「たんぱく質」を「一日分の摂取量」より摂り過ぎると疲れやすくなる?管理栄養士が解説!
公開日:2025/09/29

たんぱく質の一日の摂取量とは?メディカルドック監修医がたんぱく質の一日の摂取量・男女別の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
寺下 博美(管理栄養士)
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高齢者の方の日々の食事を、美味しく、楽しんで召し上がっていただける様、栄養管理、栄養相談に従事しています。
東京糖尿病療養指導士、食事アレルギー分野管理栄養士、フレイルサポート栄養士、東京JDA-DATスタッフ、終末期ケア専門士、フードコーディネーター
東京糖尿病療養指導士、食事アレルギー分野管理栄養士、フレイルサポート栄養士、東京JDA-DATスタッフ、終末期ケア専門士、フードコーディネーター
目次 -INDEX-
「たんぱく質」とは?

【男性】たんぱく質の一日の摂取量

男性18〜74歳 65g
75歳以上 60g
【女性】たんぱく質の一日の摂取量

女性 50g
妊婦付加量(中期)+5g (後期)+25g
授乳婦付加量+20g
【ダイエット中の女性】たんぱく質の一日の摂取量

【筋トレ】たんぱく質の一日の摂取量

(重めの筋トレ)1.6~1.7g
運動の30分後と就寝の1〜3時間後は「筋肉作りのゴールデンタイム」と言われ、この時間になると成長ホルモンの分泌が盛んになり、筋肉の修復が行われます。その時に筋肉の原料となるアミノ酸が豊富にあると、筋肉の修復がうまくいきます。筋トレ後に、プロテインを飲むと筋肉作り、疲労回復につながります。
たんぱく質50gは食べ物に例えるとどのくらい?

肉・魚・卵・乳製品
- 鶏むね肉100g(皮なし):約25g
- 牛もも赤身肉100g:約21g
- 豚ヒレ肉100g:約22g
- 鮭(サーモン)100g:約23g
- マグロ(赤身)100g:約26g
- 卵(Mサイズ):1個あたり約6~7g
- 牛乳:200mlあたり約7g
- ヨーグルト100g:約3g
- 木綿豆腐(1丁300g):約21g
- 納豆(1パック40g):約7g
- オートミール100g:約15g
- 玄米100g:約3g
•プロテインパウダー(1杯25g):約20g
これらの食品を組み合わせて朝、昼、夕食でたんぱく質50gをバランスよく摂取するのが理想的です。動物性と植物性のたんぱく質を組み合わせると、アミノ酸バランスも良くなります。
たんぱく質を過剰摂取すると現れる症状

倦怠感、疲労
摂りすぎたたんぱく質を処理しようとして、肝臓や腎臓への負担が大きくなり、倦怠(けんたい)感や疲労が蓄積される場合があります。倦怠感や疲労感が続く場合は内科を受診されることをお勧めします。腹痛
余分なたんぱく質が結腸(大腸の一部)まで達し、その際に食物繊維が少ない場合、おなかが張って腹痛を引き起こしたり、排便の切迫感を覚えたりなど、腸での不快感を生じることがあります。そのような症状が続く場合は、内科を受診することをお勧めします。尿路結石
肉や魚、卵や乳製品などに含まれる動物性たんぱく質を摂りすぎると、尿中のカルシウムやシュウ酸の排泄が増加し、これらが結合することで尿路結石のリスクが高まることがあります。シュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質を持ち、これらが結合すると、石のような塊となって、血管を詰まらせる原因となり、激しい痛みがある場合は、泌尿器科を受診しましょう。たんぱく質が不足すると現れる症状

クワシオルコル
クワシオルコルは、重度のたんぱく質不足による栄養障害で、特に発展途上国の幼児や高齢者、重度の栄養不良者に発生します。原因は、エネルギーは摂取できてもたんぱく質が極端に不足することです。主な症状は、浮腫(むくみ)、顔や手足の腫れ。皮膚の変化、乾燥、色素沈着、びらん。成長障害、発育遅延。肝腫大、脂肪肝による肝臓の腫れ。無気力・免疫力低下、感染症にかかりやすいなどです。治療と予防は、たんぱく質を含むバランスの取れた食事とビタミン・ミネラル補給。早期発見と適切な栄養管理です。適切な栄養補給で回復可能ですが、重症化すると命に関わるため早期対処が重要です。クワシオルコルの症状がある場合は、内科の受診をお勧めします。サルコペニア
サルコペニアは、たんぱく質不足や加齢、疾患、運動・栄養不足が原因で筋肉量が減少する状態です。進行すると、姿勢保持や歩行に必要な筋肉が衰え、日常生活に支障をきたし、放置すると歩行困難になることもあります。骨格筋量は25~30歳頃から減少、加齢が主な要因ですが、活動不足や栄養不良も危険因子です。予防には、体重1kg当たり1.0g以上のたんぱく質摂取が有効とされ、特にレジスタンス運動(筋トレ)が推奨されます。栄養摂取と運動を組み合わせることでより効果的です。サルコペニアの症状がある場合は、内科や老年内科の受診をお勧めします。フレイル
フレイルは、加齢による心身の衰えで、身体機能の低下に加え、認知機能や精神的問題、経済的困窮なども含まれます。健康な状態からフレイルを経て要介護・寝たきりへ進むことが多く、一度悪循環に陥ると急速に悪化する可能性があります。主な原因はたんぱく質不足と運動不足です。生活習慣や食生活の改善、社会参加を心がけ、早期から予防することが重要です。フレイルが疑われる場合は、内科や老年内科の受診をお勧めします。たんぱく質の多い食品

