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「アミノ酸が多い食べ物」とは?不足すると現れる症状についても管理栄養士が解説!

 公開日:2025/08/20
「アミノ酸が多い食べ物」とは?不足すると現れる症状についても管理栄養士が解説!

アミノ酸の多い食べ物とは?Medical DOC監修医がアミノ酸の多い食べ物・一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

中村 真実

監修管理栄養士
中村 真実(管理栄養士)

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短期大学卒業後、給食受託会社で給食管理の経験を積み、管理栄養士の資格を取得。その後は病院にて栄養管理、栄養指導、特定保健指導などに従事。

「アミノ酸」とは?

「アミノ酸」とは?

アミノ酸とはエネルギー産生栄養素のひとつであるたんぱく質を構成する、20種類の有機化合物のことです。ひとつでも欠けるとたんぱく質を合成することができません。人体を構成する要素としては約60%を水分が占め、その次に多い要素としてたんぱく質があります。たんぱく質は人体の約15~20%を占めており、アミノ酸はそのたんぱく質を構成する重要な要素です。 20種類のアミノ酸のうち、人や動物が体内で作ることのできない9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン)を必須アミノ酸、体内で糖質や脂質から作り出すことのできる11種類(アスパラギン酸、アスパラギン、アラニン、アルギニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、セリン、チロシン、 プロリン)を非必須アミノ酸と呼んでいます。

アミノ酸の一日の摂取量

アミノ酸の一日の摂取量

たんぱく質の1日の摂取量は、年齢、性別、体重、活動量によって異なります。『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では、成人におけるたんぱく質の推奨量を体重1kgあたり約1.0gとしています。例えば、体重60kgの成人では60gが目安となります。さらに、生活習慣病の予防や生活機能の維持・向上を目的として、総エネルギー摂取量に占めるたんぱく質からのエネルギー比率として、目標量が設定されています。成人男性および女性では、総エネルギーの13~20%をたんぱく質から摂取することが推奨されています。高齢者やアスリートなど、特別な栄養ニーズがある場合には、これらの基準を超える摂取が推奨されることもあります。

アミノ酸の効果

アミノ酸の効果

体の組織を作る

筋肉をはじめ、臓器、血液、皮膚、髪、歯、爪など、体のあらゆる組織を作る材料になります。特に分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)は筋肉の合成や修復に関わり、筋力維持に欠かせません。

筋肉の材料になる

分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンは筋肉中のアミノ酸のうち約40%を占めており、筋肉の運動中のエネルギー源としても利用されるなど、スポーツや運動に関係が深いアミノ酸です。BCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉のエネルギー源となり、筋肉の分解抑制や合成促進に関与するとされています。ただし、その効果は個人の栄養状態や運動量に依存し、BCAA単体よりも全体的なたんぱく質摂取が筋肉維持に重要とされています。また、運動による筋肉痛や、筋肉のダメージを軽減することも分かっています。

ホルモンの生成

骨や筋肉の成長促進に関与する成長ホルモンや体のあらゆる組織へのグルコースの取り込みを促進する働きをもつインスリンなどホルモンの生成に関わります。

エネルギーを作る

糖や脂質からのエネルギー生成が不足する場合にはたんぱく質からのエネルギー産生が行われます。その場合、筋肉タンパク質の分解によって供給されるアミノ酸(糖原性アミノ酸)が材料として使われます。

ビタミンのもととなる

神経伝達物質のドーパミンはアミノ酸のチロシンから酵素の働きによって生成されます。他にもドーパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをする作用を持つセロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから生成されます。また、ビタミンB群の一つであるナイアシンはトリプトファンから体内で合成されます。

アミノ酸の多い食品

アミノ酸の多い食品

動物性たんぱく質

肉や魚、卵、乳製品などといった動物性たんぱく質は食品から摂取する必要がある必須アミノ酸がバランスよく含まれています。

大豆製品

肉や魚と同様に必須アミノ酸がバランスよく含まれています。大豆から作られる製品は味噌や醤油、豆腐、豆乳、納豆、油揚げ、がんもどき、高野豆腐、枝豆など多岐に渡ります。

肉類

BCAAが多い食材として鶏肉ならささみ、むね肉、もも肉など、豚肉なら豚ロース(赤肉)、もも肉、牛肉ならひれ肉と肉類では脂身の少ない赤身に多く含まれています。

魚介類

BCAAが多い魚はマグロの赤身、かつお(春獲り)、ぶり、しろさけなどがあります。

乳製品

BCAAを多く含むものはチェダーチーズ、プロセスチーズ、カマンベール、ヨーグルト、普通牛乳などで乳製品のなかではチーズがBCAAの含有量が多いです。

アミノ酸が不足すると現れる症状

アミノ酸が不足すると現れる症状

筋肉量の減少と代謝の低下

たんぱく質の摂取量が減ると、体内で新しいたんぱく質を作り変えられず、筋肉量も減少し、体の機能を維持することもできなくなり体調を崩しやすくなります。 また、ダイエットなどで低カロリー食ばかり食べていると、体内で必要なエネルギーが不足し、既にある筋肉を分解してエネルギーを作り出してしまい筋肉量の減少につながります。

