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「ビタミンKの多い食べ物」は何かご存知ですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/10/15
「ビタミンKの多い食べ物」は何かご存知ですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が解説!

ビタミンKの多い食べ物とは?メディカルドック監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

曽田 久美子

監修管理栄養士
曽田 久美子(管理栄養士)

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病院、老健で栄養士として給食管理に従事し、2025年管理栄養士国家試験合格。食に迷う人や食を大事にしたい人、食で体を変えたい人へ確かな情報を届けるべく、食で心と体を元気にする管理栄養士を目指す。

「ビタミンK」とは?

「ビタミンK」とは?

天然に存在するビタミンKには2種類あり、緑黄色野菜、海藻類などに含まれるビタミンK₁と、動物性食品と納豆、また腸内細菌によっても合成されるビタミンK₂があります。脂溶性ビタミンの一種で、出血時に血液を固める血液凝固因子を作るのに不可欠な栄養素です。腸内細菌から作りだすことができるビタミンであるため、腸内細菌が少ない新生児は不足しやすく、そのため、生後数か月はビタミンKシロップを飲ませてビタミンK不足による頭蓋内出血や消化管での出血(新生児メレナ)を防ぐ必要があります。ワーファリン(血液を固まりにくくする薬)を服用している方は、ビタミンKを多く摂取すると薬の抗凝固作用が弱まる可能性があるため、ビタミンK摂取量を医師の指示に従って調整する必要があります。 また、骨中に含まれるたんぱく質(オステオカルシン)を活性化し、尿中へのカルシウム排泄を低下させる働きがあり、ビタミンK摂取により骨量が増加するため、骨粗鬆症の予防にもつながります。

ビタミンKの一日の摂取量

ビタミンKの一日の摂取量

一日の摂取量について
8~9歳 男  90㎍ 女 110㎍
10~11歳 男 110㎍ 女 140㎍
12~14歳 男 140㎍ 女 170㎍
15~17歳 男 160㎍ 女 150㎍
18歳以上の成人は男女共に150㎍

ビタミンKの効果

ビタミンKの効果

血液凝固作用

・血液凝固因子であるプロトロンビンなどが肝臓で生成されるときに補酵素として働くのがビタミンKです。 ビタミンKが十分にあると、血液凝固因子が適時効果を発揮します。

骨形成促進

・骨中に含まれるたんぱく質であるオステオカルシンを活性化し、尿中へのカルシウム排泄を低下させる働きがあり、ビタミンK摂取により骨量が増加するためビタミンKを多く含む食品は骨粗鬆症の予防に推奨されています。

動脈の石灰化防止

ビタミンK依存性たんぱく質MGP(Matrix Gla Protein)の活性化 を介して動脈の石灰化を防止することも重要な生理作用です。

ビタミンKの多い食品

ビタミンKの多い食品

ほうれん草

茹でたほうれん草100gに320㎍のビタミンKが含まれています。 ・茹でても流出しにくい栄養素なため、茹でてあくを水で流しておひたしや、和え物にしたり、また、油と一緒に摂ると吸収率が上がるので、ドレッシングで和えたり、油を使用して調理することがおすすめです。

小松菜

茹でた小松菜100gに320㎍のビタミンKが含まれています。 ・あくが少ないので下茹で不要で調理できます。炒め物、和え物、煮物など、どんな調理方法にも簡単に取り入れやすい食材です。

ブロッコリー

茹でたブロッコリー100gに190㎍のビタミンKが含まれています。 ・房に切り分けて茹でる、もしくは電子レンジで加熱するのも簡単でおすすめです。

海藻類

乾燥わかめ2gに13㎍のビタミンKが含まれています。 ・海藻は一度にたくさんは摂取できませんが、味噌汁、スープなどに入れると、簡単に摂取できます。毎日、取り入れてみてはいかがでしょうか。

納豆

1パック45gに270㎍のビタミンKが含まれています。 ・時間のない朝などに、おすすめです。

ビタミンKが不足すると現れる症状

ビタミンKが不足すると現れる症状

血液凝固の遅延

・出血時に血がとまるのに時間がかかります。 ・健常者でビタミンK欠乏による血液凝固遅延が認められるのは稀ですが、脂質吸収障害、長期間の抗生物質投与などにより、不足することがありますので、注意が必要です。

ビタミンKが不足しやすい人の特徴

ビタミンKが不足しやすい人の特徴

新生児

・新生児は、腸内細菌が少ないため、腸内細菌によるビタミンK産生が低いと考えられることから、新生児はビタミンKの欠乏になりやすいです。

脂質吸収障害

・ビタミンKは脂溶性ビタミンであるため、脂質吸収障害があると、体内へのビタミンKの吸収も減少すると考えられます。高齢になると、脂質の吸収が低下するので、高齢の方でも不足しやすい傾向にあります。

長期間の抗生物質投与

・長期間抗生物質を投与されている方は、腸内細菌が減少していることがあるため、ビタミンKが不足しやすくなっている可能性があります。

ビタミンKを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンKを過剰摂取すると現れる症状

特に認められない

・ビタミンK₁、K₂については、過剰摂取による毒性は認められていません。ビタミンKは骨粗鬆症の治療薬として処方されていますが、これまでに安全性に問題はないことが証明されています。なお、医薬品などで用いられる合成型ビタミンK₃(メナジオン)は、新生児には禁忌とされています。

ビタミンKの効率的な摂取方法

ビタミンKの効率的な摂取方法

ビタミンKの効果を高める摂取タイミング

・ビタミンKは脂溶性ビタミンであるため、油脂と一緒に摂取すると効率よく摂取できます。サプリなどで摂取する場合も、油脂を含む食事の後が効率よく吸収されます。 油を使用して炒めたり、ドレッシングなどをかけると吸収がよくなります。

ビタミンKと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

・抗凝固剤(血液をサラサラにする作用がある薬)を服用している場合は、薬の効果を弱めるため、ビタミンKの摂取には注意が必要です。

「ビタミンKの食べ物」についてよくある質問

「ビタミンKの食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンKの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンKの食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

納豆1パックにビタミンKはどれくらい含まれていますか?

曽田 久美子曽田 久美子

納豆1パック45gに270㎍のビタミンKが含まれています。

まとめ

・健常者でビタミンKの不足に陥ることは稀ですが、新生児や脂質吸収障害、長期間の抗生物質投与などにより、不足することで血液凝固の遅延がみられることがあり、注意が必要です。また、高齢者では脂質吸収機能の低下が指摘されるものの、ビタミンK吸収への影響に関する十分なエビデンスはないため、目安量は成人と同様に設定されています。  過剰摂取による毒性も認められていませんので、不安になることなく、偏ることなく、色々な食材を摂取することをおすすめします。

「ビタミンK」と関連する病気

「ビタミンK」と関連する病気は4個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 新生児メレナ
  • 頭蓋内出血
  • ワーファリンを服用する病気(心房細動、静脈血栓症、心筋梗塞、肺塞栓症、脳塞栓症など)

「ビタミンK」と関連する症状

「ビタミンK」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 血液凝固異常(出血傾向)
  • 骨粗鬆症

この記事の監修管理栄養士