まぐろやかつお
1食でたんぱく質を20〜30g摂るのが効果的です。まぐろやかつおでは100g相当となります。大豆製品などのビタミンB群と一緒に摂取すると、タンパク質の代謝をサポートし、疲労回復の効果もあります。豚ヒレ赤肉
1食でたんぱく質を20〜30g摂るのが効果的です。豚ヒレ肉では100g相当となります。一緒にチーズなどの亜鉛の多く入った食品と摂取するとたんぱく質の合成に関わり、酸素の原料になります。鮭
1食でたんぱく質を20〜30g摂るのが効果的です。鮭では100g相当となります。木綿豆腐や小松菜など鉄が多いものを一緒に摂取すると、酸素を全身に運び、心の不調も改善します。牛もも赤身肉
1食でたんぱく質を20〜30g摂るのが効果的です。牛もも赤身肉では100g相当となります。きのこなどビタミンDを多く含む食品と一緒に摂取すると、カルシウムの吸収が促進され、骨の健康を維持する助けになります。また、ビタミンDは筋力の低下を防ぐ働きがあるため、適切なタンパク質摂取とともに意識すると良いでしょう。たんぱく質の効率的な摂取方法

ビタミンC
ビタミンCは、たんぱく質であるコラーゲンの合成を助け、肌の弾力やハリを維持するのに役立ちます。特に、鶏むね肉や魚などの高タンパク・低脂質食品と一緒に摂取すると、たんぱく質の吸収とコラーゲン生成が促進され、健康的な肌を保ちやすくなります。ビタミンCを多く含むブロッコリーやパプリカ、柑橘類(レモン・オレンジ)を組み合わせると効果的です。たんぱく質と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
たんぱく質を主に含む食品には肉、魚、卵、大豆・大豆製品、乳・乳製品があります。これらの食品には、脂質が多く含まれているものもあり、選ぶもので脂質摂取量が増える可能性があります。例えば、油の多い豚バラ肉、鶏もも肉の皮付きなど体重コントロールも意識しながらたんぱく質摂取する場合、脂質摂取も控えたい場合には、脂質の少ない食品を選ぶといいでしょう。たんぱく質の効果を高める摂取タイミング
たんぱく質の効果を高める摂取方法は、1日3回毎食、たんぱく質を含む食品を20〜30g、少なくても1品以上入れるといいでしょう。 また「プロテイン」と呼ばれている、たんぱく質を粉末状にしたものを、筋トレをしている人だけではなく、たんぱく質不足を補うため、飲んでいる人もいます。 プロテインは、牛乳を原料とする動物性のものと、大豆原料とする植物性(ソイ)のものがあります。さらに、動物性のプロテインは、ホエイとカゼインに分けられます。ホエイプロテインは吸収が早いため筋肉の成長に効果的で、カゼインプロテインは吸収が緩やかで満腹感の持続に役立ちます。植物性のソイは、脂肪燃焼や美容の効果が期待できます。「たんぱく質の一日の摂取量」についてよくある質問

ここまでたんぱく質の一日の摂取量を紹介しました。ここでは「たんぱく質の一日の摂取量」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
たんぱく質を摂りすぎているサインはありますか?
寺下 博美
摂りすぎたたんぱく質を処理しようとして、肝臓や腎臓への負担が大きくなり、倦怠(けんたい)感や疲労が蓄積される場合があります。また、おなかが張って腹痛を引き起こしたり、排便の切迫感を覚えたりなど、腸での不快感を生じることがあります。
納豆1パックのたんぱく質量はどれくらいでしょうか?
寺下 博美
納豆1パック(40g)のたんぱく質量は、6.6gです。納豆や豆腐は植物性たんぱく質となり、脂質が低く脂肪を燃焼する効果もあります。また、肉、魚、乳製品は動物性たんぱく質となり、必須脂肪酸がバランスよく含まれています。1食のなかで、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の2種類のたんぱく質をバランス良く摂るといいでしょう。
まとめ
1日に必要なたんぱく質量は 体格や活動量によって異なりますが、一般的には 60g前後 とされています。たんぱく質は 朝・昼・夕の3食で20〜30gずつバランスよく摂取するのが理想的 です。例えば、朝と昼に5gずつしか摂らず、夕食で残りの50gをまとめて摂るような偏った取り方は たんぱく質の利用効率が低下するため、推奨されません。1食のたんぱく質量が少なすぎると、筋肉の分解が始まってしまい、逆に1食の摂取量が多すぎると体内で吸収しきれず、余ったたんぱく質が体の外へ排出され、脂肪になります。せっかくたんぱく質をとっても、もったいないですし、健康に害を及ぼすこともあります。3食でこまめに摂取するようにしましょう。「たんぱく質」と関連する病気
「たんぱく質」と関連する病気は3個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する病気
- クワシオルコル
- サルコペニア
- フレイル
「たんぱく質」と関連する症状
「たんぱく質」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細リンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- むくみ
- 筋力低下、サルコペニア
- 免疫力の低下
- 肌や髪のトラブル
- 下痢
- 腎臓への負担




