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「ビタミンEの多い食べ物」とは?不足・過剰摂取すると現れる症状も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/08/22
「ビタミンEの多い食べ物」とは?不足・過剰摂取すると現れる症状も管理栄養士が解説!

ビタミンEの多い食べ物とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

池田 早苗

監修管理栄養士
池田 早苗(管理栄養士)

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病院やクリニックで給食・衛生管理業務に従事後、企業で商品開発や食品表示作成を担当、管理栄養士資格取得後は、介護老人保健施設で栄養管理を通して利用者様に寄り添いながら安心・安全にお食事できるようサポートしています。

「ビタミンE」とは?

「ビタミンE」とは?

ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、抗酸化作用をもつ栄養素です。 油に溶けやすい性質をもち、細胞膜や脂質に多く存在し体の機能を正常に保つ働きをしています。ビタミンEとは4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールの総称で、構造の違いによりα-、β-、γ-、δ-がついた名称でよばれています。 また、栄養機能性食品として『ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。』と表示が認められています。

ビタミンEの一日の摂取量

ビタミンEの一日の摂取量

からだの中のビタミンEの大部分がα-トコフェロールのため、厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準ではビタミンEの摂取量はα-トコフェロールの値で示されています。 厚生労働省「日本食事摂取基準(2025年版)」策定検討報告書
【目安量】
0~5歳:3~4mg/日
6~11歳:4~5.5mg/日
12~17歳:6~7mg/日
18~64歳:5~6.5mg/日
65歳以上:6~7.5mg/日
妊婦・授乳婦:5.5mg/日
【耐容上限量】
1~5歳:150~200mg/日
6~11歳:300~450mg/日
12~17歳:600~750mg/日
18歳以上:650~800mg/日

ビタミンEの効果

ビタミンEの効果

抗酸化作用

ビタミンEは、非常に強い抗酸化力を持っています。抗酸化作用とは活性酸素による「酸化」から体を守る作用のことです。脂質とともに腸管からリンパ管を経由し体内に吸収され、生体膜を構成する不飽和脂肪酸や他脂溶性成分を酸化障害から守り、過酸化脂質の生成を抑制します。

動脈硬化予防・改善

ビタミンEは抗酸化作用を持ち、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制することで、動脈硬化のリスクを低減する可能性があるとされています。 また、血管の健康維持を助け、血流をスムーズにすることで、動脈硬化の予防につながる可能性があります。

血行促進作用

ビタミンEには抗酸化作用があり、血管内皮細胞を保護することで血流をスムーズにする働きがあるとされています。血流の改善により、新鮮な酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りやすくなることで、血行不良が関与する不調(手足の冷えや疲労感)を緩和する可能性があります。

歯肉炎や歯周病のリスクを減らす

ビタミンEには抗酸化作用があり、酸化ストレスの軽減を通じて免疫機能をサポートする働きがあります。そのため、歯茎の健康維持や歯周病のリスク低減に寄与する可能性が示唆されています。ただし、ビタミンEの摂取だけで歯周病を予防できるわけではなく、適切な歯磨きや歯科受診が重要です。

肝臓の正常維持

ビタミンEには抗酸化作用があり、脂肪肝に関連する肝細胞の酸化ストレスを軽減する可能性があるとされています。特にNASH(非アルコール性脂肪肝炎)を含むNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の患者において、肝臓の脂肪変性や炎症の抑制、肝細胞の風船状腫大の改善に寄与する可能性があるとする研究報告があります。ただし、すべての患者に対して有効であるとは限らず、医師の指導のもとでの適切な管理が必要です。

ビタミンEの多い食品

ビタミンEの多い食品

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に食品100gあたりで示しています。

緑黄色野菜

モロヘイヤ6.5mg 西洋かぼちゃ3.9mg ブロッコリー3.0mg。油との組み合わせで吸収力がアップします。炒め物やドレッシングに加えるのもおすすめです。

種実類(ナッツ)

アーモンド(乾)30.0mg ヘーゼルナッツ(フライ)18.0mg 落花生(乾)11.0mg。購入される際はできるだけ無塩・ノンフライの素焼きを選ぶと良いでしょう。脂質が多いため食べ過ぎには注意が必要です。

植物油

ひまわり油39.0mg 紅花油27.0mg 米油26.0mg なたね油15.0mg オリーブ油7.4mg。脂質は1gあたり9kcalと高カロリーのため、油脂類に偏らず他の食材と組み合わせて取り入れることをおすすめします。

魚介類

すじこ11.0mg たらこ7.1mg うなぎ(かば焼き)4.9mg はまち(養殖)4.6mg さば缶(水煮)3.2mg いわし缶(水煮)2.6mg。普段の食事で魚介類を食べる機会が少ない場合や忙しく時間のない方には缶詰を利用されるのもよいでしょう。魚卵にも多く含まれますが、塩分過多とならないよう注意が必要です。

大豆製品

調整豆乳2.2mg きな粉1.7mg がんもどき1.5mg。女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをするイソフラボンが含まれることから、更年期からくる不調や骨粗鬆症予防など女性にとってうれしい効果も期待できます。

ビタミンEが不足すると現れる症状

ビタミンEが不足すると現れる症状?

