は妊娠中に飲んでも大丈夫です。ただし適量を守ることが重要です。 ほうじ茶は緑茶やコーヒーなどに比べカフェインが少なめですが、完全にカフェインゼロではありません。妊婦さんのカフェイン摂取基準は1日200mg以下が推奨されています。 ほうじ茶1杯(100mL)あたりのカフェインは約20mgとされています。 たとえば1日に5~6杯(500mL~600mL)以下を目安にすれば、摂取基準を大きく上回ることはありません。ほうじ茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収を妨げる可能性があるため、食事中や食後30分~1時間は控えるのが理想的です。

カフェインを過剰摂取すると現れる症状

カフェインを過剰摂取すると現れる症状

めまい・動悸

カフェインは中枢神経を刺激し、めまいや心臓がドキドキする(動悸)、脈拍や呼吸数の増加といった症状が現れます。しばらく安静にしても症状が治まらない場合は、医療機関の受診をおすすめします。

不安・興奮・震え

神経が高ぶり、過剰な緊張や不安、興奮、手や体の震えがみられます。精神的にも落ち着きがなくなることがあります。

不眠・睡眠の質の低下

眠気覚まし効果が強く出て、寝付きが悪くなったり、睡眠の質が著しく低下したりします。不眠症状は過剰摂取の典型的な症状であると言われています。

カフェインを取りすぎてしまった際の対処法

カフェインを取りすぎてしまった際の対処法

水分補給を行う

カフェインは利尿作用があるため、脱水しやすくなります。カフェインフリーの水やスポーツドリンクなどでこまめに水分補給を行い、体内からカフェインを排出しやすくします。

安静にして休息をとる

動悸・めまい・不安感がある場合は、できるだけ静かな場所で横になり、安静に過ごすことが重要です。運動や刺激は避け、心拍のリズムを整えるためにリラックスすることが大切です。

ミネラル(カリウム・マグネシウム)を補給する

カフェインの過剰摂取で体内のミネラル(カリウムやマグネシウム)が減りやすくなります。バナナやほうれん草、わかめなどの食品を摂ると、不足したミネラルを補うことができます。

消化に良い食べ物を摂る

胃腸への負担を軽くするため、バナナやヨーグルト・おかゆなど消化の良い食事を選ぶことをおすすめします。胃の不快感や下痢がある場合は、無理して食べずに様子を見ることも大切です。

医療機関の受診

胸の痛み、動悸、呼吸困難、強い吐き気、けいれんなどが治まらない場合や異常を感じた場合は、速やかに医師の診察を受けることが望ましいでしょう。重い症状の場合には点滴や薬剤による対症療法が行われることがあります。

「ほうじ茶のカフェイン量」についてよくある質問

カフェインを取りすぎてしまった際の対処法

ここまでほうじ茶のカフェイン量について紹介しました。ここでは「ほうじ茶のカフェイン量」についてよくある質問に、メディカルドック管理栄養士がお答えします。

カフェインが少ないお茶について教えてください。

中岡 紀恵中岡 紀恵

カフェインの少ないお茶には、ほうじ茶、玄米茶、番茶、プーアル茶などがあり、リラックス効果等が期待できます。ミネラル豊富な麦茶、ポリフェノールが豊富で抗酸化作用のあるルイボスティー、ルチン含有で生活習慣病予防も期待できるそば茶、珈琲のような味わいで妊産婦さんにも優しいたんぽぽ茶などは、ノンカフェインです。ご自身に合ったお気に入りのお茶を見つけて楽しむのも良いですね。

まとめ

ほうじ茶には緑茶やコーヒーなどより少ない量ですが、カフェインが含まれています。リラックス効果や抗酸化作用等の健康効果が期待できると同時に、過剰摂取のリスクもあります。カフェインの感受性は人それぞれで異なりますので、ご自身に合った飲み方を見つけて、日々の生活に上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。

「カフェイン」と関連する病気

「カフェイン」と関連する病気は8個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

消化器系の病気

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 胃痛

内科の病気

  • 不眠
  • 頭痛

「カフェイン」と関連する症状

「カフェイン」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • だるい
  • 脱水
  • ふらつき

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