「炭水化物が不足すると現れる5つの症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!

炭水化物が不足すると現れる症状とは?Medical DOC監修医が炭水化物が不足すると現れる症状・一日の摂取量・効果・過剰摂取すると現れる症状・解消法などを解説します。

監修管理栄養士:
寺下 博美(管理栄養士)
東京糖尿病療養指導士、食事アレルギー分野管理栄養士、フレイルサポート栄養士、東京JDA-DATスタッフ、終末期ケア専門士、フードコーディネーター
目次 -INDEX-
「炭水化物」とは?

炭水化物の一日の摂取量

炭水化物の効果

エネルギー源
炭水化物は、1gあたり4kcalのエネルギーを供給する、体の主要なエネルギー源です。特に脳や神経系、筋肉の動きにはブドウ糖が必要不可欠です。炭水化物が不足すると、一時的に集中力が低下したり、ぼんやりすることがあります。疲労回復
運動後や活動後に炭水化物を摂取すると、消費したグリコーゲン(筋肉や肝臓に蓄えられるエネルギー)が補充され、疲労回復しやすくなります。炭水化物が不足すると現れる症状

エネルギー不足
炭水化物は、脳と体の主なエネルギー源なので、不足するとすぐに影響が出ます。疲れやすい、だるさが続く、集中力の低下、頭がぼーっとする、めまいや立ちくらみ、眠くなるなどの症状が現れます。筋力の低下
炭水化物が不足し、エネルギーが欠乏すると、体は筋肉を分解してエネルギーを作ろうとするため、筋力が低下し、筋肉が落ちやすくなる、運動しても力が出ない、筋肉痛が長引くなどの症状が現れます。イライラや気分の落ち込み
炭水化物が不足すると、脳内のセロトニンの分泌が減ります。セロトニンは心のバランスを整える役割を持つ物質であり、不足するとイライラや気分の落ち込みにつながりやすくなります。便秘や消化不良
炭水化物の中でも、食物繊維が豊富なもの(玄米、オートミール、野菜など)が不足すると、腸内環境が悪化しやすくなり、便秘になりやすい、お腹の張りが気になるなどの症状が現れます。ケトン体増加による体調不良
極端に炭水化物を減らすと、体が脂肪を分解してケトン体と言う物質を作るようになります。健康な人でも極端な糖質制限でケトン体が増えることはありますが、通常は適応します。ただし、過度の場合や持病がある場合はケトアシドーシスに注意が必要です。ケトアシドーシスになると、口臭が強くなる(アセトン臭)、吐き気や頭痛がする、脱水症状が出るなどの症状が現れます。炭水化物を過剰摂取すると現れる症状

脂肪としての蓄積
余ったブドウ糖は肝臓や筋肉に「グリコーゲン」として蓄えられますが、それでも余ると中性脂肪に変換され、脂肪として蓄積されます。運動と組み合わせる、タンパク質や脂質と一緒に適量を摂取するなど、種類と摂取量を意識することで、脂肪の蓄積を防ぐことができます。肥満
ご飯やパン、麺類などの主食を過剰に摂取すると肥満のリスクが高まります。たまに食べ過ぎる程度なら問題ありませんが、頻繁に炭水化物を摂りすぎる習慣があると、糖尿病や肥満のリスクが上がるので注意が必要です。消化不良
通常、炭水化物(特に糖質)は消化吸収が速く、胃腸への負担は少ない栄養素です。しかし、甘いもの(砂糖や果糖を多く含む食品)や食物繊維を一度に大量に摂取すると、消化吸収が間に合わず、腸内で発酵したり、浸透圧性の下痢を引き起こすことがあります。また、人工甘味料の過剰摂取でも同様の症状が現れることがあります。急激な体重増加やむくみ
炭水化物は水分を溜め込む性質があり、短期間で体重が増えたり、浮腫が現れることがあります。体重の急増やむくみが見られる場合は、他の代謝異常の可能性もあるため、医療機関への相談が必要です。極端な高血糖状態
炭水化物の過剰摂取が続き、高血糖状態が長引くと、糖尿病のリスクが高まります。異常な喉の渇き、頻尿、極度の倦怠感、視界がぼやける、意識がぼんやりするなどの症状が現れた場合は、内科や糖尿病専門外来を受診することをお勧めします。炭水化物を多く含む食品

穀物類
主食として食べられている白米やパンは炭水化物の主な供給源です。玄米や全粒粉パンは食物繊維も多く、食後の血糖値の上昇が緩やかになるためお勧めです。野菜や芋類
サツマイモやかぼちゃは甘みがあり、糖質が多めです。じゃがいもは炭水化物源として主食の代わりになります。果物
果物は果糖(フルクトース)を含み、エネルギー補給に適しています。果糖はブドウ糖に比べて血糖値を急激に上げにくい特性があり、さらにりんごやベリー類など食物繊維が豊富な果物は、血糖値の急上昇を抑えるためお勧めです。豆類
豆類は炭水化物だけでなく、タンパク質も豊富です。食物繊維も多いため、血糖値の急上昇を抑えます。お菓子、飲料
砂糖を多く含む食品は、血糖値を急上昇させやすく、脂肪として蓄積しやすい食品です。白砂糖などの精製された炭水化物は血糖値を急激に上げやすいため注意が必要です。炭水化物の不足を解消する方法