溶血性貧血

ビタミンEが不足すると活性酸素の影響で赤血球膜を保護する能力が低下し、 赤血球数が少なくなる溶血性貧血の原因となります。症状には顔色不良、めまいやふらつき、動悸・息切れ、倦怠感、黄疸があり、早産児はビタミンEが不足しやすいため哺乳力低下、成長不良、活動量低下などがみられることもあります。

小脳失調・深部感覚障害

ビタミンEは神経細胞膜の保護や神経伝達の維持に関わっています。不足すると神経系に様々な影響を及ぼすことがあり、手足のしびれ、歩行障害、筋力低下や運動失調、眼振、視力低下などの症状が現れやすくなります。

動脈硬化

ビタミンE不足はLDLコレステロールの酸化や血管の炎症を引き起こし、動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化は狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症(手足の血流障害)、高血圧などにつながる可能性があります。

ビタミンEが不足しやすい人の特徴

ビタミンEが不足しやすい人の特徴?

極端なダイエットや偏った食事

通常の食生活では不足することはありませんが、極端なダイエットや偏った食事で脂質を控えると不足に繋がります。

吸収不良障害のある方

吸収不良状態になると、食べたものに含まれる栄養素が様々な理由により小腸で適切に吸収されにくくなります。脂肪の吸収を妨げる病気(特定の肝疾患や胆嚢疾患、膵炎、嚢胞性繊維症など)や、手術で胃や小腸を切除された方、消化酵素の生産不足や胆汁の生産量減少、胃酸の過剰分泌などが要因となることもあります。消化管で脂肪が十分に吸収されないと慢性的な下痢となり便に過剰な脂肪が含まれるようにもなります(脂肪便)。

酸化ストレスの多い方

喫煙、高血圧、脂質代謝異常、糖尿病、肥満といった要因を持った方、紫外線にあたる機会の多い方や激しい運動をされる方は体内に活性酸素を多く作り出しやすく、酸化を防ぐためにビタミンEの必要量が増大します。

ビタミンEを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンEを過剰摂取すると現れる症状

血が止まりにくくなる

サプリメントなどで長期的に大量摂取した場合、血が止まりにくくなるなどの症状が出ることが示されています。抗凝固薬(特にワルファリン)など、血栓ができにくくする薬を服用している人は注意が必要です。出血性脳卒中のリスクが高まるといった報告もあります。

骨粗鬆症のリスクを高める

骨では、骨を作る『骨芽細胞』と骨を壊す『破骨細胞』がバランスを取りながら新陳代謝を行っています。ビタミンEを過剰に摂取すると、このバランスに影響を与え、骨密度の低下を引き起こす可能性が示唆されています。 一部の研究では、ビタミンEの過剰摂取が破骨細胞の活性を高めることが報告されていますが、ヒトにおける影響についてはさらなる研究が必要とされています。

吐き気・疲労感・下痢

ビタミンEは脂溶性ビタミンであるため、サプリメントなどで長期間にわたり高用量を摂取すると、体内に蓄積し、副作用が生じる可能性があります。 過剰摂取により、吐き気、疲労感、胃腸の不調(下痢など)が報告されているため、摂取量には注意が必要です。ただし、通常の食事からの摂取では過剰になることはほとんどありません。

ビタミンEの効率的な摂取方法

ビタミンEの効率的な摂取方法

ビタミンEと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンEは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。熱や酸に強いので調理なら炒める、サラダのドレッシングに取り入れるのもおすすめです。 また、ビタミンEと同じ抗酸化作用をもつビタミンCや、酸化した脂質を分解する作用があるセレンとの相性が良く、ビタミンCなら果物の中でも特にレモンやキウイフルーツ、セレンは主に魚介類(まぐろやかつお)や畜肉に多く含まれます。 ただしビタミンCは熱に弱いため加熱せず食べる工夫を、油は酸化しやすく劣化が早いため新鮮なうちに使い切れるものを選びましょう。

ビタミンEと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

ビタミンEは鉄の吸収を妨げるため、貧血ぎみの方や鉄剤を服用される場合は摂取する時間帯に注意しましょう。

ビタミンEの効果を高める摂取タイミング

食前や空腹時よりも、油を使用した食事と一緒か食後のタイミングが効果を高めます。

「ビタミンEの食べ物」についてよくある質問

「ビタミンEの食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンEの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンEの食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ビタミンEの多い野菜について教えてください。

池田早苗池田 早苗

【食品100gあたり】 モロヘイヤ6.5mg、西洋かぼちゃ3.9mg、アボカド3.3mg、豆苗3.3mg、ブロッコリー3.0mg、菜の花2.9mg、ほうれん草2.1mg野菜は全般的に脂質が少ないため、前述の通り油との組み合わせで効果が高まります。ただしアボカドについては脂質が多いため摂りすぎに注意しましょう。

まとめ

ビタミンEは抗酸化作用や動脈硬化予防、血行促進作用などの効果があります。一般的な食事からの摂取では不足や過剰になりにくい栄養素で、油を使用した料理やビタミンC、セレンと組み合わせることでより効果が発揮されます。サプリメントで過剰に摂りすぎると、出血のリスクや筋力低下などの症状がみられることがあります。普段服用しているお薬との飲み合わせなど、サプリメントを使用する際は医師や薬剤師へ相談することをおすすめします。

「ビタミンE」と関連する病気

「ビタミンE」と関連する病気は15個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科・循環器系の病気

神経内科の病気

  • 多発性ニューロパチー

整形外科の病気

婦人科系の病気

歯科の病気

「ビタミンE」と関連する症状

「ビタミンE」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 息切れ、動悸、めまい、耳鳴り
  • 視力低下、視界不良
  • ほてり、冷え
  • イライラ、不安感、気持ちの波が激しい、無気力、集中力の低下
  • 倦怠感、だるさ、疲労感
  • シミ、シワ、肌荒れ
  • 消化不良・下痢
  • 筋力低下

この記事の監修管理栄養士