肌や髪の健康状態の悪化

皮膚組織の大部分である真皮の材料はコラーゲンです。そのコラーゲンにたんぱく質が加わることで肌に弾力が生まれます。たんぱく質が不足すると肌の弾力を維持できずたるみやすくなり、皮膚の一部である爪も割れやすくなります。 また髪の毛の成分は、ケラチンと呼ばれるアミノ酸の一部が結合されてできたたんぱく質で構成されています。このたんぱく質が不足すると、結合が弱まり枝毛や切れ毛の原因になったり、薄毛につながったりすることもあります。

疲労感の増加

たんぱく質を含む食品にはビタミンB群も多く含まれているため、これらの不足により疲れやすくなります。

アミノ酸を過剰摂取すると現れる症状

アミノ酸を過剰摂取すると現れる症状

内臓負荷

たんぱく質はそのままでは吸収できないため、一度アミノ酸という小さな物質に分解されてから吸収され、体内で必要な形に生合成されて使われます。この分解と合成の過程で「窒素」という物質が生まれます。 体内で余分になった窒素は尿になって排泄されますが、このときに働くのが肝臓と腎臓です。たんぱく質を摂り過ぎると、これらの臓器に負担がかかり内臓疲労を引き起こすことがあります。

腸内環境が悪化し、悪玉菌が増える

動物性たんぱく質を多く摂取し、食物繊維が不足すると腸内環境が乱れる可能性があります。食事全体のバランスを整えることが腸内環境の健康を保つために重要です。

太る

たんぱく質は1gあたり4kcalのエネルギーを持っています。体に必要以上のたんぱく質を摂取すると摂取カロリーが過剰となり結果的に太ってしまう原因になることがあります。

アミノ酸の効率的な摂取方法

アミノ酸の効率的な摂取方法

ビタミンB群

糖質とたんぱく質(アミノ酸の構成要素)を同時に摂取すると、アミノ酸の合成が促進されるため、運動後にはおすすめの摂り方です。糖質がエネルギー代謝に優先的に利用されることでアミノ酸の利用が抑制されます。 おすすめの食材は豚肉+白米の食べ方です。豚肉にはビタミンB1 も豊富に含まれており、糖質代謝を促進するのに効果的です。また、ビタミンB1の吸収を促進させる栄養素にアリシンがあり、豚肉と玉ねぎを組み合わせるとさらに効率UPに繋がります。ご飯と生姜焼きの組み合わせはまさに疲労回復に最適の献立です。

アミノ酸と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

現在、アミノ酸の効果を著しく下げる特定の食品や栄養素は報告されていません。ただし、摂取タイミングやバランスに注意することで効率よくアミノ酸を利用できます。

アミノ酸の効果を高める摂取タイミング

体内では、筋たんぱく質の合成(同化作用)と分解(異化作用)が常に生じており、たんぱく質は体内に蓄えておくことが出来ません。ですから朝昼夕の食事で満遍なくたんぱく質を摂取する必要があります。朝食のたんぱく質摂取が少ないというデータもあり、朝食でのたんぱく質摂取を意識すると良いかもしれません。 またBCAAを効率よく作用させるためには、運動30分前~運動中に摂取すると良いでしょう。

「アミノ酸の食べ物」についてよくある質問

「アミノ酸の食べ物」についてよくある質問

ここまでアミノ酸の食べ物などを紹介しました。ここでは「アミノ酸の食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

アミノ酸が多く含まれる野菜を教えてください。

中村 真実中村 真実

以下は100gあたりのたんぱく質量です。枝豆(11.7g)、ブロッコリー(5.4g)、アスパラガス(2.6g)、芽キャベツ(5.7g)。ただし、たんぱく質の総量に含まれるアミノ酸組成は食品ごとに異なるため、動物性たんぱく質と比較すると必須アミノ酸の量やバランスは劣る場合があります。

まとめ

アミノ酸は骨や筋肉を作るもとになることがよく知られていますが、それ以外にも神経伝達物質やホルモン、ビタミンを作るもととしても必要であり体におけるアミノ酸の必要性は多岐にわたります。体内では、筋たんぱく質の合成(同化作用)と分解(異化作用)が常に生じており、たんぱく質は体内に蓄えておくことが出来ません。ですから朝昼夕の食事で満遍なくたんぱく質を摂取する必要があります。朝食のたんぱく質摂取が少ないというデータもあり、朝食でのたんぱく質摂取を意識すると良いかもしれません。

「アミノ酸」と関連する病気

「アミノ酸」と関連する病気は3個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

「アミノ酸」と関連する症状

「アミノ酸」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

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この記事の監修管理栄養士