炭水化物を多く含む食品の摂取
炭水化物を多く含む食品には、ご飯、パン、パスタ、イモ類、果物、砂糖を使ったお菓子やジュースなどがあります。これらは体や脳の大切なエネルギー源ですが、摂りすぎると肥満や血糖値の急上昇につながることもあります。そこで注目したいのが「GI値(グリセミック・インデックス)」です。GI値が高い食品は血糖値を急激に上げやすく、低い食品はゆるやかに上昇させます。たとえば、白ご飯や菓子類は高GI食品、玄米や果物の中でもリンゴは低GI食品です。炭水化物は適量を、そしてGI値を意識して選ぶことで、よりバランスのとれた食生活につながります。炭水化物と一緒に摂取すると効果を高める栄養素•食品
ビタミンB1が不足すると糖質からのエネルギー代謝がスムーズに行われず、エネルギー不足や代謝異常を引き起こす可能性があります。例えば主食の選択を、白米よりは、玄米、全粒粉パンやライ麦パンなどを選ぶことにより、ビタミンB1も同時に摂ることができ効率的です。炭水化物の効果を高める摂取タイミング
炭水化物は朝に摂るのが最も効果的で、脳や体のエネルギー源となり、集中力や活動量の向上につながります。昼も午後の活動に備えて必要ですが、摂りすぎると眠気の原因になるため注意が必要です。運動前にはエネルギー補給、運動後には筋肉の回復を助けるために炭水化物を摂ると良いでしょう。特にたんぱく質と一緒に摂ると効果的です。一方、夜は活動量が少なくなるため、炭水化物が脂肪として蓄積されやすくなります。寝る3時間前までに少量であれば問題ありません。目的に合わせて適切なタイミングと量を意識することが大切です。「炭水化物が不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまで炭水化物が不足すると現れる症状について紹介しました。ここでは「炭水化物が不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
食事の際に白米を摂取しないと、どんなデメリットがありますか?
寺下 博美
白米を食べないとエネルギー不足や集中力低下、筋肉量の減少につながることがあります。また、満足感が得にくくなり、間食が増える可能性も。さらに、炭水化物を極端に減らすとビタミンB群や食物繊維が不足しやすくなります。白米を抜く際は、玄米や雑穀、さつまいもなど栄養価の高い代替食品を取り入れることが大切です。
お米の代わりになる主食について教えてください。
寺下 博美
玄米、全粒粉パン、ライ麦パン、雑穀パン、オートミールは白米に比べて食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、血糖値の上昇を抑えます。特に玄米やオートミールは腹持ちが良く、たんぱく質も含まれています。全粒粉やライ麦、雑穀入りパンは栄養バランスに優れ、腸内環境の改善にも効果的です。これらの食材を、お米の代わりに主食として取り入れることで、健康的な代替食品となり、栄養バランスを維持することができます。また、ビタミンB1や食物繊維も同時に取ることができ効率的です。
編集部まとめ
炭水化物が不足すると、疲れやすくなったり、イライラや集中力の低下などの不調が起こることがあります。極端な糖質制限は体調を崩す原因になるため注意が必要です。ごはんやパンを抜くと、代わりにお菓子や脂質が増えがちになります。それなら「質の良い炭水化物」をしっかり取った方が健康的です。白米より玄米や全粒粉パン、雑穀パンなどを選ぶとビタミンB1や食物繊維も効率よく取れ、腸内環境の改善にも効果的であり、栄養バランスも優れています。また、野菜やキノコと一緒に食べると血糖値の上昇も穏やかになります。さつまいもやじゃがいもなどの芋類は、糖質が多めではありますが、ビタミンCや食物繊維が豊富です。適量を意識しながら、上手に食事に取り入れましょう。炭水化物は、体と心の調子を整えるうえで欠かせない栄養素です。抜くのではなく、「良い炭水化物」を「バランスよく」取り入れることが、健康的な体づくりの近道です。「炭水化物」と関連する病気
「炭水化物」と関連する病気は10個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。炭水化物の摂りすぎで起こる病気
- 糖尿病(2型、糖尿病)
- 肥満
- メタボリックシンドローム
- 脂肪肝
- 虫歯、歯周病
- 高血圧
- 動脈硬化
炭水化物が不足すると起こる病気
- 低血糖症
- ケトアシドーシス
- サルコペニア
「炭水化物」と関連する症状
「炭水化物」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 眠気、だるさ
- 体重増加、浮腫
- 胃腸の不調
- めまい、ふらつき、冷や汗、動悸
- 集中力の低下、ぼーっとする
- 強い空腹感、手の震え
- 疲れやすい、体が重い
- 運動するとすぐにバテる
- 筋肉が落ちやすい
- 頭が締め付けられるような痛み
- イライラしやすい
- 気分の浮き沈みが激しい
- 集中できない
- 仕事や勉強がはかどらない



